こんにちは、おっこちゃんです。

 

今、労働することをめぐっては、副業を解禁する動きと国会で野党不在で進めている働き方改革法案という二つの大きな流れがあります。

 

しかし、僕にはこれらの議論が国民とか庶民とかの感覚との乖離がかなりあるように思われ、「お上が抽象的な議論をしている」という感触をぬぐうことができません。

 

このモヤモヤ感がなぜなのか、自分でも整理するために書こうと思います。

 

疑問1 そもそもお上が決めることなのか

一つ例としてプレミアムフライデーの話をします。

 

僕はすでにサラリーマンを辞めて1年半たっており、だんだんとサラリーマン時代の感覚が薄れていくのが自分でもわかります。

 

2017年からのプレミアムフライデーが実際に実行されているのかというのが、よくわからなかったので、かつての同僚に聞いてみたところ、全く生かされていないし稼働していないとのことでした。

 

もちろん、僕のいた会社はブラックに近いような残業の多い会社でしたので、そうだろうなと思いましたが、それを別にしても、なぜ月末の金曜日という少し考えればわかる忙しい時期に設定したのか理解できません。

 

またプレミアムフライデーについては、成功している企業と失敗している企業との二極化がここでも進んでいると聞きます。

 

そして多くの企業は有給消化も残業問題もそうですが、政府の思惑通りには動きません。

 

これについて、プレミアムフライデーをあくまで運用(魅力的なイベントを考えるとか企業への啓蒙活動とか)で進めようという動きもあるのかもしれませんが、僕はここでそもそもこうしたことはお上が決めることなのかということにこだわりたいと思います。

 

僕は、これはお上の介入する領域ではなく、それぞれの企業とか労働者とかにまかせればいいという意見です。

 

そして、このそもそも論について、こうした改革を実行する前に考慮されていないように思うので、そこが非常に気になります。

 

つまり、政府はひろい意味ではプライベートに半歩ぐらいは踏み込んでいる領域にまで介入するつもりなのだと考えるのです。

 

そして、この官主導の発想というものをくつがえすのは、たぶん無理だろうとも思っています。

 

疑問2 なぜ企業は副業解禁するのか

企業は利益を追求しなければなりませんが、その資源として人材が非常に重要です。

 

そして企業が欲しいと思うような優秀な人材は副業禁止とかいっている堅苦しい会社を嫌います。

 

これが企業が副業解禁を進めている最大の理由です。

 

つまり勘違いしてはいけないのは、絶対に現在いる社員のためではないということです。

 

多くの会社では企業情報を守るために、同業他社での兼業は厳禁にしているだろうし懲罰の対象だろうと思います。

 

しかし現実問題として証券業とか非常に金のからんだセンシティブな情報を扱っている業種は自分たちの力で情報漏洩を防いでいますし、外部の人間を雇ったりしないでしょう。

 

そうすると虚偽の申告で雇われる以外に情報漏洩を理由とする副業禁止は、あまり現実的ではないということになります。

 

むしろ副業を解禁することで、もしかすると会社として辞めて欲しい人間が副業のほうが面白くなって辞めてくれるかもしれないと考えているかもしれません。

 

そこまでいかなくても、給料が安くて生活が大変な社員とその家族を企業がすべて面倒をみるというのは、この変化の激しい時代にあっては、リスクがありすぎることなのです。

 

であれば、週2,3回の就業後とかに害のない副業をしてもらうことで、企業としては安い賃金で雇い続けることも出来るので、副業解禁はむしろ歓迎することなのだと思います。

 

疑問3 なぜ企業は副業を禁止するのか

僕は副業禁止という言葉から、結婚した嫉妬深い夫が、自分以外の男と口を聞いてはいけないといっているような男尊女卑的なイメージを受けます。

 

仕事のことだけを考え集中すること、そのためにはプライベートも犠牲にすること、それをやれて初めて一人前になれる一歩だと考えているように思ってしまうのです。

 

しかし人間はいろんな価値観とか新しいことに出会うことで成長するのです。

 

それも異業種交流という立ち位置が変わらないレベルではなく、どっぷりとその副業につかることで初めてわかることも必ずあると思います。

 

以上から企業が副業を禁止して得をすることは考えられませんが、ブラック企業にあってはその生活時間のほとんどを企業に捧げなければならないので、現実問題として副業とか兼業とかは不可能な状況である場合も多いと思います。

 

そうした時間的な制約だけならまだいいのですが、長くサラリーマンを続けるほどに、発想そのものが何一つ生まれず、人から支持を受けないと動けない状態になってしまいます。

 

これは、その人の責任も多少はありますが、抜け出せない状況をつくってしまっているという点では、企業にも道義的には責任があるように思います。

 

僕は人材関係の仕事をしていたので、多くの人を観てきましたが、今でも覚えているのは、ある証券会社の支店勤務をしていた方の履歴書です。

 

そこには、「支店では長く働き、リーダー的存在だった」という意味が書かれていました。

 

その方は、「リーダー的」であったかもしれませんが、支店長でも副支店長でも課長でもありませんでした。

 

残念ながら、そのリーダー的な点は真面目にやってきたことは評価できますが、あくまでもその企業あるいは支店内での評価であり、世間一般に通用するものではありませんでした。

 

むしろ、そうした面は新しい仕事を取り組むのに邪魔になる場合の方が多いと考えることの方が多いのです。

 

僕はその幾分プライドが高そうな女性、これから苦労するであろう女性を前に、むしろ痛々しい思いで対面したのでした。

 

企業は昔のように、その家族まで面倒をみるというのが理想的だと僕は一方で思っていますが、今はそんな企業もないし、あるとすればオーナー企業だろうし、その将来は保証されないという点では同じです。

 

そうであれば、やはり副業禁止を一刻も早くやめることが良いと思っています。

 

副業解禁と働き方改革法案に国民は関与しているのか

今回は副業解禁についてだけで長くなってしまったので、働き方改革法案についてほとんど書けませんでしたが、僕はこの二つの問題は実は根っこの部分では同じだと考えています。

 

働き方改革法案は野党が心配している点はその通りだと思うし、実質、残業に対する制約がない方向に進むことは間違いありません。

 

しかし、だとしても、副業禁止の企業に優秀な人材がいかなかったり人が定着しなかったりするのと同様に役職や権限とある程度の収入を与えられて、それこそ灰になるまで働かされることでいい仕事が出来るはずがありません。

 

なので現状サラリーマンをしている方は、大いに副業をしたりして外の世界を知ることが非常に大事だと思っています。

 

それは、企業で飼い殺しにされたり、あるいは企業が倒産したりというリスクを避けるために常に準備しておくべきことなのです。

 

副業解禁も働き方改革法案も国民とか庶民にとっては、プレミアムフライデーと同じく、何の意味もない動きです。

 

むしろ国は必要最低限の禁止事項を定めれば十分だと思います。

 

労基法をより単純にして、労基法違反を犯罪としてしっかり認識させるし刑罰も与えるという事を徹底すればよく、「働き方改革」などというちょっと通りの良い言葉で国民の反感を買うことはマイナスにしかならないと僕は思っています。

 

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20180501 by okkochaan