派遣のままでは将来を考えると不安だ、安定したい、社員としてもっと力を出して働きたい。
あるいは漠然と、社員になりたいと思っている。
このような気持ちになり正社員への転職を決意した方のために、派遣から正社員になるためには、どのような志望動機が必要なのか、普段から何を心掛けるべきなのかについて書こうと思います。
派遣で働いてみる効果
もしかすると、あなたは派遣社員であり、派遣で働くことにかなり嫌気がさしているかもしれません。
生活や収入上の理由もあるでしょう。
しかし、正社員を希望するとなると、その理由は明確でなければなりません。
急がば回れです。
まず、あなた自身のことを見直してみてください。
なぜこんなことから始めるかと言うと、正社員になりたいという希望だけで、自分がなりたいものとか、やりたいこととかがわからないとか、ないといった場合も多いからです。
その場合は、まず正社員になるのは難しいです。
または正社員という名前だけで、ブラック企業に入ってしまう可能性が高いです。
あなたはその会社で生き生きと働いている自分がイメージできますか?
人間はイメージできないものに対しては、何の感情ももてないように出来ているのです。
では、なぜイメージできないかという話になりますが、それは具体的な仕事とか行動とかがないからです。
それは忙しさとは関係ありません。
自分が毎日、何の疑問も持たず、漫然と同じことの繰り返しで仕事をしていると、考えることも忘れてしまいます。
もし、そうした危険な状態にあなたがあるならば、まずは、どんな小さなことにも全力で、真剣に考えながら取り組む癖をつけてください。
仕事であれば、どうやったら効率的にこなせるかとか、自分の部屋とか机の周辺を一度、完全にきれいに捨ててみるとか、日記をつけたり、自分用に公開しないブログとかでもいいと思います。
ブログは、その日のあなたの気づきや工夫、いいと思った仕事の部分とかについて書いてください。
そうしたプロセスで、自分のやりたいことが見えてくる場合も多いです。
それでも、何も見えてこないとしたら。
僕はあえて言いますが、何も見えてこないあなたは、恐ろしい可能性を秘めているのかもしれません。
あなたのこれまでの人生に、まだそうした運命の出会いがないことが原因だからかもしれないからです。
その場合は外部環境を自分から変えてみましょう。
もしあなたが、派遣で働くことが可能な状況であれば、もう少し派遣社員として働いてみましょう。
何社かで働いてみながら、自分のやりたいことについて、考えていくのです。
面接のある質問の答えにすべてがある
「あなたは、どうして当社に入りたいのですか?」
この決まり文句の必ずくる質問に対する答えが非常に重要です。
ちょっと関係ないと思えるような話を最初にしたのは、採用面接のときにこの質問にしっかり答えられるようにするためです。
つまり、あなたは、その会社でなぜ社員になりたいのかを、誰が聞いても納得できるような熱意と正確さで堂々と話す必要があります。
もちろん、そうした希望を持つにいたった理由を、職歴とか仕事上の出来事とかで、さらに平易に話せなければなりません。
初対面の方で、まして面接の場で話すのですから緊張する場面ですが、まず自分が納得していなければ、うまく話すことは不可能です。
うまく話すとは必ずしも流暢によどみなく話せという事ではありません。
むしろ、多少たどたどしくても、自分の言葉で話すということが重要なのです。
面接担当者は、ノウハウ本にあるような他人がつくった模範解答にはあきているし、おそらく、少しも感情に響くことはないでしょう。
志望動機を明確に話すことに、すべてがあります。
志望動機は付け焼刃だとバレる
ここまでで大事なポイントは書いたので、これは蛇足かもしれませんが、ノウハウ本などを読んで、その通りにやればなんとかなるとか考えていたとすると大きな間違いです。
志望動機というと、履歴書など応募書類の志望動機の書き方について模範解答とかポイントを解説している記事は多いです。
・ 社員になって生活を安定させたいはNG
・ 自分のどのスキルがどう生かせると考えるかを書く
・ 社員になってやりたい仕事のイメージについて書く
・ フレキシブルな対応が可能であると書く
などが考えられます。
まあ、書面上のことは差もつきずらいのですが、面接に至ることを目的に考えて書けばいいと思います。
しかし、こんなことは誰でも出来ることです。
履歴書などはごまかせても、面接でごまかすのは無理です。
つまり、志望動機は付け焼刃だとバレると思ってください。
正社員になる常識はとりあえず無視する
もしあなたが、年齢のこととか職歴のこととかで、いわゆる売れない人だと考えているとしたら、そんな考えはすぐに捨ててください。
もちろん、会社は年齢構成とか給与体系とか様々な理由で採用する理想像を描いています。
しかし、それは、あえて極端な言い方をしますが、異性と交際したことがない少女が理想の男性を思い描くのと変わらないのです。
人材マーケットというものは流動的で一般的な認識が通用しないことが多々あります。
例えば、僕は、50代の女性で派遣先から請われて正社員になったスタッフが何人もいます。
一般的な常識からすれば、50代の女性が正社員なんて無理と思っていませんか?
彼女たちに共通するのは、スキルも常識も能力も高く、人間としての魅力に富んでいること、楽観的な性格、すばらしい笑顔、自分から社員になりたいとか言ったわけではないこと、派遣期間は半年から1年ばかりで、長く働いていたわけではないこと、などです。
ちょっと個人的なことで恐縮ですが、僕は派遣スタッフの方が派遣先の会社の社員になるときは、寂しくなり、なんだか取られた気持ちになりました。
会社は紹介手数料がもらえるので喜んでいるはずですが、僕は本当に嬉しくなく、ひどい時には、軽いうつ状態になったのです。
彼女たちは、そうした僕の気持ちを察し、営業の僕に対してさえ、手放しで喜んだりは決してしない気づかいができました。
でも、僕はもちろん、「よかったね。これから頑張ってね。」と言うのでした。
これは、派遣社員から正社員になった例ですが、実は全く逆の話もあります。
正社員の甘い罠にかからないチェック法
5日間の短期の派遣をした時のことです。
社員の方が休んでの欠員補充でしたが、その仕事は朝一に機関投資家向けに海外からの情報を流すという穴をあけられない仕事でした。
仕事は定型的で決して難しくありませんが、その派遣スタッフが休んだらカバーする人がいないという状況でした。
ところが、派遣2日目に、スタッフから「正社員が決まったので辞めたい」と言ってきたのです。
その会社はおそらく引継ぎの関係でしょうが、明日からの出社を求めているそうです。
しかも、彼女の話だと、明日から出社できなければ正社員の話もなしだということらしいです。
彼女はずっと正社員を希望していたので、これを逃すと二度と社員の話はないと強く思い込んでいます。
僕は週末まで3日間の派遣期間が残っていることを先方に話し、来週からの出社にしてもらってくださいと言いました。
しかし、彼女はそれを言うと社員の話がなくなるから何も言いたくないと言います。
結局、彼女は僕の制止を振り切って「正社員」の仕事に行きました。
僕が朝一でクライアントにお詫びに行き、事情を話しましたが、派遣スタッフの選出ミスと言われれば返す言葉はなく、代わりのスタッフも出せずで信頼を落としてしまったのはいうまでもありません。
しかし、一か月もしないうちに、そのスタッフから連絡がありました。
スタッフの話では、予想通りではありましたが、正社員の話というのはパフォーマンス次第ということらしく、仕事もうまくいかず、辞めてしまったということでした。
僕がそのスタッフにその後、仕事を紹介したかどうか覚えていません。
たぶん、しなかったと思います。
ただ、この件で、僕は確信したことがあります。
それは、採用が決まった時に、ちょっとしたわがままを言ってみるという方法もありかなということです。
特に、就職する会社について不安がある場合は、絶対にやった方がいいです。
たとえば、仕事開始を1か月先、2か月先ぐらいにしてもらえるかどうか話してみます。
もし、その会社があなたを本当に必要としていれば、その期間は待ってくれます。
この例でも、スタッフがしっかりと説明すれば、わかってくれたのではないかと今でも思っています。
ある程度の期間を待ってくれないようだと縁がなかったと思ってその会社はあきらめたほうが良いと僕は思うし、意見を求められればいつでも、そのようにアドバイスをしてきました。
まして今は売り手市場です。
多少、ご自分の条件が悪いと思って、妥協する必要は全くありません。
最後に
派遣スタッフといっても、正社員の経験がある方もいれば、ない方もいると思います。
派遣スタッフと正社員の違いは、決して、川の対岸にいる関係ではありません。
派遣スタッフはいつでも正社員になるだろうし、その逆もあります。
ただ、いずれの場合でも、大事なことは、自分のことをよく知ること、そこから導き出される志望動機を明確にすることです。
また、派遣社員から正社員になる確率が高い会社は確かにありますが、それ以上に、正社員の声がかかりやすい人というものがあるのです。
年齢は意外と関係なかったりします。(もちろん企業によりますが)
まずは、正社員になるかどうかよりも、正社員の声をかけられるような仕事ぶりをすることが、案外、社員になる近道かなと思っています。
そして、そうした方に共通するのは、人間としての魅力に富んでいること、楽観的な性格、すばらしい笑顔などです。
ちょうど、昔話の「こぶ取りじいさん」の良いお爺さんと悪いお爺さんのような性格悲劇が、就職活動の場においてもあるなと思います。
悪いお爺さんの役ばかりやっているなと思ったかたは、いつも隣の芝生が青く見えることでしょう。
となれば、隣の芝生が青く見えなくなるようになれば、あなたの未来も明るいと言えるのではないでしょうか。
20180926 by okkochaan