金持ち父さん貧乏父さん感想文

金持ち父さん貧乏父さんが日本で出版されてはや20年がたちます。

 

ここでは本の内容にはあまり触れず、僕の感想と万一、読むべきかどうか迷っている人のためにこの本を紹介してみたいと思います。

 

僕自身、悪い癖だと思っているのですが、ベストセラーとかはやりの歌とかに接すると新しいものへの嫌悪感が生じる傾向があり、すぐに自分で読んだり試したりしません。

 

しかし、今では、それについての結論は出ています。

 

それは、「下手な考え休むに似たり」ということなのですが、つまり先入観なく何でもやってみることにしています。

 

ですので、もしこの「金持ち父さん貧乏父さん」を名前から何となく想像するだけで読んでいないかたには、ぜひご一読をお勧めします。

 

これは少なくとも一読の価値はある本なのです。

 

かつて印象に残った金持ち父さん貧乏父さんの感想

 

どなたの発言だったか、名のある方のものか無名の方のものかすら覚えていないのですが、「この本の貧乏父さんについての記述を読んで涙が止まらなかった」という感想がずっと僕の心に引っかかっていました。

 

それは、おそらくは僕の父親とも無意識に比較して、そう感じたのだろうと思います。

 

そして、当時の僕は、この本が狙いとしている貧乏を脱却し金持ちになること、そのための思考や行動に思いを致す前に本能的に(つまり素朴な少年の漠然とした思いとして)自分が金持ちになることはないだろし、僕もきっと泣いてしまうかもしれないという恐怖から、この本を読んでみようという気になれなかったのです。

 

だれしも幸福になりたいし、お金が幸福を約束するわけではないけれど、お金によって解決できる問題は多いし、自分がお金がいらないなら必要としている人にあげればいいのではないかと今では思います。

 

しかし、僕には「名もなく貧しく美しく」が美徳だという固定観念が本当に執念深くこびりついていました。

 

その点、今の若い世代の方々には、こうした夾雑物はほとんど見られないので、いいことだと思っています。

 

なんでその人は泣いたのかなとずっと考えていたのですが、それは、親子の関係が好き嫌いの問題を超えて存在し、それは親が亡くなってからも変わらず引きずっていく類の非常に個人的で他人の介入を許さない問題でありながら、他人と分かり合える部分でもあるという不思議な構造をもっているからかもしれません。

 

「貧乏父さん」であるロバート・キヨサキさんの実父は、日本人の感覚から言えば、学者であり熱心な教育学の学徒でもあり、社会的にもハワイ州の教育の長にまでなった方なので、社会的には成功したということになるかもしれません。

 

しかし、その貧乏父さんは、死の床でキヨサキさんに「何も残してあげられなくてすまない」と言い貧乏のなかでお亡くなりになりました。

 

これは僕自身もかなり近い体験をしているので、その時の、どうにもやり場のない気持ちがよくわかります。

 

頑張っているのになぜかお金がない、いつも忙しくて父親と遊んだ記憶がほとんどないという状態は、日本のサラリーマンの標準的な家族とほぼ重なるのではないでしょうか。

 

父親は家族のためと思って過酷な残業もこなし、深夜に家に帰ってもすでに子供も奧さんも寝ている状態は、決して健全な状態ではありません。

 

あまつさえ、仕事と称して飲み会に顔を出したり、休日さえゴルフに行ったりさえしています。

 

そして、それをほとんどの人が「しかたなく」受け入れているのです。

 

父親の家族に対する愛情は本当のものでしょう。

 

本心からたまの休日は家族全員で楽しく過ごしたり、遊園地に出かけたりしたいと思っているに違いありません。

 

しかし、生活のための仕事がすべてを台無しにしてしまいます。

 

また、父親(ここでは貧乏父さん)にとっては、それ以外の収入の道を考えることも行動することもできないと思っている人がほとんどなのです。

 

この子供にとっては、どうしようもない絶望感が、涙がとまらなかった理由だと思います。

 

ベストセラーになったがアメリカでは批判も多かった

この本に対する評価やその後の行動を見てみると、日本とアメリカとでは大きな違いはないように思えます。

 

現在にあてはめると、ちょうどツイッターでバズったような状態で、賛否両論で話題になりました。

 

原因は、この本が、それまでのお金を稼ぐ方法に対しての価値観を根底からくつがえす内容であるからです。

 

ポイントと理由を示すと、以下のようになります。

 

良い大学を出ること:金持ちになるには必要がない。なぜなら、学校教育ではお金について教育を全くしておらず安定した良い会社に入るか医者や弁護士、会計士などの収入も社会的地位も良い専門職につくための教育しかしていないから。

 

安定したサラリーマン:金持ちになるためには安定そのものが障害になる。それは脳に対して、タバコのように中毒性があり、約束された収入をインプットし、現在の環境から離脱しずらくするように働く。

 

結局、サラリーマンを突き詰めてみると、他人が富を築くのを助けるために働いているとも言えます。

 

しかし、生まれてからずっと貧乏父さんに「良い学校に行って、良い会社にはいって安定した収入を得るように」と言われ続け、学校でもそれを目的とした教育しか行っていない環境で過ごしてきた人間が変わることは並大抵のことではありません。

 

結局、多くの人はこの本に対しての反発・批判をすることにより、書かれた内容を拒否する道を選びました。

 

それは、その方が考える必要も行動する必要もないので楽だからともいえるかもしれません。

 

このあたりの事情は、日本とアメリカでは違うのではないかと考える方も多いかもしれませんが、事実はあまり変わらないようです。

 

なぜ金持ち父さんはたくさん生まれないのか

ベストセラーにもなり、シリーズで多数の本をだし教育事業にも取り組まれているキヨサキさんですが、それにもかかわらず、読まれた絶対数のわりに金持ちになった人が少ないと思うのですが、それはどうしてでしょうか。

 

僕は、これについて2つの推測を立てています。(あくまで推測です)

 

行動しないこと

学校教育は理数的な頭脳の形成とか記憶力とかを評価の対象とし、その結果としてテストによるスコアというわかりやすい指標で成り立っています。

 

その結果は、即、進学すべき学校や就職すべき会社に結びついているからです。

 

教育ママという言葉は、最近あまり聞かなくなりましたが、彼女たちも子供をこうした人生のコースに乗せることで社会的地位とか高い安定した収入に結びつくと考えたのです。

 

「勉強しないといけない」という強迫観念を子供はごく小さいうちから植え付けられ、そこから生涯でることもなく終わる人もほとんどです。

 

しかし、学校教育には人間をより大きな存在にするという観点からみると、問題点が2つあります。

 

ひとつはテスト勉強というものが、すべて受動的な行為によって成り立っていることです。

 

そこでは、自由な発想とか創造力とかが入り込む場所はなさそうです。

 

もうひとつは、キヨサキさんは、主にこの点を述べていますが、フィナンシャル教育を全くしていないことです。

 

そのため、お金を稼ぐ方法はもとより、税金対策だとか資産運用とかで正しい方法をとれないのです。

 

生物学的な配置数

教育で飯を食っている方は非常に多いと思いますが、なぜこれほど熱心にやっているのにずばぬけた成功をする人が少ないのかというのが、僕の素朴な疑問でした。

 

しかし、ここには生物学的な配置数というか摂理のようなものがあるのではないかと僕は考えています。

 

金持ち父さんのフィナンシャルな意味での目的とは、不動産収入とか印税とかの不労所得を増やしていき、最終的なゴールとしては、ビジネスオーナーか投資家として労働にはおさらばした生活をすることです。

 

そのためには、どのようなことに注意を払い、何を行い何を行わないことが大事なのかがこの本に書かれています。

 

その内容は、僕には正しいと思えます。

 

そして、そう思った方もかなり多いはずです。

 

しかし、それでも成功する人が少ないのは、前項で書いた行動しないから成功もしようがないからですが、なぜ行動しないかとさらに考えてみると、そこには自然界の適性な割合ともいうべき摂理があるように思えてなりません。

 

例えば、ブログでお金が稼げるノウハウが書いてある教材を100人の人が購入したとします。

 

この時、推測ですが、実際にその教材を読んだ人は、半数の50人ぐらいであり、それを実行してみた人は20人、実際に稼げるようになった人は2人か1人というところではないかと思います。

 

どうして高い授業料を払ったりお金を投じたりしながら、このようなことが起こるのでしょうか。

 

本気度が足りないとか、作業の習慣化ができていないからとか、それぞれもっともなのですが、なぜ、本気になれなかたったり作業を習慣にしたりできないのでしょうか。

 

僕が思うのは、結局、世界中の人が金持ちになるようなことがあった場合(もちろんそんなことはあり得ませんが)その時、不労所得での生活が成り立たなくなるからだと思います。

 

わかりやすく言えば、もしすべての人がアパート経営をしていてそこから入る家賃収入で、銀行に借金の返済をしつつ不労所得でやっていける状態をつくったとしたら、肝心の借り手がいなくなるのでそのビジネスは成り立たなくなるということです。

 

まあ、そんなことはあり得ないので気にする必要はありません。

 

おまけに、学校教育を信仰し、他人に使われて他人のために働くことが働くことだと認識している力は、あなどりがたく強いのです。

 

 

以上、とりとめがなくて申し訳ないですが、こうしたことが、僕の貧乏父さん金持ち父さんの感想となります。

 

もしまだお読みになっていなければ、ぜひ一度手に取ってみてください。

 

おそらくブックオフで安く買えるだろうし、面倒と思えば、ネットで買ってみてください。

 

 

 

20190913 by okkochaan