こんにちは、おっこちゃんです。

 

さっそくですが、今年1月1日からフランスで「つながらない権利」が認められたことについて、書こうと思います。

 

訳し方によって「連絡を絶つ権利」とも書かれていますが、同じことです。

 

この内容は、すごく簡単に言えば、時間外には会社のメールやSNSを見なくていいという権利です。

 

営業などお客さんを持つ仕事であったり、管理職でも緊急性のある対応が必要な場合など、会社に携帯をもたされたり、自分の携帯番号やメールアドレスを緊急連絡先として会社に知らせておいたりはよくあることです。

 

ほとんどの場合は、簡単にすむかもしれませんが、場合によっては対応が必要になったりもします。

 

これについて、フランスでは「つながらない権利」「連絡を絶つ権利」として認めたということで、ちょっと聞くとかなりの進歩に思えますが、内実は少し違うようです。

 

 

【フランスの労働市場と日本の違い】

端的にいって、フランスでは日本と比較にならないほど労働法は厳格で、労働者に優しくなっていますが、これがフランス経済の停滞の要因ともなっています。

 

フランスでは2016年4月28日からメーデーにかけて、労働法改正に反対する大規模なデモがありました。なにしろ、「パンをよこせ!」と迫り、あのフランス革命を成し遂げた国民です。

 

しかも、日本人が認識する必要があると思うのは、その労働法改正案が通ったとしても、現在の日本の労働基準法や人材派遣法からみても、はるかに労働者(特に正社員)に優しい内容であるということです。

 

電通問題で残業時間の短縮を目指している日本とは真逆な状態といってもいいと思います。

 

このフランスの労働法改正は、雇用者の裁量拡大を狙ったもので、週35時間労働制の撤廃、若年労働者保護を弱める方向での修正、解雇時の補償金の上限設定などを軸として国民の強い抗議のなかで可決されましたが、そこで「つながらない権利」を2017年1月1日から認めるという方向も出たようです。

 

やはり国が違えばここまで違うのかと日本だけ見ていると、とうてい考えられないようなことが起こっています。

【本当に大事な問題】

 

ところで、この「つながらない権利」ですが、仕事で疑問に思いつつも電話に出たりメールを見たりする方は多いと思います。ヤフーのアンケート調査によれば、7割の方が、「電話に出る必要はない」と答えています。

 

しかし、ここからが問題で、その7割のうち本当に電話やメールを絶対に見ないという人がどれくらいいるのか、はなはだ疑問です。

 

僕が、いつも思うのは、こうした意識調査での回答が「本音」であるとしたら、なぜその通りに動かないのかという点です。これはいろんな所で似たような状況を感じます。

 

どこかに、我慢が美徳であるとか、そうはいっても仕方がないとかがあるのだと思います。

 

僕は会社のメールや電話などの連絡についての対応は明らかに仕事であるので、その対応について何らかの時間換算をして労働時間に加えればよいのではないかと思います。

 

そして、当然に、残業時間の規制対象に含むものとします。

 

ただし、基本は対応する必要がないことを明確にしておかなければなりません。そうでなければ、待ち時間というそれこそ目に見えない負荷が常に発生していることになってしまいます。

 

そもそもスマホになってから、ほとんどの連絡をパソコンと同レベル、場合によってそれ以上の速さで対応できるので、営業だと会社にいようがいまいが、あまり関係ありません。

 

会社に携帯を持たされた場合、暗黙のうちに、時間外も対応するようにという指示があると解すべきだともいえます。しかし、それでは、フランスの言葉でいうところの、「電子の首輪」につながれている状態ということになり、いくら残業時間を規制しても、見えない残業は無限に発生することになります。

 

規制は残業時間一本で行わないと、あいまいな部分が生じます。例えば、役職柄しかたがないとか仕事の性質上やむを得ないとかいう例外です。

 

ただ、こうして述べてきましたが、正直なところ、日本では休日の電話・メール対応を拒否してよいかということにつての議論がほとんどみられないように思います。

 

残念なことに、フランスのように一人一人がテーマについて熱く議論をするのではなく、与党が法案を出して、野党が反対して、そして、さしたる議論も問題を掘り下げて話し合いをすることもなく、物事が決まっていきます。

 

過労がまずいことぐらいは、誰だって理解できますが、問題はそこではなく、なぜ電通のような問題が発生したのか、その原因を掘り下げて対策することではないかと強く思います。

 

その為には、一人一人が自立して考えることだけが重要だと思います。

 

誰が発言したかによって、支持したりしなかったりするような幼児性のある態度をあらためることを自覚すること、ここから始めるしかないと考えています。

 

お読みいただき、ありがとうございました。

 

20170114 by okkochaan