こんにちは、おっこちゃんです。

 

 

今日は最低賃金とその周辺部分を書きましたが、あまり面白くない記事になってしまったかもしれません。

 

 

毎日新聞のニュースによれば、国が運営する就職支援サイト「ハローワークインターネットサービス」で7月以降、時給が最低賃金を下回る求人情報が少なくとも66件掲載されていたことが、厚生労働省への取材で分かったそうです。

 

 

国ベースの運用サイトなので掲載件数は相当な数だと思われますし、そのなかで66件、最低賃金を下回る求人情報がチェックミスにより掲載されていたこと自体について、僕はあまり興味がないのですが、指摘されたもののなかに神奈川県の案件があり、神奈川県といえば、労基署が厳しい印象でしたのでニュースになったのかもしれません。

 

 

しかし、「犬が人を噛んでもニュースにならないが、人が犬を噛んだらニュースになる」といったレベルまでのことかと言えば、違うと思うので、ニュース性としての価値は低いのではないでしょうか。

 

 

まあ、今後はチェックを厳重に行うとかシステムの導入による対策とかたいして興味を引かない再発防止案が書かれていますが、システム変更にしても、どうして初めからやってなかったのかなと疑問を感じます。

 







 

ところで、この最低賃金についてですが、人材派遣業界に長く関わった僕の経験からみても、驚くほど現場では重視されていないし、うっかり忘れてしまう事項のひとつです。

 

 

さすがに知らないという人は労務関係の仕事をしている人の中にはいないと思いますが、世間一般ではご存知ないかたも多いと思います。

 

 

そこで、ごく基本的なことだけおさらいしておきます。

【最低賃金とは】


 

最低賃金法に基づいて各地域ごとに1時間あたりの賃金として毎年規定されています。

 

具体的には都道府県ごとに異なった金額になるので、派遣会社でも隣接した県への派遣などで強く意識しなければならない時があります。

 

また派遣会社にとっても現在の人材不足の問題のほうが大きくのしかかっているため、安い価格では受けづらい状況が続いています。

 

かつては官公庁の案件であれば利益がゼロでも取れ、といった動きは今やほとんどの人材派遣会社ではみられません。

 

民間の会社であれば、派遣会社は料金についても、こうしたマーケット状況から強気ですので、派遣料金の問題はあまりありません。問題になるのは大口の顧客であったり官公庁であったりした場合に入札になりますので、簡単に言えば最低賃金も見据えつつ、どこまで利益を削って廉価多売ができるかどうか、スタッフの集客状況とにらめっこしながら応札していくことになります。

 

 

【地域別最低賃金の全国一覧】


 

最低賃金2016年の全国 一覧については、下記をクリックいただければ厚生労働省のサイトに飛びますのでご覧下さい。

 

地域別最低賃金の全国一覧
この改訂時期は毎年10月なのですが、その理由についてはよくわかりません。

 

 

今年は、安倍内閣の強い意向(2020年に最低賃金を2000円にするという目標があります)で過去最大のアップで全国平均で25円上がっています。

 

 

ちなみに最高額は東京都の932円、僅差で神奈川県が930円です。また全国平均は823円です。

 

 

対して最低額は、宮崎県と沖縄県の714円ですが、この218円の地域格差が実体経済と合致しているかどうかはよくわかりません。

 

 

ただ感覚的には東京都の932円という金額は、うっかりすると下回ってしまう危険性があることは理解いただけるでしょうか。(つまり、うっかり900円でパートの方をお願いしてしまう危険性があるということですが。)

 

 

もし最低賃金を下回る契約をなさって働いていたとしても、この法律は強行法規ですので、労務契約は最低賃金でなされたと看做されます。罰則としては使用者側には、罰金などがくだされ、労働者はその差額を請求し支払いを受けることができます。

 







 

 

【最低賃金をめぐってどのような問題があるか】

 

最低賃金法は昭和34年に出来ていますので、戦後10年ちょっと経過したばかりの高度成長期に入る当時と今とではずれや歪みが生じているのはやむを得ないかもしれませんが、目的は第一条で下記のようになっています。

 

 

第一条  この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

 

 

まず第一に問題であるのは、賃金の低廉な労働者の実態についてです。調査によれば、最低賃金ぎりぎりで働いている労働者のなかでもっとも多いのは、ご主人の年収が500万ぐらいの方のようです。

 

 

つまり暮らしにダイレクトに直結するというよりも、扶養内で家庭を支えるために働いているかたが多いということです。

 

 

僕の派遣営業の感覚からしても、これは正しい実態と思えます。シングルマザーのかたや独身の方の場合は、より時間給の高い仕事につきますので、スキル不足やなんらかの理由(例えば家族の介護でフルタイムで働けないとか、短期間であれば仕事を受けるとか)がない限りは、こうした中間層の方々で占められていると思います。

 

 

そうなると、賃金の低廉な労働者かもしれませんが、生活の保障という観点からは安全圏にいらっしゃる方々ということになり、この第一条が現代の実態に則していないように思います。

 

 

また現在の人不足から牛丼屋さんなどで話題となった働き手がいないために閉店に追い込まれたり、そうならないために時間給をあげたりしている状況があるため賃金があがって仕事が減るという現象もほぼ起きていません。

 

 

つまり実態は最低賃金をめぐっての売り手市場が存在しているわけです。対して、この法律については文章からも読み取れますが、買い手市場の発想で作られています。

 

 

一方で、人材不足は中小企業においては、企業の存続を左右しかねない深刻な問題となっています。固定費としての人件費も重くのしかかっており、最低賃金引き上げについて強い反対をとなえてることも肯けます。

 







 

日本においては、パートタイマーというあまり働く側が守られておらず、そのくせ企業への帰属意識を求める雇用形態がもっとも多くあり、いわゆる人材派遣会社を通じての派遣社員の数とは比較にならないぐらい多く、かつ多くの低賃金労働者を生み出しています。

 

 

僕の知るところでは、日本の大手の銀行は事務センターやコールセンターなどで派遣社員やパート社員を多数雇用していたかと思います。

 

 

先日、電通の過労死の問題がありましたが、日本の銀行も残業をつけさせないなど問題が多くありました。また人材派遣が一般的になるまでは、ひとつの典型的なパターンがあったのですが、それは次のようなことです。

 

 

短大を卒業して20歳で入行し社内恋愛で26歳で寿退職をする、その後、子育てが一段落した32歳ぐらいでもといた銀行でパートで働く。同期入社の男性が少し出世していたりし、賃金には大きな開きができているが、それは自分の旦那も銀行員なので文句はない、といったものです。

 

 

ある銀行の上層部のかたに教えていただいたことがありますが、銀行の仕事はパートの方がいなければ成り立たないそうです。これは牛丼屋さんの店員がいなければ店が成り立たないのと同じ理屈です。

 

 

一方で安倍内閣が打ち出している、同一労働同一賃金をより徹底させ、派遣社員やパート社員にも正社員に準ずるボーナスを支給せよという方針についても、美しい案ではありますが、労働現場からみれば、この銀行の場合にどうやって同一労働を定義するのかなど運用面はおそらく現場に投げられるので判断が難しく、前途多難と思えてなりません。

 

 

最後に

 

最低賃金の問題は日本だけの問題ではなく、ほとんどの先進国で同じ問題をかかえているようです。

 

 

ちょっと書きつけるぐらいでは到底考察しきれる内容ではないので、この問題はこれからも追いかけて行きます。

 

 

ただ、日本の労働者は相対的に守られていない状況であること、一旦レールから外れた人たちが復活するには、相変わらず想像以上に困難な労働市場の環境であることは間違いないと思います。

 

 

 

お読みいただきありがとうございました。

 

20161222 by okkochaan

 

Originally posted 2016-12-22 18:54:41.