有給 法律

エクスペディア・ジャパンのプレスリリースで
日本が有給取得率で3年連続、
世界最下位を達成したという快挙を報じていました。

 

 

僕は、茨城県が魅力度ランキングで
最下位の6冠達成について書いていますが、
そうなると僕は、
有給取得率で最下位の国に住み、
魅力度ランキングで最下位
の県に住んでいる
ことになります。

 

 

「うーん、まだなんか実感がないんです」
と答えたいところですが、
もちろん、誰も僕にインタビューなんかしてくれません。

 

 

ところで、
来年4月からは有給取得が法律で義務づけられますが、
これは改善の突破口になるのか考えてみたいと思います。

有給取得について法律改正のレビュー

働き方関連法の成立によって、
2019年4月1日から、
年10日の有給を得ている労働者に対して、
会社は、5日は有給休暇を取得させることが労働基準法上の義務
となります。

 

 

これには、罰則規定もあり、
違反すると6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。

 

 

仮にこの罰則を実際には受けなかったとしても、
指導・是正などはなされるでしょうから、
企業も対策せざるを得ないでしょう。

 

 

指導・是正だけでも、
助成金が受けられなくなったり、
職安に求人広告が出せなくなったりしてしまうからです。

 

 

さらに改正労働基準法39条は、
2019年4月31日に施行されますが、
ここで5日間の有給休暇の取得について、
企業側が指定することになっています。

 

 

これを「時季指定」といいます。

 

 

もし、企業が、対象となる従業員に時季指定をしなかった場合は、
30万円以下の罰金が課されるのです。

 

 

これで、50%の有給取得については
法律によって担保できたことになりますが、
現状、日本の有給休暇の取得率は約50%であり、
その50%で有給取得率最下位を更新し
3冠達成していることを考えると、
この法改正による効果がどれほどあるのかと
疑ってしまいます。

 

 

さらに、注意して欲しいのは、
実際に取得した有給日数です。

 

 

エクスペディアがまとめた下記の表をご覧ください。

 

日本の有給取得比較エクスペディア

 

有給の取得率50%というのが、
いかに低い数字なのか歴然としています。

 

 

アメリカとタイは有給休暇の取得日数は日本とほぼ同じですが、
取得率はアメリカで71%、タイは100%です。

 

 

また取得率が2番目に低いのはオーストラリアの70%ですが、
取得日数では5日の違いがあります。

 

 

オーストラリア、インド、ニュージーランドは、
有給付与日数が日本とほぼ同じですが、
取得率で20%以上の差があります。

 

 

ここから、日本が当面目指すべきベンチマークとしては、
オーストラリア、インド、ニュージーランドの
70%~75%ではないでしょうか。

 

 

そうすると、有給の法律改正によって基本給みたいな、
50%が確保できるとして、あと20%~25%の
上乗せができるかどうかがポイントになりそうです。

 

有給取得についての日本人の罪悪感

あまり多くの引用はしたくないので、文章だけにとどめますが、
エクスペディアは有給取得についての日本人の罪悪感についても
興味深いデータをだしています。

 

 

これによると、
有給休暇の取得に罪悪感があると回答したのは、
日本が58%と最も高く、
自分はより多くの有給休暇をもらう権利があると回答したのは、
日本が54%と最も低いのです。

 

 

もしかすると、多くの日本人は、
有給休暇の取得に罪悪感をもちながらも、
より多くの有給休暇をもらう権利がある
と考えているのかもしれません。

 

 

有給休暇をもらう権利があると
考えている割合については、
最下位で54%ですが、
日本だけでみると
半数以上の人がそう考えているからです。

 

 

世界レベルでみれば、平均で80%ぐらいの人が
もっと有給休暇を貰う権利があると考えています。

 

 

ちなみに、
30日の有給休暇を100%とっている
ブラジルでは、77%の人が、
もっと有給休暇をもらう権利があると
考えています。

 

 

もし僕が同様に思っていたとして、
友人の中国人に僕が有給休暇についての
意見を話した場合に、
はたして理解してもらえるだろうかと思いました。

 

 

おそらく、彼は笑いながらこう言うに違いないのです。

 

 

「〇〇さんは、Typical Japaneseですね。」

 

⇒典型的な日本人ということで、
こんな表現でよくからかわれました。

 

 

いざ休むとなったら罪悪感を持たねばならず、
有給休暇が取れないとなれば、
権利があると考えるというのは、
外国人からみると、
理解しがたい面があると思います。

 

 

結局、周囲との協調を重んじるという意味では
美徳かもしれませんが、相変わらず、
不気味なアルカイックスマイルを浮かべるのが
日本人ということになります。

 

 

そして、休み不足と考えている日本人の割合は
4番目に低い53%となっています。

 

 

まあ、仕事が趣味という人も多いのが日本人の特徴でもあります。

 

 

仕事一筋は日本では美徳なのです。

 

 

仕事一筋はダメ人間と思われる国もあるようですが。

 

 

で、結局変わるのか

僕の見立てはこうです。

 

 

何も変わりません!

 

 

結局、有給について法律が変わっても、
それは現行の50%の取得率を後追い承認する程度の
意味しかないと思います。

 

 

日本では有給取得に関して、罪悪感という
ファクターが強すぎます。

 

 

企業が取得日を指定して5日取らせれば、
それ以外の有給取得については、
ますます罪悪感を強くするに違いありません。

 

 

これを変えるには、社長以下、管理職が
積極的に有給休暇をとり、
残業は仕事が出来ない人という文化を
つくるのが最も有効だと思います。

 

 

しかし、ほとんどの企業では、
その必要性を感じていません。

 

 

何しろ人不足だし、中間管理職は
時季指定により部下に有給休暇を
とらせなければならないばかりか、
そのカバーもしなければならないからです。

 

 

それに、残業をなぜするかという調査で
多かった回答として、
「出世のため」というものがあるのです。

 

 

つまり、忖度残業も変わらず強いファクターとして存在し、
残業について、法律のてこ入れをしても、
この程度では、
こうした企業のアクの強い体質を
改善するのは、難しいと考えるからです。

 

参考記事:

【世界19ヶ国 有給休暇・国際比較調査2018】 日本の有休取得率、有休取得日数、ともに世界最下位|エクスペディア・ジャパンのプレスリリース

 

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20181211 by okkochaan