このところ、政治がらみの記事を書いたりしていて、強く思うことは、人は容易に考えを変えることをせず、自分の考えに固執するということです。

 

 

特に過ちについては、個人ベースでも集団ベースでも何度でも同じ過ちを繰り返します。

 

 

これは強調したいところなのですが、人は反省して悪いところを直し、よりすぐれた存在になっていったりすることは残念ながら稀です。

 

 

むしろ、反省していると人にもいい、自分にも言い聞かせているそばから、同じことをやる場合のほうがはるかに多いのです。

 

 

この考えは、僕の自分自身への観察と他人への観察から導いたものです。したがって、観察母数は決して多くありませんが、そう信じているのです。

 

 

人間のどのような習性がなせることなのか研究されているのかわからないのですが、僕は、この思考の固定というか執着性とか悪しき習慣とかをいかに乗り越えて、小池知事が最近おっしゃったようにアウフヘーベンすることが人間に磨きをかけることだし、それが出来なければそこがその人や組織の限界なのだと考えています。

 

 

 

だからと言って容易に考えを変えてはいけない

 

しかし、僕は、容易に考えを変える人も信頼できません。

 

 

柔軟性が大事であり、それによって他人の考え方を受け入れ広い視野に立って物事を観られることが良しとされ、それに異論はないのですが、この場合、よく観察してみると、決してその相手の考えによって自分の考えが変わったわけではないことに気づくはずです。

 

 

「I am flexible.」と発言したトランプ氏、「人生いろいろ、会社もいろいろです。」と国会で発言した小泉首相などが思い浮かびますが、どちらも考え方に柔軟性をもたせて意見を変えたりはしていません。

 

 

皮肉なことに、簡単に考えを変える人間は信頼されません。すぐ違うことを言うので当てにならないと観られてしまうからです。

 

 

では自分の考えに固執せず、相手の考え方も柔軟に受け止めるとはどういうことなのでしょうか。

 

 

 

 

もしあなたに特殊な能力があったとしたら

 

ちょっと結論を急がずに、例を挙げて考えてみましょう。

 

 

もしもあなたに特殊な能力(予知能力のようなものと思ってください)があり、実績が証明されていなので説得力がない状況だとします。

 

 

10人乗りの舟で川下りをしていて、川が右と左にわかれる分岐点の手前まで来ました。

 

 

誰も予備知識がないため、どちらに行ったらいいか意見が分かれています。

 

 

右の方向は、穏やかで川幅も広いために、ほとんどの方は右と言っています。

 

 

しかし、予知能力があるあなたには、右が危険で、その先には大きな滝があることに確信があります。

 

 

左はやや川幅も狭く、その上、浅瀬もありそうで一見すると危なく見えますが、そこを抜けるとまた川幅も広く、危険はありません。

 

 

あなたは、どうにかして左の方に進むことを説得しようと思いますが、実績も評価もなく、あなたの声は少数意見として相手にされていません。

 

 

この時に、一体どうすれば、右に固執する考えを持っている多数を説得できるでしょうか?

 

 

 

どちらにしても苦痛と後悔はある

 

これまでの人間の歴史から推測すると、前項の舟の話で、左を取れる場合の方がはるかに少ないことは推測されます。

 

 

この一事からしても、少数意見を重視すること、柔軟な思考が大事であることは理解できると思います。

 

 

そして、多くの場合、少数の、しかし説得力のある強い意見が正しいのです。

 

 

ノアの箱舟の話を待たずとも、商品開発などについて、会議で多数の賛成意見が出たら、その意見は採用しないと決めているワンマン社長の判断の方が正しかったりするわけです。

 

 

この舟の例だと、自分の意見が最終的に通らず、ノアの箱舟のように自分だけ舟を降りたとすると、どちらにしても苦痛と後悔はあるのではないでしょうか。

 

 

例えば、戦争はいけないことだと思いながらも、戦争を始めてしまった歴史を見ても、正しいだけでは何も出来ないこと、では、どうすればよかったのか、どうすればよいのかということを常に問い続けるしかないと考えます。

 

 

そして、これが最も重要だと思いますが、自分に対して、一日一回は次のような自問を投げかけてください。

 

 

これ以外の考え方は取れないのか?本当にこれしか考えられないのか。

 

 

これは理屈をつけて今やっていることを辞めていいということではありません。

 

 

考え方の変更があったとしても、今やっていることは、より強力に行うことが出ない限り、やり続けることが前提です。

 

 

容易に考え方を変えてもいけないのです。

 

 

若いころの徳川家康のように、すでに戦は終わっていても、小城を攻め続けるような努力がこれに当たります。

 

 

ちょっとネットビジネスについて具体的に言えば、副業を決めて仕事を即辞めるとか、他のノウハウにすぐ目移りして、自分が立てた計画を中止するとかには慎重でなければならないということです。

 

 

そうした強い自覚をもった人同士が異なる意見を持って話をしたときに、初めて本当の意味での柔軟性も現れると思います。

 

 

むしろ正反対の意見を持った人が転換するときのパワーほどすごいものはないので、政治家の方も、一般の方も、正反対の主張をする人に好んで話かけるべきです。

 

 

そこから「価値」が生まれると、僕は信じています。

 

20170708 by okkochaan