違法残業

4月から残業に対して使用者側に罰則規定付きの改正労基法が適用されていますが、それをあざ笑うかのように相も変わらぬ違法残業が後を絶ちません。

 

厚生労働省は25日、過労死の労災請求などがあった全国8494事業所を対象に昨年11月に実施した集中取り締まりで、33%に当たる2802事業所で違法な残業が見つかったとして是正を勧告したと発表した。このうち868事業所で月100時間超の残業をしていた労働者がいた。
(引用:ヤフーニュース 全国2802事業所で違法な残業 月200時間超も多数

 

もちろんこのニュースは割り引いて考えなければならない点があります。

 

まずは、調査実施時期が2018年11月なので、改正労基法の施行前の調査であること。

 

さらに、過労死の労災請求などがあった全国8494事業所を対象とした調査であることです。

 

それにしても、過労死の労災請求が8494事業所あるという数字も驚くべき数ではないでしょうか。

 

このうち違法残業が指摘された事業所が33%あるという割合はどう考えるべきでしょう。

 

少なくとも過労死をした社員がいながら、3割以上の事業所がなんら対策を立てていないということは言えると思います。

 

昨年11月から改正労基法の施行の2019年4月までにすでに対応はしていて、問題は解決していると思いたいですが、どうなのでしょうか。

 

違法残業には2種類ある

念のため違法残業には2種類あることを書いておきます。

 

1.1か月の残業時間が45時間を超える場合
(特別条項付きの労使協定を結べば例外も可能)

2.残業代を支払わない(サービス残業)の場合

 

いずれかに該当すれば違法残業の可能性が高いと認識しましょう。

 

ネット上の反応からはネガティブな予測しか見えない

 

しかし、このニュースでもっとも気になる点は、ニュースに対する一般の方からのコメントでした。

 

全体的にあきらめムードが強く、こうした残業の実態を知りつつも受け入れざれないという状況があるように思います。

 

そこから何らかの統一的なアクションが出てくるようには見えません。

 

・こんなのは氷山の一角であり、バレなければ残業させてもかまわないと思っている

・中小企業を調べればもっと数字はあがると思う

・ホワイトカラー・エグゼプションのもとで名ばかり管理職の残業は増えるのではないか

・国営企業で働いていたが、タイムカードを切ってから毎日1~2時間サービス残業をしていた

・是正勧告程度では何も変わらないが、国は企業を優先しているので無理だろう

無駄な人員の配置と時間当たりの生産性が低いため賃金も低い

・違法な残業であってもせめて給料は払って欲しい

・36協定特別条項の「特段の事情」など無意味なので撤廃すべき

以前勤めていた会社は月200時間はザラに超えていたが勤怠上は40時間って事にされていた

・労基署も会社にヒアリングするのではなく、労働者本人に直接調査するべき

・労働法に合わせると仕事が追いつかないので全員業務委託契約にしているが、その結果、月400時間は働いている

管理職側が長時間労働=優良労働者という認識が強い

残業時間を規制すれば隠れサービス残業が横行するだけ。残業代不払にも重い罰則を規定すべき。

現行の労働基準法の罰則規定が機能していない結果だ

(ヤフー記事のコメントから抜粋)

 

以上は特に否定的な意見に偏っての抜粋ではありません。

 

全体的に、あきらめムードを感じるのは僕だけでしょうか。

 

労働問題だけではありませんが、今日本を支配しているのは頑張っても報われないという閉塞感ではないかと思います。

 

だからこそ、別に何も変わらない新元号に過剰に反応したりもしているのではないでしょうか。

 

しかし、気持ちを入れ替えて、辛い過去は忘れたいという気持ちはすごくよくわかります。

 

別におめでたくないのに、あけましておめでとうと言っているのと同じなのですが。

 

今、日本は、多くの人があまり幸せとは言えない状況で、細々と長く生きる社会になりました。

 

年金は少なくなる一方でありながら、支給開始は75歳になるかもしれず、医療費は高くなり、税金もあがっています。

 

何のために生きているのか、幸せな社会とは何なのかとか、真剣に考える時が来ています。

 

 

20190428 by okkochaan