オッドアイの犬 タロー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふとしたことで、それまで怖くて避けていたオッドアイの犬と友達になりました。

 

この出来事は僕の忘れていた過去の犬との出来事まで思い出させてくれ、年のせいで涙もろくなっていることもあって、心を動かされました。

 

もしかしたら、ちょっと泣ける話かもしれないです。

 

オッドアイで嫌われていた犬のタロー

その親戚の犬は、僕がたまに行くとものすごく吠える上に、飛びかかってくるので、正直、苦手でした。

 

ところが、その家で不幸があり、詰めていた時のことです。

 

人が亡くなった後では、詰めていてもやることもなく、時間をもてあましてしまいます。

 

僕はそれほどでもなかったのですが、息子は本当にやることも話す相手もなく、庭をウロウロしていました。

 

(ちなみに、猫も数匹いるのですが、どこかに消えていました。)

 

で、結局、遊ぶ相手はその犬しかいないという状況になったのですが、その犬は相変わらず吠えまくっているし、チェーンでつながれているのに何度も勢いよく走って向かってきます。

 

そんなわけで、僕は、その犬と遊ぼうという気にはとてもなれませんでした。

 

しかし、僕の息子は違っていて、その犬に興味をもち、特に耳がふさふさしているのが可愛いとか言っていました。

 

そして、近づこうとするので、それなら犬と友達になるには、しゃがんで近づいた方がいいとか教えたら、いつの間にかその犬を撫でていたのです。

 

怖いという思いが先に立っていた僕は、内心驚きました。

 

なぜかというと、その犬は、シベリアンハスキーの雑種らしいのですが、獰猛そうな顔に加えて、オッドアイのためにちょっとみると冷たい印象を受けたからです。

 

その家に来ていた僕のいとこたちも同様に、その犬を怖がってたので、あとの話ですが、僕と息子にその犬がなついておとなしくしているのをみて、非常に驚いていました。

 

また、その家の方は、犬を嫌ってはいませんが、ほとんど散歩に連れていったりしていなかったのです。

 

また、その犬は非常に力が強いので、引っ張られて転んでしまうので、散歩には連れていかない方がいいとの話でした。

 

結局、僕と息子とは、その犬、タローを散歩に連れ出しましたが、タローはあからさまに非常に喜んでいました。

 

体力勝負のタロー

こうして、何度か散歩に連れていくようになって、僕と息子もだんだんタローの性格がわかってきました。

 

その一つは、どうやらタローはあまり頭がいい方ではないらしいということでした。

 

例えば、チェーンを外そうとしているのに、喜んでぐるぐる回るので、足の周りにチェーンが巻かれてしまい、なかなか外せなかったりします。

 

たぶん、頭が良い犬だったら、チェーンを外しやすいようにおとなしくしているのではないかと思ったわけです。

 

これは散歩中も同じで、雑草を嚙んだりするので、草むらに入って行くのですが、チェーンがからんで身動きができなくなったりするのです。

 

しかし、だんだんとタローの性格や状況がわかってきました。

 

まずタローは散歩に連れて行ってもらえないので、かなりのストレスをためていました。

 

そして、実はとても人懐こい性格で、これで番犬になるのかと疑ってしまうほどです。

 

僕や息子がいれば、一緒にいる人に対しても吠えたりせず、むしろ喜んで抱きついたりします。

 

この抱きつき方が迫力があるのですが、大きくジャンプして力強く飛びついてくるのです。

 

四肢は太く頑丈なので、散歩中も急にダッシュで走り出すと油断していると引きずられたり転んだりしてしまいます。

 

その力は、そりを引けるんじゃないかと思うほどです。

 

結局、僕と息子はタローは頭は悪いので、体力勝負の犬であり、とても人懐こい犬という結論になったのです。

散歩をしながら思い出した僕の少年時代の出来事

僕は子供のころに犬が欲しくてしかたがありませんでしたが、親が許してくれませんでした。

 

鳥とか魚ぐらいは許してくれましたが、犬・猫はだめでした。

 

生き物は死ぬとかわいそうだから、とか言っていましたが、僕は犬・猫が好きではなかったと思っています。

 

そんな状況で、僕が7歳の時に、子犬を拾ったことがありました。

 

このあたりからは昭和の話になる面もあるのですが、当時は今よりも、捨て猫とか捨て犬とかが多かったと思います。

 

当時住んでいたところの近くには小さいけど河原が広い川が流れていましたが、ある日、その浅瀬に子犬が浸かっているのを見つけました。

 

見たときには、死んでいると思ったのですが、引き揚げてみると生きていたのです。

 

それからは、当時だからできたようなお決まりのパターンになりました。

 

ドラえもんに出てくる空き地にある土管のようなところに子犬をかくまい、隠れて飼っていたのです。

 

家のご飯とかを持ち出しては、せっせと子犬のところに運びました。

 

その犬を拾ったのが3月3日だったので、ミミーと名付けましたが、もちろん隠れて飼っているのはほどなく親にばれて、捨ててこいと言われてしまいました。

 

しかし、幸い、僕を可愛がってくれていた近所の家がミミーを引き取ってくれることになりました。

 

その家は子供がいなかったということもあると思います。

 

僕は自分で世話をしなくてよく、ミミーを友達として遊べるようになりました。

 

しかし、そんな幸せも長くは続かず、親の転勤もありミミーと離れてしまったのです。

 

それでも、僕は時折ミミーに会いに行っていました。

 

ミミーはコリーの雑種だったので、大きな犬になっていましたが、それでも僕のことはすぐにわかり、決して吠えたりしませんでした。

 

それが、徐々に会いに行くことが少なくなり、ある日行ったときに吠えられたのは少しショックでしたが、声をかけると僕だとわかってくれました。

 

その家では、ミミーを子供のように可愛がっていましたが、ミミーはある日、交通事故にあって死んでしまいました。

 

家の近くを一人で散歩していたところ、自動車にはねられてしまったのです。

 

そういえば、当時は犬が近くを一人で散歩することも珍しくなかったのです。

 

家にはすぐに電話があり、僕も飛んでいきましたが、すでに虫の息だったのです。

 

さて、こんなことをタローを散歩させながら僕は不意に思い出していました。

 

そして、猫を20年近く飼っていたこともあり、ミミーのことはすっかり忘れたばかりか、犬がいつも顔色をうかがうようなことをしたり、相手によって態度を変えたりするところから、いつしか犬に興味をもたなくなっていたのでした。

 

たぶん、タローよりミミーのほうがずっと頭が良かった記憶がありますが、それでも人懐こい性格にどこかしら共通したものを感じるようになりました。

 

タローの教育

こうしたことから、僕は時々、タローを訪ねて散歩させることになりました。

 

そこで思ったのは、どんな自分に自信がない人でも、たとえ犬にでも訪ねると本心から喜ばれることで、自分の存在意義みたいなものを感じることが出来るということです。

 

そして、最近では、タローにこんなことを言っています。

 

「タロー、君は体力だけが勝負だねー」

 

「タロー、君は喜んで吠えたり飛びついたりして、僕にはそれでいいけど、普通の人はそれだと怖がって近づいてこないんだよ。知っている人には、もうすこし優しく接するようにしないといけないよ。」

 

タローはたぶん、わかっていないと思うのですが、僕からみると、本当に生き方が下手な犬だなと思っています。

 

あまりにもストレートな愛情表現とか喜びの表現から、タローが必然的にもっている孤独な面も透けて見え、あわれとも思うのですが、犬と人間とがこうして友情を結べるものだということを実感しています。

 

また僕は今度こそ犬を飼ってみようと思っているのですが、ショップで買う事は考えていません。

 

ネットを見ると里親募集であふれているし、殺処分はいまだに行われていますので、そうした中で縁があればと思っています。

 

20180531 by okkochaan