こんにちは、おっこちゃんです。
昨日の夜飛び込んできた、金正男さんがクアラルンプールで毒針(吹き矢らしい)により暗殺された事件はかなりショッキングでした。
金正男さんといえば、あの金正恩氏のお兄さんのわけですから、正恩氏もさぞ悲しみに沈んでいるのではと思いきや、朝鮮日報によれば、「韓国当局は、金正恩氏(朝鮮労働党委員長)が潜在的な競争相手を除去するため、異母兄の正男氏を毒殺した可能性が高いとみて、関連情報を収集、分析している」とのことです。
これまで、正恩氏が行ってきた粛清や金正男氏が命を狙われたのが初めてではないことから、どうやらその可能性は高いと思えます。
ところで、なぜこのタイミングで金正男さんは暗殺されなければならなかったのでしょうか。
粛清に「なぜ」を求めることにむなしいとは思うのですが、考えられることは、以下のことだけだと思います。
【金正恩氏の疑心暗鬼な権力者の不安な心】
安倍首相とトランプ氏のなごやかな会談に嫉妬してミサイルを発射するというあり得ないことが常識になっている人に、なにをいってもむなしい気がします。
正恩氏がいまの地位にいるのは、父、正日の決定によるらしいですが、権力者というのは、マクベスのごとく不安に苛まれた生活をしているのだろうと思います。
正男氏は弟の正恩氏に対して、命乞いの手紙まで送っているという話もありますが、それでも実行するとは酷い話です。
僕もそうですが、多くの日本人は、金正男氏の人柄に好意的であることを考えると実に残念なことと言わざるを得ません。
ヤフーニュースから正男氏へのコメントを2、3引用してみます
正男…みかけに反して、凄く好印象だった。なんていうか、こんな人が北朝鮮トップの血筋なのかな?って不思議なくらい。温和な雰囲気があって、この人が北朝鮮のトップなら、良い方向に傾くかもなんて思った。ご冥福をお祈りします。
正男さんが指導者であれば、北朝鮮は今よりも良い違う道を歩んでいただろうに。この人だけは割りと好感が持てたよなって人も多いだろうな。俺もその一人。
彼には時折見せる笑顔とユーモアがあった。
正男クン…
親日そうで好きだったけどなぁ。
憎めないキャラで好きだったなあ(-人-)
来世ではディズニーランドでいっぱい遊べる人になって欲しいですね。
正男が後継者になっていたら、正恩と違っていたかどうかはわからないが、正男は人としての心があったのではないかな?と思う。
正恩は自分に国に自信がないのだろう。
正男、感じがよい人だよね。彼なら、北を開けた国に改革出来たと思う。争いを好まない印象だから。
惜しい人物を亡くしたな、、
これほど好感度の高い北朝鮮の人って珍しい。訃報で日本からも残念な声があがるんだもんね。
だから目障りだったんだろうけど、実は死亡したのは影武者で逃げ延びてたら良いのに、なんて思ってしまう
見た目の雰囲気そのままの、明るく温厚な性格で、人間味のある北朝鮮人。
金家の中ではそういう存在が異端だったんだろうね。
「日本に生まれていれば」とか言うのは結果論なんだろうけど、それでもこの人の知識や感性、性格や人間性(もちろん詳しいわけではないけど)があれば、みんなに愛される存在になってたんだろうなぁと思ってしまう。
残念です。
僕も、金正男さんが「東京ディズニーランドに行きたかった」のに不法入国で捕まった時のことはよく覚えています。
北にもこんなユニークな人がいるんだ、というのが正直な感想でした。
それにしても、ほとんどの日本人は喧嘩はしても殺すなどはしないし、自分たちはしないだろうと思っています。
しかし、日本の歴史を見れば皇位継承についてだって殺し合いの歴史であり、戦争だってしています。
現在のサラリーマン社会であっても、会社上層部では熾烈な権力争いは普通にあることです。ただ合法的に行っているだけなのかもしれません。
だから、生きていくことに闘争は避けられないと考えると、あながち非難されることではなく、まして他国のことであれば、干渉すべきでないと考えるべきかもしれません。
しかし、人間としての尊厳であるとか倫理から見ると、全く容認できることではありません。
金正男氏は権力の座に3世代いすわるということに疑念を持っていたとも聞いています。
下記の記事は、そのまま彼の人柄をあらわすものだと思えました。
最後に、僕は、世襲制一般について、強く否定的な意見を持っていることを付け加えておきたいです。
これまでの歴史をみても、人間の感情として、子供を幸せにしたいというのは当然であるとしても、それが迷妄に入り冷静な判断を欠いてしまった例は枚挙にいとまがありません。
豊臣秀吉の晩年がそうですし、いま話題の石原慎太郎さんにしても、都知事時代に四男の画家の絵を優先的に都として購入したりの親バカぶりでした。
またどこかの医師の団体だっと思うのですが、医学部への優先入学の問題について「医者の子息には医者に向いている人が多い」という医者とは思えない非科学的なコメントを読んだことがあり、驚いたことがあります。
粛清や仮想敵がなければやっていけない共産主義国家である中国や旧ソビエトにおいてすら世襲制などなかったのになぜ北朝鮮だけがそうなっているのかよくわかりませんが、金正男さんの悲劇は、この世襲制がなければ起こらなかったと思います。
親の七光りとはいいますが、政治家が自分の選挙区を子供に引き継ぐのはナンセンスだと僕はずっと思っていました。
それは非常にシンプルな理由で、親と子供は別な人間であるからです。
親が優秀だから子供も優秀である確率はそれほど高くないと思います。
幻想であり、甘えなのではないでしょうか。
親に恩恵を受けてギブアンドテイクの関係であったので、その子供に同じことを期待するのは、会社経営であれば取引先との関係でわかる部分もありますが、選挙によって選ぶ人まで適用するということがおかしいと考えています。
むしろ、政治に関しては一代限りであることを徹底させ、これまでアドバンテージであった親の七光りについては、もし子供が政治家になるならば、ディスアドバンテージにすべきではないでしょうか。
原則、引き継ぎはなしとすべきです。
生物学的な能力の差は、親が立派だろうがそうでなかろうが、ないものと考えているし、教育の均等という考え方とも真逆な考えになると思います。
文学の世界では、「貴種流離譚」というものがあって、「今は落ちぶれているけれど実はあなたさまのご先祖は(あるいはお父様は)かくかくの方でした、みたいな話は基本的にみんな好きなのです。
(実は僕も好きですが、それは僕のコンプレックスがなせることではないかといつも思っています。)
有名どこだと三国志の劉備玄徳がそうです。
日本だと義経がそうです。(そういえば義経も実の兄の頼朝に殺されてますね)
まさに金正男さんもそうで、3人のお子様が打倒、金正恩の国や勢力に利用される可能性は高く、だからこそ、金正男さんは弟に命乞いまでしたわけです。
「あなたのお父様は叔父の金正恩に暗殺されたのです。お父様の仇を打ちましょう」というわけです。
でも、平和を愛した金正男さんは(遊ぶこともすごく好きだったみたいです)、できれば自分のそうしたしがらみを捨てたかったのではないでしょうか。
僕がこの事件で、いいようもない無惨な印象をもったのはまさにその点です。
遺伝ということで、獲得形質が遺伝することもあることは知られていますが、そうであったとしても、それは子供が優秀ということにはなりません。
この世に生まれた時点で、すべての人間は優秀なのですから。
20170215 by okkochaan