いよいよ2019年が始まりました。
僕は、人材派遣業界が2019年以降に伸びるためには、柔軟なシステム化とが必須だと考えています。
この業界もすでに成熟期に入っているので、残念なことに古い発想しか持たない経営者や社員も増えているかもしれません。
しかし、重要なのは透明性と公平性と迅速性を兼ね備えた柔軟なシステムの構築なのです。
そのために必要なのは、すべてをゼロベースで考えられる思考力と粘り強い行動力で、これはかなりハードな作業になるのではないかと思っています。
柔軟なシステム化とは
システム化というと、非常に危険な誤解をまねく可能性があるため柔軟なシステム化と言っています。
何事もそうですが、ニセモノほど始末が悪いものはありません。
それも悪意がないニセモノで、生半可な理解とも言います。
こうした誤解に基づく改革なら、やらない方がマシなのです。
ニセモノかどうかの判定は非常に簡単です。
それは、そのシステム(やり方)を導入することにより、仕事が増えたかどうかという点をみればいいのです。
仕事が増えていれば、そのシステムはニセモノと断定できます。
僕が言う柔軟なシステム化とは、利用できる技術を徹底的に利用し、それにより生じる力を、注ぐべきポイントに集中することです。
それにより、ルーチンワークは激減し、本当に顧客である企業やスタッフに役に立つ会社になると思います。
人材派遣業のサービスはラットレース
銀行、旅行代理店、飲食店などお客と直接接する業種は、とにかくお客様に対して丁寧な対応が求められます。
しかし、それはいわゆる感情労働を強いることになり、ストレスの原因になっています。
派遣会社にとっては、お客は企業とスタッフの両方向にあり、この場合によっては対立する二つの要素を感じの良い対応で的確に問題解決し、調整する能力が求められています。
そのため、派遣会社の社員の方の多くは、この部分がコアビジネスだと認識しているのではないかと思います。
しかし、この部分はあきらかにラットレースであり、コアビジネスでもない無駄な努力というべきところです。
特に、日本は、他の国と比較してもサービス業に対する要求レベルは非常に高い国です。
つまり、親切に手取り足取りお客に対応するのが当たり前となっています。
しかし、これが長時間労働など企業のブラック化の一因にもなっています。
ただサービスの質の低下は顧客離れの原因になるので、絶対にできません。
サービスの質を向上させ、ラットレースから抜け出すにはどうすればいいか。
僕の答えは、ロボットにまかせることです。
今はロボットをみたことがない人も少ないと思いますが、回転ずし屋で小気味よいぐらい来店顧客をさばいたり、携帯ショップで番号札をくばったり質問に答えたりしています。
しかも、ロボットは、銀行や郵便局の窓口でお年寄り相手に温かみのある対応だって出来るのです。
人は、自分のことを気にしてくれているということを知るとその店の対応を評価します。
犬猫など人間と会話ができなくても、愛情を注げるのも同じ理由です。
つまり、親身のある対応は、類型化できるものであり、人間しか出来ないと思うのは固定観念なのです。
類型化が出来れば、システム化が出来、システム化が出来ればロボットに業務を委託できるのです。
スタッフ参加型の自動マッチングシステム
派遣会社に登録する⇒仕事を決める⇒仕事を始める
派遣会社に派遣依頼をする⇒派遣スタッフに仕事の説明をする⇒派遣スタッフが仕事を開始する
この派遣会社の主業務と言っていい部分も、自動マッチングシステムにより、ほぼ100%自動化が出来ます。
ほんのちょっと前まで、仕事をさがすとなれば、とらばーゆなどの雑誌とか新聞広告を見ることが多かったと思います。
今は、ネットを見ることが普通になり、そこから仕事を検索して、応募とか登録申し込みとか出来るようになっています。
この紙媒体からネットまでが今の状態です。
しかし、これからは、ここからさらに進化して、自動マッチングシステムが当たり前になってくると思います。
考えてみると、仕事を決定する要素は、決して多くはありません。
派遣の場合だと、時間給、仕事内容、勤務地、勤務時間、勤務日、派遣予定期間ぐらいで、たった6項目しかありません。
ただ仕事を紹介する側や仕事を探す側からすれば、この6つの要素が複雑に絡み合っているように見えるため、面倒というか入り組んでいるように錯覚するだけなのです。
でも、よく考えてみてください。
派遣スタッフにとっても、派遣会社にとっても、企業にとっても、一番重要なのは、希望に近い結論に出来るだけ早くたどり着けることなのです。
そして、これこそ派遣会社の評価を決定づけるものです。
さきほど、たった6つの要素と言いましたが、人間にとっては6つの要素をすべて記憶して数ある仕事から適切なものを紹介することは、難しいことではないでしょうか。
これは、たとえて言えば、6つの単語を瞬時に記憶させ復唱するというテストをしてみればわかります。
しかし、この仕事の選択はコンピューターにとっては簡単なことです。
つまり、コンピューターが行った方が、求めている答えが出てくることになります。
現在もすでに検索という手法をつかって、コンピューターを利用しているわけですが、今後はさらに進化して、仕事の仮契約まで一気に持っていくことが可能になります。
求人も仕事を得ることも、実態は金融商品の取引と何もかわりません。
ただ、仕事は慎重にとか、人間を相手にしているんだからという偏見が目を曇らせているだけです。
なので、僕がイメージしている自動マッチングシステムは、金融商品の取引と同じように、仕事と労働の売買をシステム上で行うことです。
この場合、売り板は仕事であり、買い板は派遣スタッフというのが標準装備かもしれませんが、逆でもいいかもしれません。
つまり、売り板が派遣スタッフであり、買い板は企業という関係です。
また職種は金融商品(為替であれば円とかドルとか)に該当します。
これにより、瞬時に無数のディールが決済されていきます。
職場見学を廃止する
人材派遣について法律は面接を禁止しています。
つまり企業は特定の仕事をこなせる人を派遣依頼し、派遣会社は登録者のなかから、条件に適合したスタッフを選出して派遣するという建付けになっています。
しかし、実態として、この法律は空文化しており、面接的なことを職場見学と称して行っています。
ですが、この「職場見学」は、派遣スタッフにも企業にも人材派遣会社にもいいことは一つもありません。
職場見学に要する時間や交通費を考えれば一目瞭然ではないでしょうか。
前項の自動マッチングシステムにはシステム完成までの時間や経費のハードルが高いかもしれないので、むしろ職場見学の廃止から始めた方がすぐに効果はあがると思います。
ここでは、自動マッチングシステムが正常に稼働していると仮定して話します。
売り板、買い板の突合でシステム上の決済がされた状態を「仮契約」の状態とします。
企業もスタッフも派遣会社もこの仮契約に拘束され、大きく条件が異なる場合以外は、成立する契約となります。
仮契約の状態は無期限にあるわけではなく、24時間以内に契約する必要があります。
この場合、職場見学に変えて、電話もしくはビデオ電話をシステム上で動かして「契約確認」を行います。
企業は会社や仕事内容の説明を行い、必要なスキルの確認をスタッフに対してします。
スタッフはそれに回答し、気になる点について質問をします。
ただ6項目につていは、仮契約の内容で確定しているので、これは話題にしません。
そして確認が問題なければ、開始日についての詳細確認で終了です。
もし、この手続きで契約に至らなかった場合、派遣会社はデータとして記録をしておきます。
またこの契約確認の内容もすべて記録されますので、派遣後に問題が生じた場合にもすぐに確認できます。
以上でこれまでの職場見学は廃止することができ、より安全に契約が確認できます。
売り方としては、AIが選ぶ派遣システムとなります。
結婚相手の相性ですら機械が選べるのです。
まして仕事の選択ができないわけがないのです。
またすべての記録は、ビッグデータとして、有効活用ができます。
契約更新、契約書はブロックチェーンで管理する
ブロックチェーン技術がいろいろな企業で取り入れられています。
この技術は複雑な契約内容も網羅することができるので、契約内容、法定帳票などはブロックチェーン化しておくことをお勧めします。
独自の派遣会社のコインを発行し、派遣料金や給与をコインで支払う日も、遠からず訪れると思いまので、この先行投資は話題性もあり、有効だと思います。
仮想通貨のブロックチェーン技術については、ご存じない方も多いと思います。
ひとつだけコインを紹介すると、例えば、DLT(アレグロ)という仮想通貨は、スマートコントラクトという技術をつかって、複雑な契約内容を安全に結ぶことが出来、かつAIが管理してくれます。
しかも、操作はスマホ上で簡単に出来るのです。
トラブル対応を極限まで減らす
人材派遣では派遣開始してから様々な問題が生じ、この対応に多くの時間と労力を使っています。
この対応は精神的にもかなりのストレスになるので、こうした対応をしないですむ方法を徹底的に考えましょう。
ここでは、ありがちな問題について、その解決例を書きます。
企業側からのトラブル連絡
派遣スタッフのスキル不足 ⇨ 契約確認を参照し契約更新なしで終了。重大な認識違いがあれば、派遣会社で対応し解決する。(なお、初回契約期間は7日間とか出来るだけ短く設定する)
スタッフ側からのトラブル連絡
仕事内容が違う ⇨ 契約確認を参照し契約更新なしで終了。もし企業の説明で誤解をまねく可能性がある場合は、説明内容の変更を依頼する。
ここで、ポイントとなるキーワードは、「契約期間」になるかと思います。
派遣契約の原則は、3者(企業、スタッフ、派遣会社)の合意がなければ派遣期間の満了で終了するという認識をもってもらうことで多くの問題は防ぐことができます。
派遣会社としては、せっかく派遣したので長く働いて欲しい、
派遣スタッフとしても、せっかく仕事が始まったので長く働きたい、
企業としても、せっかく仕事を覚えて貰えたので長く働いて欲しい。
これらは、あくまで希望であり、予定や見込みとしてはあっても、契約ではありません。
つまり、長期派遣であるとか紹介予定派遣だから社員になれるとか、すべて幻想にすぎません。
この幻想が多くの無用なトラブルを生んでいて、企業も派遣会社もスタッフも惑わされているのが真実なのです。
特に長期派遣依頼の場合は、必ず十分な確認を事前にしておきましょう。
最後に
人材派遣というまさに人を介するビジネスの典型的なものであっても、ほとんどの部分で、柔軟なシステム化が可能であることがご理解いただけたでしょうか。
僕の目的は、この柔軟なシステム化を成し遂げることにより得られた時間を、より有意義に使って欲しいということにつきます。
またシステム化を行うことにより、人件費をカットできますが、それは他の産業でも同じだと思います。
派遣会社の社員の方には、僕が書いたことは僕ですら想像できることなので、きわめて現実的にすぐそこまで迫っていることだと認識してほしいと思っています。
派遣会社の社員の方には、よりよいサービスを社会に対して与えることで対価を得るというビジネスの本質にそった活動を行い、所属する会社の価値を高めるという重要なミッションがあるのです。
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20190102 by okkochaan