今回の神戸製鋼の検査データの改ざんはなぜ起こったのだろうか。
12日の川崎社長の記者会見でも、その点について厳しい追求をされていたが、改ざんの原因と発覚の経緯については明らかにされていない。
ただ出荷先が当初発表の200社から500社となったこと、アルミ・銅製品から主力の鉄鋼製品にも広がっていること、出荷先企業が日本の自動車メーカーを総なめし、JR東日本や海外企業でもGM、ボーイング、ダイムラーなどなど名前をならべるだけで気が遠くなるような企業群がある。
企業の隠蔽体質がいつのまにか醸成されてしまったのだろうか?
この改ざんについては内部告発があったのではないかという推測もされている。
おりしも衆院選の最中で、株式市場は株高傾向のなかで、神戸製鋼の株価は下がり続けている。
この事件は規模の大きさと納入先が自動車メーカーや飛行機など民間の交通手段にも使われる製品の部品ともなっているので、その検査データを故意に改ざんしているという不正は、どれほどの影響があるのか、想像するだに恐ろしいことである。
ここで、僕が思い出すのは、シャープの台湾企業からの買収である。
シャープの場合と問題は違うけれども、その対応に国がからむかどうかは重大な問題である。
個人的には不正は許せないと思うけれども、今回ばかりは仮に神戸製鋼が倒産するとか株価が底になった時点で海外の機関投資家などによる買収とかがありそうに思えてならない。
神戸製鋼と関連会社だけでも大変な問題だけれども、何の罪もない下請け企業まで倒産するという社会的な影響の大きさを考えると、国が救済に乗り出す、つまり多額の税金投入もあるかもしれない。
ただ、その場合、やるなら徹底的に救済しなければならないだろう。
【最悪のシナリオは買収か】
これは、神戸製鋼の隠蔽体質がどうだとか批判して済む問題ではなく、日本の最後の砦である製品に対する信頼を根底から崩してしまう問題だから、考えられる波及以外に予想もしない影響だって出てくるだろうからだ。
そして、最悪のシナリオは、多額の税金投入を中途半端に行って、いわば家が崩れない程度まで守ったところを海外投資家にかっさらっていかれるような事態だろう。
そうなると、日本は世界に誇る技術力、勤勉さ、信頼などこれまで築きあげてきたものすべてを失いかねない。
これまで日本の産業を支えてきたこれほどの企業の不正にきわめて残念という思いがあるし、先達の教えをいつの間にか忘れてしまい、ものづくりをなめきってしまった結果だろうとか、大企業病だろうとか、隠蔽体質とか忖度とか、エリートの成績だけを気にせざるを得ない環境だとか、残業ゼロとかふざけるなという思いもあるのかなとか、ともかく日本社会のかかえているすべての問題がここに凝縮しているのではないかと僕は考えてしまう。
経営責任も当然問われるだろうが、頭を変えればいいというような問題ではないだろう。
検査データを故意に改ざんする行為は製品に瑕疵があることを知りながら瑕疵はないと嘘をついているわけなので、通常であれば最低でも値引きだろうし通常であればリコールである。
実際の加工製品である自動車や鉄道、飛行機などすでに独自で調査を開始しているようだが、その安全基準に照らしてどうなるか、つまり、どの程度の危険が生じる可能性があるのかが当面の課題だが、国民の一人としては、できるだけ大事に至らないことを願っている。
その上で、検査データの改ざんがなぜ行われたのかを徹底究明し、立ち直って欲しい。
20171015 by okkochaan