非正規雇用 30代 男性

日本の社会は、いったん想定された道を
外してしまった人に対しては、
とても冷たい社会だと思います。

 

少し前に働き方改革に関して、安倍首相が言っていた、
「何度でもやり直しが出来る社会」が
出来ていれば、本当にすばらしいことだと
思いますが、世の中それほど甘くないのが現状です。

 

ここでは、非正規雇用の30代の男性という、
今では、珍しくもなくなった方たちについて、
もし、その男性が自分の息子だったら
どのようなアドバイスをするだろうかという
観点から書いてみたいと思います。

 

最近気になった記事

先日、AERA dot.で気になったのは下記の記事です。

 

派遣労働地獄から抜け出せない35歳男性の職歴「夢は月給20万円」 (1/4) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

 

記事はこの35歳で派遣で働いている男性の境遇を
作った社会とか政策、非正規雇用者が増えている
実態を中心に書かれています。

 

就職氷河期にもあたったこの男性の不運、具体的には、
初めての就職が正社員でなかったことが、
ずっと悪影響をしていて、その負のスパイラルから
抜けられないことがフォーカスされています。

 

 

派遣会社で営業をしていた僕の印象ですが、
この35歳の男性の夢が
「月給20万円」ということにショックを受けました。

 

思わず、男だろ、そんな情けないことは絶対に言うなと
言いたくなってしまいました。

 

「夢」ってそんな小さいものでしかないのかと
精神論を言ってもしかたないと思いつつも、
こちらの方ががっくりしてしまうような
状態です。

 

しかし、この男性に対しては、
困難な状況は理解しても、
つっこみどころは満載だと思っています。

 

この男性に特徴的なことは、いくつかあります。

 

1.まだ若いのにあきらめが早すぎる点

2.情報量が圧倒的に少ない点

3.自己啓発の動きが少ない点

4.夢が月収20万と、あまりにも小さい点

 

1.と4.については、現状がそうさせていることも
あるかと思うので、ここでは言及しません。

 

ただ、2.と3.については、意識的な努力が
必要だし今日から出来ることもたくさんあると
思うので、それについて書きます。

 

記事を読んで素朴に疑問を持ったのは、
この方はどうしてもっと広く深く、
情報をとろうとしていないのかという点です。

 

携帯電話も持っているようだし、
ネットとか図書館とかブックオフとかの
書籍から、まずは自分を知るために
いろいろと勉強すべきではないでしょうか。

 

取材されての発言だと思うので、
いつも言いわけをしたり、
人のせいにしたりしているわけではないとは
思います。

 

それにしても、彼の生き方は、
あまりにも受動的であり、
現状がどれほど悲惨であっても、
そこから脱却しようという
気迫や意思を全く感じません。

 

この状態では、たとえ現状の問題が
解決したとしても、すぐに
別の問題が発生するわけですから、
またくじけてしまうのは明白です。

 

 

どんなに運が良いと見える人間でさえ、
乗り越えてきたことはたくさんあるはずです。

 

それを表に出すか出さないかの違いがあるだけです。

 

たとえば、彼が不運と思っていることでも、
受け取る人によっては、全く違った内容に
なるのです。

 

太字がその違った受け取り方の例です。

 

・ 職業訓練校で印刷技術を学んだが出版不況となり就職先を紹介してもらえなかった
就職してから不況になることを免れてラッキーだった。

 

・ 手に職をつけようとフォークリフトの免許をとったが現場では初心者はフォークリフトを扱わせて貰えなかった
免許をとるだけではフォークリフトに限らず
駄目だという事を学ぶことができた。

 

・ 派遣会社がいいかげんで、契約書も送ってこない。
1年すぎて有給休暇を確認したらないといわれた。
人を信じて頼ってはいけないという事を学んだ。

 

・ 3年たっても派遣会社からも派遣先からも直接雇用について何もいわれなかったので辞めた。
法律が大事なことが分かった。
(これが2018年10月時点で3年経過しているのであれば、
派遣元は雇用処置をとることが義務付けられています。
この権利は主張しなければだめです。)

 

・ ハローワークで何社も受けたが経験不足でフォークリフトを扱える就職先はなかった
フォークリフトにこだわる自分を見直すことができた。

 

・ ホワイトカラーに強い派遣会社は自分の職歴では敷居が高く感じてしまう。
やる前に自分で勝手に判断するおろかさが分かった。
(ちなみに、コールセンターなどで時給1500円の仕事など
たくさんあると思います。)

 

・ 正社員は大変なばかりで魅力を感じない。
自分は結局、なりたい自分になっていることが分かった。

 

以上は、スマホがあれば、簡単に検索して
わかることばかりです。

 

こんな簡単な努力も怠っている状態では、
救いがないとしか言いようがありません。

 

僕の提案

まず自己認識がかなり甘いし、
勉強もしていないので、そこから始めましょう。

 

自分に許された時間をすべて使って、
読書とネットからの情報を徹底的に
インプットすることです。

 

そして、自分に一番やりやすい方法でいいので、
その日学んだことを日記につけましょう。

 

スマホのメモとかでもいいし、ノートにつけてもいいです。

 

少なくとも1か月ぐらいは、その努力をしてみて、
次のことを考えてみましょう。

 

1.自分が正社員になりたいかどうかとその理由

2.自分が人生で本当にやりたいこと

 

1か月はあくまで目安です。

 

上記について、自分なりの答えがでるまでは、
その場を動いてはいけません。

 

 

あなたの現在の境遇に社会の問題がないとは言いません。

 

しかしながら、その問題を問題にしたり、
自分の状況をその問題のせいにしたりしても、
何も生まれないのです。

 

どのような生き物も、命がある限りは、
必死で生きています。

 

芥川龍之介が自分の子供に語った言葉で、

「人生は戦闘である」

という言葉があります。

 

黙っていても、素直で真面目ならば、
他の人が心配して良くしてくれるとかは、
期待してはいけないことです。

 

自分の人生は自分でつかみ取るしかありません。

 

それと、勉強期間の間は、生活を切り詰め、
17万円で満足しましょう。

 

実際問題17万が20万になることに、
どれほどの意味があるのか、
僕には全く理解できません。

 

今の仕事が勉強の負担になるのであれば、
ホワイトカラーの派遣会社に登録しましょう。

 

ホワイトカラーの派遣会社は、資格取得とか
勉強とかで派遣という働き方を選ぶという
ストーリーを好意的に受け取ることでしょう。

 

いや、派遣会社に限らず、世間一般がそうかもしれません。

 

登録に関しては、自分の気持ちを奮い立たせて、
多少の話は盛ってもいいので、相手にわかりやすい話を
組み立ててください。

 

それは面接における志望動機と同じです。

 

勉強最優先ですから、時給1500円で安定し
かつ残業の制約がない仕事を紹介してもらって
ください。

 

そして派遣での仕事は、
あくまで生活のためと割り切り、
主目的を勉強においてください。

 

20181105 by okkochaan