新元号の発表で影が薄くなった感もありますが、4月1日から働き方改革関連法の施行が始まっています。
主な変化は、労働基準法の改正であり、残業時間の罰則付きの規制と有給休暇を消化させるために10日付与された労働者に対して5日は労使で話し合いの上で取得日を決めて強制的に休ませるというものです。
しかし忘れてならないのは、政府の副業推進の意向を受けて、厚労省が発表したモデル就業規則においても、副業についてしっかり触れられている点です。
僕は、これらは大きなターニングポイントと考えますが、実際にはどのように動くのでしょうか。
ここでは、副業に的を絞って述べてみたいと思います。
副業についての政府発表のポイント
副業解禁について、簡潔かつポイントを押さえて見事に解説しているのは、以下の厚生労働省のものです。
他のサイトを見る必要もなく、これをご覧になれば何が起きているのか完全に理解できます。
最近、政府発表のデータの信頼性が取沙汰されていますが、この内容に関してはすばらしいと思います。
副業・兼業についての現状認識から始まり、副業・兼業促進の方向性では副業・兼業を導入することによる企業側と労働者側のメリットに言及し、運用上の留意点や時間管理と健康管理、はては雇用保険・健康保険・厚生年金にいたるまで、実に明確に解説しています。
しかも、このPDFはわずか6ページでまとめられています。
嫌味でもお世辞でもなく、あらためて、日本の官僚の優秀さを再認識しました。
これを書いた方が、ブロガーになったらさぞすごいだろうなと思いつつ、同時に公務員は公務員法で副業ができないことに思いいたり、なんだか矛盾しているような気持にもなりました。
そうはいいながらも、現状では、昨年の調査でも、少し記憶があいまいですが、副業禁止を就業規則でうたっている企業は7割を超えていたように思います。
一部の先読みができる会社では、副業解禁をアピールして人材確保に力を入れていますが、現状は一部にすぎません。
しかし、それに対しても、厚労省はモデル就業規則において副業・兼業についても触れています。
このモデル就業規則は長いものなので、該当箇所をちょっと紹介します。
(副業・兼業)
第68条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
①労務提供上の支障がある場合
②企業秘密が漏洩する場合
③会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④競業により、企業の利益を害する場合
(厚生労働省 モデル就業規則より引用)
このように、政府は、労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができると明確に言っているわけですが、企業一般の根強い副業禁止ムードが変化するかどうかが見ものだと思います。
経営者は試練の時
この働き方改革法案の実施にあたって、経営側は大きな試練に立たされていると思います。
当面は、罰則規定つきの残業時間規制と有給休暇を強制取得させることにかかる経費を予算に組み込む必要があるでしょう。
またいわゆる中間管理職の能力も試されます。
部下に残業を頼めないので、自分が代わってやるような対応だと本末転倒であり、無能の看板を出すようなものだからです。
また実質は労働者なのか労働法でいうところの管理責任者であるのかというのもあらためて問われるかもしれません。
実状は、ほとんどの中間管理職は労働者に他ならず、その点も正されていくのではないでしょうか。
また副業・兼業を積極的に奨励している企業は、IT関連など新しい業種がほとんどであり、少なくとも時代の変化を敏感にキャッチし、ピンチをチャンスに切り替える頭をもった経営をしています。
もしこの流れを無視した経営を続けるとなれば、過去の栄光を引きずったまま客離れしてしまった古い体質の観光地のように閑古鳥が鳴く状態となってしまいます。
生き残りをかけた、思い切った改革が必要とされていると思います。
労働者は大きなチャンスの時
一方で、一般の社員にとっては、大きなチャンスが到来したと断言できます。
もし残業が生活残業になっていて収入が減る場合は、迷いなく副業・兼業を開始することをお勧めします。
少なくとも、これまでのようにコソコソと副業を考えるという無駄なストレスはなくなりました。
とはいえ、就業規則に副業禁止と書かれているのであれば、会社と副業・兼業について堂々と話し合いましょう。
この堂々と話すことは非常に大事なことだと思います。
また確定申告は自分ですることも覚悟してください。
副業のメリットは、厚生労働省のPDFにさえしっかり明記されていて、そこがすごいと思った点でもあるのですが、引用すると以下の通りです。
【労働者】
メリット:①離職せずとも別の仕事に就くことが可能となり、スキルや経験を得ることで、労働者が主体的にキャリアを形成することができる。
②本業の所得を活かして、自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を追求することができる。
③所得が増加する。
④本業を続けつつ、よりリスクの小さい形で将来の起業・転職に向けた準備・試行ができる。
(厚生労働省:副業・兼業の促進に関するガイドラインより引用)
明確すぎるので、もはや何も言う事がありません。おっしゃる通りです。
しかし副業禁止が就業規則に存在するためばかりでなく、副業に対する意識調査でも、実際に副業にチャレンジしている人の割合はまだまだ少ない実状もあります。
それは一種の罪悪感がどこかにあるからなのか、単純に面倒でやりたくないのか定かではありません。
しかし、残業が規制され多くの休日が生じてきたときに、何をして良いかわからない状態にだけはなって欲しくないと思っています。
それは、ひところの定年後に無趣味で家でテレビを観るしかやることがない人と変わらないからです。
副業をすれば、これまで思いもかけなかった世界が開ける可能性も高く、より充実した豊かな人生を送れることは間違いないのです。
ぜひともこの流れに乗り、真剣に副業を検討して欲しいと思います。
バラ色の人生を送れるかどうかはあなた次第
僕には、国が法律を使って民間企業の経営まで口を出すことがどうなのかという思いもあります。
そこまでしなければ、さんざん無視され続けてきた36協定の実質上は無制限の残業を破れなかったのか思うからです。
法律が変わっても副業がなにかいけないことのようなムードが消えなかったり、労働者もまた同じ考えを持っている多くの方がいると思われるからです。
変化に対する保守的な拒絶は人間の自然な反応でもあります。
シャンソンにあるようなバラ色の人生を謳歌することは、日本人の感性と相容れないのではないかと思ったりもします。
ですが、とりあえずそんなことは忘れませんか。
むしろ現在の給料のほかに、10万とか20万の副収入を得られて実現できることを考えましょう。
それが出来るかどうかは、すべてあなた次第だからです。
参考サイト
この記事の多くは、下記の厚生労働省を参考にしています。
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20190404 by okkochaan