派遣スタッフはブラックリストを恐れず事態を正確に把握しよう

派遣スタッフとして働いていると、派遣会社にはブラックリストなるものがあるとか聞いたことがあるかもしれません。

 

 

特になぜか仕事にエントリーしても反応がないとか、客観的にみて自分が適任ではないかと思える仕事さえスルーされたりすると心配になりますね。

 

 

Web上の情報を読んでみると、それぞれ間違ってはいないのですが、なにか違和感が僕にはあります。

 

 

それは、ブラックリストにのることが、さも恐ろしいことのように書かれている点です。

 

 

ここでは、ブラックリストとは何か、どうなるとリストにのるのか、のったらどうすれば良いのかについて、しっかり解説します。

 

 

これを読むことにより、あなたはブラックリストと言われるものについて正確に把握し、恐れずに行動することができるようになります。

 

 

またこの記事は必ずしも網羅的に書くことを意図しておらず、ブラックリストの本質に迫ることを目的としています。

 

派遣スタッフのブラックリストとは何か

 

派遣スタッフのブラックリストなる名称のものはありません。

 

しかし、食品の会社が商品管理をするように、派遣スタッフとしてのあなたの適性とか派遣記録をつけて評価をしています。

 

これは、派遣会社がビジネスとして利益を追求しているために不良品を排除しなければならないし、優良品は高く評価したいからです。

 

その結果、何らかの理由で、あなたが登録している派遣会社があなたに対して仕事を紹介できない、あるいは、したくないという状況はあり得ます。

 

それは、あなたを派遣することによるリスクがあり、派遣会社にとって不利益になる可能性があるという判断からきています。

 

こうした不利益を避けるために、派遣会社はいろいろな観点から、あなたが派遣スタッフとして適性があるかどうかを記録し判断しています。

 

問題はここからですが、あなたは、派遣会社がどのような観点であなたを評価しているのか知る必要があります。

 

 

評価方法の大筋は変わらないと思いますが、評価後の扱いとかは会社によって違います。

 

 

厳しい会社だと、5段階評価で1がつくと、紹介を絶対にしてはいけないとしている会社もあります。

 

どうなるとリストにのるのか

 

一般的に考えられる判断ポイントを時系列で書くとこうなります。

 

 

・登録時の評価:挨拶、言葉遣いなどが極端に悪い場合。職歴やスキルに極端な嘘がある場合。

・仕事紹介や応募時のあなたの様子:乱暴な言葉遣いとか上から目線での態度など

・派遣中の派遣先からの評価が極端に悪い場合

・派遣中の営業担当者からの評価が極端に悪い場合

・正当な理由がなく派遣期間を守らなかった場合

 

 

また派遣会社は、あなたが他の派遣会社で就業していた時のことも職歴からチェックできる場合もあります。

 

 

たとえば、1か月ぐらいの期間の派遣就業となっていて、あなたが、もともと短期の派遣契約だったと言ったとしても、その派遣依頼が長期であることを把握していたりします。

 

 

また、あなたが仕事を探して電話までしても紹介してくれないような場合は、まずは以下の点を良くチェックしてみましょう。

 

 

電話が横柄ではないか

 

不思議に思われるかもしれませんが、意外とこの理由は多いです。

 

単純にあなたを怖がっている場合です。

 

あなたがそんなつもりではないと考えていても、言われた側がどう感じるかをスマホで録音するなどして考えてみましょう。

 

繰り返しますが、派遣会社は営利企業なのです。

 

担当営業との相性までチェックしている場合さえあるのです。

 

 

ブラックリストにのったと思われたらどうすれば良いのか

 

まずは、あなた自身、思い当たることがあるかどうか、よく考えてみましょう。

 

 

・派遣期間を正当な理由なく一方的に破棄したことがないか

⇨契約期間は社会人として守って当たり前と考えましょう。労基法の2週間前の退職の申し出については、厳密に言えば派遣期間が1年以内であれば該当しません。就職が決まったという場合であっても、就職先に開始日について了解をとればいいことです。

 

・約束を守らなかったり、連絡なく時間に遅れたりしたことがないか

⇨社会人として当然のことばかりですが、特に派遣スタッフの場合は時間単位の契約になるので時間にルーズではだめです。

 

・あなたの仕事ぶりに対して極端に評価が悪くないか

⇨職場が求めている仕事の質について、出来る限り知るようにしましょう。

 

・派遣先での勤務態度や言動に問題がないか

⇨意外と自分ではわからない場合も多いと思います。営業担当とか親しい友人とか他の人の意見も聞いてみましょう。

 

・派遣会社の社員を怒鳴ったり、不必要に長く電話で相手の時間を奪ったりしていないか

⇨前項で書いた通りです。

 

 

もちろん、何も思い当たらない場合だってあると思います。

 

その場合は、えん罪もしくは、あなたの無自覚のどちらかになります。

 

また、えん罪でなく、単に不運の場合もあると僕は考えているので、これについては、あとで触れます。

 

もちろん、派遣会社のほうが、あなたの悪い点を指摘してくれる場合もあるので、聞いてみるのも一つの方法だと思います。

 

親しい営業であれば、教えてくれるかもしれませんが、答えが返ってくる可能性はあまり高くはありません。

 

派遣会社から満足できる回答が得られなければ、親しい友人とか家族とかに、自分がどのようにみられていると思うか聞いてみる手もあると思います。

 

いずれにしても、可能性のある問題点を出来る限りクリアーにしたうえで、他の派遣会社にも登録し仕事を探すことが一番だと思います。

 

 

派遣会社に問題がある場合もある

他の記事で書いたことがあるのですが、全くの無実で不運にもブラックリストにのってしまった場合も考えられます。

 

どういうことかというと、派遣会社があなたについて、非常に表面的な面だけをとらえて仕事の紹介をしない場合があり得るという事です。

 

ある大手の派遣会社の方に聞いたことがあるのですが、その方が会社の登録スタッフを「あ」から順にすべて見ていったときに、仕事の紹介ができないスタッフの数の多さに愕然としたことがあるそうです。

 

1ページに20人でているとして、そのうち仕事が紹介できる人が1人いればいいほうだったとのこと。

 

もちろん理由の大半は、他で仕事をしていたり就職したりなのですが、馬鹿にできない比率で多いのが、ブラックリスト的な意味で紹介ができないスタッフで、多い場合は、半数以上がその理由になっていたとのこと。

 

さらに理由の詳細を見ていくと、納得できる場合もおおいけれども、実に他愛もない理由である場合も同数ぐらいはあり、これは実に無駄で大きな損失だと感じたとのことです。

 

単純に登録者を集めるのに多額のお金がかかっていることと、その悪い評価をされたスタッフもまた派遣会社に対して、悪い印象を持っていて、それが友達とかスタッフ仲間で広がるだろうという理由です。

 

この点は、派遣会社とか営業担当によって違いがでてしまうところですが、会社の方向性を間違えると、とんでもない浪費が生じていることになります。

 

僕の知る限りでは、営業担当や派遣会社の社員があなたについて、正当な評価をしているかどうかのチェック機能が基本的に派遣会社になく、実にいいかげんな面があると思います。

 

たとえば、あなたに正当な理由があるのに、契約期間をまっとう出来なかった場合の評価などで担当や派遣会社によって違いが出ると思います。

 

 

例をあげます。

 

A子さんは、登録した派遣会社から勤務地、仕事内容、会社、時給などでほぼ希望通りの仕事につけて喜んでいました。

ところが、その喜びは束の間のことでした。

残業はあって、30分までという話だったのですが、定時で帰る社員はおらず、また派遣社員もA子さんだけだったのです。

その結果、A子さんだけ特別な眼でみられ、派遣一人だけだからと割り切って気にしないようにしていたのですが、あからさまではないにしても、嫌がらせに近いものを感じるようになりました。

A子さんとその部署の社員全員の間に見えない幕があるようで、非常に働きづらいと感じるのです。

以前の派遣先では、決して感じたことのない、うまく言葉にできない感覚です。

営業担当に相談したのですが、笑ってとりあってもらえません。

A子さんは、頑張り続けたのですが、とうとうノイローゼに近い精神状態になってしまい、ある日、どうしても起き上がることができず無断で会社を休んでしまいました。

そして、その状態を営業担当に電話し、もうしわけありませんが辞めさせてくださいと言いました。

営業担当は、急に人が変わったように態度が変わり、契約期間をまっとうしてくれと言うのですが、それは到底できないと話し続けました。

しばらく話して営業担当は納得してくれたように思いました。

その後、その派遣会社に何度頼んでも、仕事の紹介はしてくれなくなりました。

 

 

この例は、立場によって意見がわかれる微妙な場合を故意にだしています

 

ただ、微妙なだけに、非常にありそうな話であることはわかるかと思います。

 

僕は、A子さんが派遣された会社が違っていたら、全く問題なかった可能性は十分あること、相談した時に営業担当がとりあってくれなかったこと、この2つの点で、A子さんには不運があったと思います。

 

また営業担当の会社への記録としては、「メンタルが弱く、会社環境に適応できずに突然辞めてしまった。今後の仕事紹介は難しいと思われる」とかなっているかもしれません。

 

問題は、A子さんには、弁明する機会もなく、一方的に派遣スタッフとして不適格と判断され、仕事がこなくなったことです。

 

 

派遣会社側の問題としては、4点あります。

1.A子さんがどのような点でストレスを感じるのかを把握していなかった点

2.相談を受けたときに真剣に向き合ってあげなかった点

3.A子さんに全く弁明の機会がない点

4.営業担当の評価についての評価がなされていない点

 

結果、A子さんは一方的に落第し、仕事がこなくなったわけです。

 

 

そして、このA子さんの派遣の結果は、かかわったすべての人を不幸にしています。

 

派遣先:すぐに辞められてしまって困っている。正直、お金も払いたくない。自分たちに落度はないので、派遣会社はしっかりとうちにあった人を派遣して欲しい。

営業担当:A子さんは無責任なだけで、メンタルが弱いという理由は疑わしい。他の仕事を見つけたのではないか。自分はこんなスタッフのために頭をさげたりして、それが仕事といわれればそれまでだけど、正直やってられない。

A子さん:悩みを相談しても笑って相手にしてくれない、ひどい営業担当だった。二度とあの派遣会社では働きたくないし、人にも勧めない。

 

 

大手の派遣会社であれば、独立した相談窓口があると思います。

 

しかし、相談したことでスタッフに不利益が絶対に生じないことを担保しておかなければ、スタッフは不安で相談できないでしょう。

 

実際に、相談したために仕事の紹介がこなくなるケースもあるように思います。

 

いずれにしても、派遣会社は、こうした経営資源の無駄遣いをしないためと会社の信用をかけて、悪い評価をされたスタッフについて、独立した調査をするべきではないかと思います。

 

それによって、月に100人もの復活スタッフがでてくれば、その作業に要した費用も十分にペイできるでしょう。

 

 

 

結論

 

派遣スタッフはブラックリストを恐れず事態を正確に把握しよう、ということです。

 

またブラックリストまではいかないと思いますが、あまり頻繁に時給の交渉をする人も嫌われます。

 

時給の交渉は、だれが見てももっともだと思えるぐらいの根拠を用意して、必ず成功させるようにすることです。

 

それと、時給が多少あがったところで、たいして変わらないと考えるのもいいと思います。

 

じたばたしても、派遣会社と企業との契約金額を超える時給にはなりませんし、サラリーで生活しているという意味では、派遣会社の社員も派遣スタッフも本質的に違いはありません。

 

派遣社員であれば、年収で500万、派遣会社の社員であれば1000万を超えるのは、通常では難しいと思うべきです。

 

派遣社員の方が派遣会社の社員より多く貰っている場合だってあります。

 

そう考えると、派遣社員と派遣会社の社員とは、派遣というビジネスモデルで仕事を得て、そのビジネスモデルで動いている同じ仲間であると言えます。

 

 

20190216 by okkochaan