ぼくは、コロナで自粛しているというよりも、コロナに関係なく引きこもりなので、庭の鳥を観察することが多いです。
あたたかな日差しを浴びて、くつろぎながら鳥を眺めているときは至福の時でもあります。
我が家の庭で主に観察している鳥は、ヒヨドリとスズメです。
これにキジバトが加わりますが、キジバトの場合は、つがいで巣作りをする場合は、しばらくいますが、そうでなければ、独身のキジバトがたまに来る程度です。
以下は、最近の観察から気づいたこととか思ったことをつらつらと書いたものですが、たぶんあまり人様のお役に立つ内容ではないような気もします。
せめて、自粛などしていて、周囲の自然に少しでも興味をもっていただく入口になればと思っています。
ちょっとした庭とか、ちょっとした自然があれば、たとえそれが、雑木や雑草だけであったとしても、必ず発見がありますから。
しばらく憎らしかったヒヨドリ
ぼくは、しばらくの間、ヒヨドリが嫌いでした。
その理由は、スズメやハトを追い払ってばかりいるからです。
家ではセキセイインコを飼っているのですが、飼育法としては、文字通りインコと共同生活をするというスタイルです。
つまり寝るとき以外は、常に放鳥しているので、いまや、ぼくの十畳の部屋は鳥小屋であり、ぼくは鳥小屋のなかで生活しているとも言えます。
この生活も1年を超えました。もともとは、YouTubeでチャンネルを持って、インコの動画をアップしてお小遣いを稼ごうというよこしまな考えで飼い始めたのです。
しかし、生来のなまけものであるぼくは、腰が重く、どうしても動画を撮る気持ちになれません。
そもそもアイフォンで写真を撮ることすらおっくうに感じるぐらいなので、動画を撮り、サムネイルを考え、編集したり文字起こしをしたり音楽を入れたり、編集をしたりとか、考えただけでやる気がなくなってしまうのです。
時代はYouTubeだとか個人が発信できる動画だとか言うのですが、動画は、ぼくの性格にどうしても合いそうもないので、動画の計画は頓挫したままです。
あ、話がそれてしまいました。
つまり、ぼくの部屋はインコのコロちゃんの小屋でもあるので、どうしても糞とか羽とか、インコなので、いろいろいたずらをして小さなゴミをつくるので、毎朝掃除をしています。
その掃きだしたゴミのなかには、粟とかヒエとか、スズメが好むものがかなりありますので、それを食べようとスズメがやってきます。
始めは決まった2羽が来たのですが、しばらくするとそれが10羽ほどになりました。
スズメはなかなかかわいいので、パンなどが余った時に、細かくしてスズメのためにあげたのですが、そこにヒヨドリがあらわれたというわけです。
ヒヨドリはスズメたちを追い払い、パンを食べてしまいます。
多少のことなら我慢するのですが、ヒヨドリは常にどこからか高いところで見張っていて、スズメがパンに近づくと急降下で羽を広げ、スズメを追い払うことを繰り返すのでスズメはパンを食べることができません。
ぼくは、スズメのために、あるいはハトが来ればハトのためにパンをあげているし、スズメとハトは喧嘩したりしないので、この独占欲の強いヒヨドリが嫌でたまらず、パンも捨ててしまったりしていました。
しかし、ヒヨドリは本来、甘いものが好きで、リンゴなどの果物が好物のはずですが、パンも冷えたご飯でも食べるようです。・
またヒヨドリはたとえエサがなくても、ぼくが一度でもパンをおいた場所があると、それに味をしめ、粟やヒエなどヒヨドリが食べない食物にスズメが集まっても追い散らすようになりました。
ヒヨドリとスズメから考えてしまった
最近、少し考え方を変えて、パンは初めからヒヨドリにあげることにしました。
それで、スズメが集まるぼくの部屋の出口近くではなく、庭の樹木の間に古い椅子にパンをちぎった器の乗せてヒヨドリにあげることにしました。
こうすれば、ヒヨドリはスズメをいじめないだろうと考えたのです。
しかし、ヒヨドリの守備範囲はぼくが思った以上に広く、そういえば鳥の眼は人間よりもはるかに広いし、ものごとを広く観るという意味で、「鳥瞰」という言葉もあることに思い至りました。
スズメはパンに近づかないのですが、自由人であるスズメはあちこち移動しながらパンの周囲をチュンチュンいいながらうろついたりします。
すると、すかさずヒヨドリがやってきて、斜め急降下でスズメにおそいかかろうとしたり、地上すれすれに高速で、地面と平行に飛びながら、スズメを追い散らすのです。
ちなみに、ヒヨドリが実際にスズメをくちばしで突っついたりすることはほとんどありません。あくまでも脅しなのですが、一回一回の脅しは徹底したものがあります。
また時折、パンの上を左から右、あるいはその逆で、飛翔しながら、あたかも縄張り宣言をするように横切ったりします。
このようなガードマンよろしく活動しているのは、たった一羽のヒヨドリなのですが、よく見ると、もう一羽のヒヨドリが、つねにやや低いところにいたりします。
始めは夫婦なのかなと思ったのですが、その一羽がパンに近づいた時にガードマンのヒヨドリの方がかなり強く追い払っていたので、夫婦ではなく、隙あらばと狙っているだけのようです。
同種に対する攻撃は、スズメと比較しても明らかにわかる強いものでした。同じ仲間は手の内もわかっているので、より警戒するからだと思います。
ちなみにスズメの場合は、ヒヨドリの攻撃に対して、実にたくみに反応しています。
スズメは必死で逃げているかのように見えますが、ちゃんと逃げ方を知っているし、実はヒヨドリが脅しだけだとわかっているような節もあります。
1~2羽が逃げて、あとのスズメは少しずれて、またすぐに戻ってきたりするからです。
逃げたスズメも全く懲りずに戻ってきます。
これは、あたかも聞き分けのない生徒に八つ当たりしている先生のように見えなくもありません。
ストレスをかかえるのは、追っても追っても近づいてくるスズメにいらついているヒヨドリのほうです。
ヒヨドリはかなりいらだちながら、エサ場を守っているわけです。
パンは決してヒヨドリの好物ではないし、またスズメが食べても十分な量があるのに、仲良く食べるという行動には決してなりません。
こうした観察をしていて、ぼくが初めに感じたのは、独裁主義と民主主義ということです。
もちろん、考えながらこじつけかなと思ったりしたのですが。
しかし、ヒヨドリはたった一羽で孤独であるのに対し、スズメは10羽ぐらいで追われても追われてもまた現れます。(ちなみに、しつこいのは鳥一般の共通した性格だとぼくは思っています)
結局、ヒヨドリは不要な食糧を守ることに必死であり、スズメは何があってもめげず動ぜずなので、ぼくはスズメの方がはるかに強いことがわかりました。
急にヒヨドリがいとおしくなった
そんなことを繰り返しているうちに、ぼくは急にヒヨドリのこうした生き方しかできない様子が、なんだかかわいそうになってきました。
周囲に迎合しないといえば、多少はかっこいいかもしれませんが、その内実は、孤独で、常に不安といらだちのなかで生きているのです。
一方でスズメはあたかも繰り返し陸を侵食する波のように、途絶えることがありません。
キジバトも今は独身ですが、夫婦で行動することが多い鳥なので、いずれは伴侶を伴い巣作りをするかもしれません。
ヒヨドリも家族には愛情深い鳥らしいのですが、現在のヒヨドリからはあまり想像ができません。
ヒヨドリの巣作りは、とても簡単なもので、雛の巣立ちまでの期間もわずか10日間です。
群れずに常に周囲を見張る緊張のなかで生きているヒヨドリが、なんだかいとおしくなってきました。
平安貴族のペットだったヒヨドリ
ヒヨドリはかなり頭が良い鳥であることも、その行動を見ているとわかります。
ぼくの感覚では、その知能はカラスぐらいあるのではないかと思えます。
調べてみると平安時代には貴族の間で、ヒヨドリをペットとして飼うことがはやっていたらしいです。
ヒヨドリは非常によく人になつくし、よく見ると、そのつぶらな丸い瞳とか、ぼさぼさ頭(実はトサカの変形したものらしい)とか、とてもかわいいです。
もともとスズメ目なので、大きな分類ではスズメと同根であり、家のヒヨドリのようにスズメを追い払うのが一般的ですが、中には、スズメの群れに交じって仲良く生きているヒヨドリもいるらしいです。
たぶん、このあたりは、教育(生まれ育った環境)の問題なのでしょう。
家には野良猫もたまに来ますが、よく動画にあるような人懐こい猫にはあったことがありません。たまに小さな子猫もいますが、子猫でも同じです。
ご近所には、野良猫にエサをあげたりする人もいそうもないし、常に人に追われて生きてきて、親もそうして短命でなくなり、人に甘えることなど想像もできないのだと思います。
そうしたことを考えているうちに、ぼくはヒヨドリにもう少し優しく接してみようという気持ちになりました。
ヒヨドリの大好物である果物をあげたりして、手なずけていこうと思ったわけです。
たぶん、人間も同じですが、こうしてステップを踏んで初めて、スズメとも協調できるヒヨドリが生まれてくるのではないでしょうか。
ヒヨドリは野鳥なので、飼うことはできませんが、根気よく果物をやるなどすれば、ぼくへの警戒心は薄れるかもしれないです。
鳥は一般の方が思う以上に、頭が良く、その頭の良さは犬猫にも劣らないと思います。
その祖先は恐竜だったわけだから、当然かもしれませんね。
ps ハトについては以下の記事を書いています。
20210227 by okkochaan