対象の本: アウトプット大全
著者  : 樺沢 紫苑
発行所 : サンクチュアリ出版

私の5段階評価 : ★★★★
私の5段階衝撃度: ★★★★★

この本を何度か読み返すか?: YES

 

ざっくりとどんな本なの?

精神科医でもある樺沢紫苑さんが、アウトプットについて、科学的根拠をふまえながら、80の具体的テーマについて1テーマあたり2ページほどで解説している。

 

なので、アウトプットについて疑問に思っている点について、気になるところから読むことも可能だし、何度でも読み返しやすい。

 

一番はじめに人生を変えるのはアウトプットだけと書かれてある点はかなり印象的。

面白いの?

CHAPTERの内容だけ紹介させていただきます。

 

そこでまったく興味を引かなければ読む必要はありません。

 

まず、できる人ほど、アウトプットを重視していること、人生を変えるのはアウトプットだけとはっきりはじめに書いた上で、

・アウトプットの基本法則
・伝わる話し方
・能力を最大限に引き出す書き方
・圧倒的に結果を出す人の行動力

となっています。

 

そもそもアウトプットってなんなのー?

簡単に言うと、インプットしたものに対して感想や意見を書いたり話したり実際にやってみたりすることです。

 

世の中のほとんどの人はまずは学ぶことが大事だと教えられてきた。これは教育の問題だけど、結構ぬぐいさるのは思ったより難しいと思います。

 

逆にアウトプットの教育はほとんどなされてきませんでした。

 

「私は若輩者ですので」とかいう言い方を昔はしましたが、それはつまり、もっと学んだり経験したりしないと意見を言ってはいけないという意味を含んでいるのです。

 

これが余計なことはいわないほうがいいということにもつながるし、縦社会の構造にも合致し、ともかく平和にインプットにいそしむことが一番という価値観を作り上げてしまったのです。

 

しかし、それではいつまでたっても若輩者だろうし、若輩者と指摘する人すら真実は若輩者と変わらないという実態に気づいたとしても、それまでの時間がもったいなさすぎると思います。

 

ともかく、まずは自分しか読まない日記からでも始めるようにアウトプット大全には書いてあります。

 

そんなにアウトプットって大事なの?

僕はこの記事を書くに先立って、この本の感想を集めた記事を読んでみました。

圧倒的に多いのは、「これまでインプット中心にやってきたけど、アウトプットの重要さがよくわかったので、すぐに始めたい」といった内容でした。

この本には、インプット:アウトプットの比率を3:7にするように書いてあります。

数字の根拠はいまいちわかりませんが、少なくともインプットよりアウトプットを重視すべし、それもアウトプットのほうが多くというレベルではなく、だいたいアウトプットはインプットの二倍プラスアルファということで、3:7なのかなと思います。

 

この3:7の比率については、もっとわかりやすく解説してあって、月3冊の読書をして全くアウトプットしない人と、月1冊の読書に対し1冊のアウトプットをする人と比べた場合、圧倒的に月1冊の読書で1冊アウトプットのほうが成長すると書かれています。

 

そうしないと、記憶に留められないから成長もしないわけです。

 

そして月3冊インプット、3冊アウトプットを当面の目標とすることを推奨しています。

 

この1冊のアウトプットとはどれほどのことを想定しているのか定かでないのですが、かならず読書したら読みっぱなしにせず感想をアウトプットするということでいいと思います。

 

さらに進化すればブログでの一般配信であるとか、人に教えるとかになるわけですが、アウトプットの質も対象者が広がればそれだけ上がってこざるを得なくなるのではないでしょうか。

 

この本の感想をまとめた記事を読んでみましたが、とにかく圧倒的にインプット中心の方が多いし、それについて不満がない方も多い印象でした。

 

わたしも人のことは言えず、最近笑い話ではなく、同じ本を図書館でかりてきて、100ページぐらい読んでやっと、なんか読んだ気がするという体験が結構多いです。

 

それも、デジャビュの感覚に似ていて、その本を読んだことあることに気づく場合だけでなく、それが夢に見たことなのか実際に考えたことがあるのかとか、すべてが霧につつまれたような状態になるのです。

 

正直、かなりのインプット依存症です。

 

どうしたらアウトプットを7にできるんですかぁ?

 

その具体的なやり方もこの本に書いてあります。

 

いかにアウトプットを効率よく行うかという実践的なノウハウ本といってもいいと思います。

 

なので、これについては、読んで頂いたほうがいいと思います。

 

一つだけ言っておくと、習慣化することの重要性です。

 

アウトプットを空気を吸うのと同じレベルで当たり前に行うこと、それが結局は一番だし、できないできないと悶々とすることから逃れる唯一の道だと思います。

 

アウトプットを定着することは難しい気がします

 

とはいえ、この本に限らずいたるところでアウトプットや行動が重要であることは指摘されています。

 

まして今は空前の起業、副業ブームだし、給料はあがらないばかりか、いつ仕事がなくなるかわからないという不安もあります。

 

もちろん目に入るほとんどは、塾や教材などのセールスがらみですが、アウトプットが大事である点だけは共通しているように思います。

 

それなのに、どうしてアウトプット主体の活動ができないのでしょうか。

 

それを教える人たちが多いということは裏を返せば、アウトプットが大事だと頭では理解しても実践できない人がかなり多いことを示唆しているのではないでしょうか。

 

以下は僕自身のことになりますが、僕がこの本を手にした最大の動機でもあるので、ここに紹介します。

 

なぜこれを書くかというと、この問題は、僕だけの問題ではなく、かなり多くの人がどれかに該当していると思わざるを得ないのです。

 

というのも、僕自身、四年も前にアウトプットが重要であることについての記事を書いています。

 

アウトプットが大事な理由【アウトプットは生きている証】

 

正直今読んでも、そんなに悪い内容ではない気がしてなりません。

 

ならば僕は、どうしてその後、アウトプットをメインにした生活ができず、ブログも忘れたかのような状態になったのでしょうか?

 

アウトプットが他の対象に変わったわけでもないので、そうなると僕は4年前の記事で嘘を書いたことになります。

 

決していいわけではなく、僕はこの事態は結構深刻で真面目に向き合うべきことだと思っているので、考えられる理由を書きます。

 

3つあります。

 

これまでの価値観(あるいは周囲の意見に合わせるくせ)

アウトプットをする場合、通常考えてやめるべき禁忌事項以外であっても、いろんな価値観が頭のなかでひしめいていることを感じます。価値観とは、他人の感情と言い換えてもいいかもしれません。

こんなことを言って周囲の人はどう思うだろう、変わった人と思われてしまう(日本人にとって、変わった人とはあまり良く思っていないという意味です)とかです。

できる限りそうした雑音は排除しなければならないのに、シンプルなアウトプットすらしていないためにこうした事態が生じたと考えています。

アウトプットがきついという思い込み

アウトプットは習慣化するまでは結構きつい面があります。パソコンの蓋を開くまでがなかなかできず、ついスマホに流れたりラインやSNSのやり取りに時間を費やしてしまったりするのです。

アウトプット大全のなかでは、まず5分間やってみる、と書いてありますが、その5分間ができないというより、5分間を始めることができないわけです。

(僕自身は始めるまでに時間がかかり、始めると結構夢中になるタイプです。)

この問題、小さいようですが大きな問題です。

なんとしても習慣化し、乗り切るしかないと考えています。

◯◯したらという設定による執行猶予の癖

上記と似たようなことではありますが、◯◯したら、というのもかなりの曲者と思うべきです。

たとえば、この本を読んでからとか、◯◯についてもっと勉強してからとか、家事をやってからとか、妨害するできごとは無数にあると言っていいでしょう。

それになんとかアウトプットするという、いわば直接対決をさけたいあまり、何もない場合は、探したり見つけたり、寝てしまったりすらするのです。

だから僕はよほどの場合でないかぎり、◯◯したら、という考えや言動を自分自身に厳禁しているのです。

またそのせいか、他の人が◯◯したらという言い方をすると、「ああ、この人は決してやることはないな」と思ってしまいます。

 

気になることは他になにかなかったの?

アウトプットに非常に大きな意味があることは理解できたのですが、それはあくまで情報発信を基軸に考えてのことではないかという疑念が去りません。

 

例えば仏教における不立文字は言葉で伝えることを否定しています。また、とつぜん爆発的に活動する芸術家はそれまで休火山のように静かだったりします。

 

こうした事例をアウトプットをすべて良しとするスタンスとどう調和させればいいのでしょうか?

 

芸術家の場合は、そうした充電期間が必須のようにすら思えます。

 

また単純にアウトプットの比率が高くなるのはいいとしても、YouTubeなどで、対象になっている個人名すら間違ってアップしている動画などを見たりすると、いくらなんでもひどすぎると思わざるを得ません。

 

この疑問は払拭できませんが、アウトプット大全のなかに答えと思われる記事もあります。

 

それはアイドリングタイムの重要性について書いてあるからです。

 

ある程度のインプットを終えたらリラックスして風呂にはいったりバスに乗ったりすると突然ひらめきがあったりする、ということです。

 

まあ、この点は気になりましたが、このアウトプット大全という本は、著者のオリジナルというより、いろんな研究者の結果を引用して書かれているものであるので、あまり考えなくてもいいかなと僕自身は結論をだしました。

 

考える前に手を動かして書くことをしばらくは継続してやってみようと思います。

 

2023.8.17 by okkochaan