金正男の息子、ハンソル氏は遺体を北に渡さないでと言ってということが、今朝(7月2日)の朝日新聞DIGITALが報じています。

 

3月末の報道では、遺族から『遺体を北朝鮮側に引き渡して欲しい』という主旨の手紙が届いたということでしたが、どうも事実は違っていたようです。

 

すでに3月初めにハンソル氏の意向はマレーシア高官の間では共有されていたそうですが、だとするとハンソル氏の動画が公開されたのが3月7日なので、そのころすでに意向はマレーシア政府に届いていたことになります。

 

 

なお、ハンソル氏の意向は、「遺体は火葬してほしい。火葬の方法と遺灰の扱いは任せたい」「いかなる理由があっても遺体を叔父の金正恩氏や北朝鮮政府に渡さないでほしい」-朝日新聞デジタル-の2点ですが、だとすると2点ともかなわなかったわけで、改めてこの事件のむごさを感じます。

 

 

 

 

事件を忘れてはいけない

 

 

金正男氏がマレーシアの空港で暗殺されたのは、2月13日で今年の大きな事件になることは間違いないと思えましたが、3月末に遺体が北朝鮮に帰り、実行犯とみられる4人の北朝鮮の工作員も北に帰り、以後、この件について一切の情報が入ってきていません。

 

ハンソル氏が現在どうしているか、どこにいるかについては、状況から身の危険があるので、これでいいと思います。

 

しかし、金正男さんが金正恩に暗殺されたことは証明できず、北に帰った4人のその後もわからず、金正男さんの遺体が北に帰ってどのように葬られたかは全くわかっていないのです。

 

遺体を北に返すことについては、北朝鮮による暗殺だと正式に糾弾こそしてませんが他の国際社会の多くの観方と同じく、北朝鮮による暗殺だろうと認めていると思えます。

 

ただ、事件後、北朝鮮によるマレーシア大使館職員3人と家族の計9人についての出国制限を解き、31日に9人全員マレーシアに帰国したので、マレーシアは金正男さんの遺体を北に返すことと、マレーシアにいる北朝鮮人全員の出国を認めることが交換条件となったようです。

 

そのナジブ首相は、なぜ今頃になって、遺族から『遺体を北朝鮮側に引き渡して欲しい』という主旨の手紙が届いたと明かしたのか、理由はよくわかりません。

 

ただ金正男さんの遺体がないこと、実行犯の女性2人以外の北朝鮮人はすべて北朝鮮に戻り、訴求できない状態であること、また、国際刑事警察機構(インターポール)は、暗殺に関連して北朝鮮人4人を国際手配していますが、北朝鮮はインターポールに加盟していないため、4人が逮捕される可能性は極めて低いということのようです。

 

あの北朝鮮の外交官は、今回の暗殺のために北では英雄となり親族も含め、かなりの褒章があるだろうとテレビで事情通が話していたことを聞きましたが、実際のところ万一を考えて、他の理由で粛清されているかもしれず、とにかく何にもわからないようです。


 

日本の拉致問題はどうなる?

 

 

国際社会の常識では、暗殺はあきらかに殺人であって、とうてい許されないことですが、報道をみてもネットをみても、この事件は3月31日の金正男さんの遺体がマレーシアを離れた時点で幕引きとなってしまいました。

 

日本の国内では、森友問題とか自衛隊の海外派遣(スーダン)のこととかで、何のアクションもしていないように見えます。

 

他国のことだし、後任争いの関係ない話ということなのでしょうか。

 

こうしたことにフタをしているうちに、北朝鮮はどんどこミサイルの実験をやりたい放題やっています。

 

そして、守ってくれるのはアメリカだけだし、安倍首相がトランプ大統領とお友達だから大丈夫かなとなんとなく思っている人たちが多数いるのでしょう。

 

でも、僕は拉致問題も絶対に忘れてはいけないことだと思うし、日本に好意をもっていた博識で高い人格をもった金正男氏のことを決して忘れてはならないと思います。

 

実の腹違いの兄を、どのような理由があっても殺すような独裁国家は絶対に許せないと思います。

 

だから対話などは、北朝鮮についてはあり得ないと考えています。

 

日本の拉致問題についても、被害者の家族は毎年減っていくし、無念のなかで亡くなった多数の方がいらっしゃいます。

 

ちなみに、僕はだから改憲して自衛隊を軍隊にしろといっているのではありません。

 

ただ、隣国のこうした残虐な非人道的な行為に憤りを感じていて、それに対して無為無策な政府に物申したいだけです。

 

そして、より柔軟なこれまでにない施策だとか提案だとかがないものかと思っています。

 

20170702 by okkochaan