突然彗星のごとくツイッターから登場したレンタルなんもしない人さんは、超人気です。
ここでは、人気の秘密は何か?などという退屈な話ではなく、ずばり、自分だったらレンタルなんもしない人さんに何を頼みたいかを考えてみます。
その方が面白いし、頭の体操にも自分の発想の限界に絶望することだってできるかもしれません。
現時点で、僕の頭のなかには、なんもありません。
あ、なんかすでに影響を受けている気がする 笑)
でも知らない方のためになんもしない人をかるーく紹介します
ご存知の方はもちろん、ここはすっ飛ばしてください。
『レンタルなんもしない人』というサービスを始めます。1人で入りにくい店、ゲームの人数あわせ、花見の場所とりなど、ただ1人分の人間の存在だけが必要なシーンでご利用ください。
国分寺駅からの交通費と飲食代だけ(かかれば)もらいます。ごく簡単なうけこたえ以外なんもできかねます。— レンタルなんもしない人 (@morimotoshoji) June 3, 2018
レンタルなんもしない人は森本祥司さんという方がやっています。
森本さんは、「何もしないではいられない」という衝動にかられ、「なんもしない人」を始めました。
これが2018年6月3日、これは固定ツイートといって、アカウントの一番上のツイートに固定してあるのですが、4.3万件の「いいね」はすごすぎます。
ちなみに初日の反応はゼロだったようですが、すごいスピードでフォロアーが増えていきました。
現在35歳で、奥様と2歳の男の子の3人暮らし。
収入はありませんが、本の印税やテレビ出演料など最近では入っているのではないかと思います。
ただそれでも生活費は貯金を切り崩しているとの話をなさっていました。
もともと物理を専攻していて、大学院まで出ていますが、
① 研究者は無理なのであきらめる
② 出版社で参考書などの原稿を書いていたが嫌になって辞めた
③ コピーライターとして才覚をちょっと出したことがあったが辞めた
その他、学習塾の講師をアルバイト的にやったことがあるようですが、「教えると生徒が自分で考えなくなるので、なんもしなかった」そうです。
ただ仮想通貨で稼いでお金はもっているらしいですが、お金があるから何もしないでいられると言われるのは嫌らしい。
すくなくとも森本さんは引きこもりでもニートでもないようですが、今後の予定はなく、今はとにかくなんもしない人をやり続けたいとのこと。
なお、この「仕事」を始めるときに奧さんに話をしたところ、「やりたければやれば」とのことで反対もせず、また奥様はデザインの仕事で収入があるらしいです。
ネットでは奥様が出来た人だと賞賛の声があがっています。
森本さんは、奥様の理解があることに感謝なさっていて、「奥様となんもしらない子供のおかげ」と言っています。
もちろん、2歳の子供が何かを知るわけがないですが、プライベートな時間がとれて家族と過ごす時間は充実しているようだし、家事は普通に主夫をされているようです。
僕がラジオで聞いた限りでは、話し方も普通ですし、「なんもしない人」に大義名分的なことも使命感も表明せず(というよりそんなものはないのか)、話し方に間もよどみもなく、頭の良い好青年という印象でした。
で、何を頼むか考えてみよう
ではいよいよ自分だったら何を頼むだろうかと考えてみたいと思います。
まずは重複を避けるためにも、これまでの依頼を少し振り返ってみましょう。
また、レンタルなんもしない人への依頼は込み合っているようだし、なんもしない人は、なんもしないことを基準に選択しているようなので、依頼を受けてもらうためにもこれまでの依頼は重要です。
これまでの依頼
以下はすべてレンタルなんもしない人さんのツイッターアカウントからの抜粋です。
「今までの整形の記録を見てほしい。また次の手術の前に現在の顔を見て覚えててほしい」
「タイヤ公園で遊ぶところを見守っていてほしい」
自分の誕生日が近いので好きなものを好きなだけ作り、一緒に沢山食べてもらいました。
飛行機の添乗員をしてる人から「ホテルから空港までのクルーバスにご一緒してほしい」という依頼があり、大勢のキャビンアテンダントやパイロットの乗るバスに乗った。
今日はメイドカフェに同行しました。「元彼が足を運んでいるという情報を聞き付け」とのこと。無事なんらかの心残りは霧散したようです。
疲れて飛び降りて入院中の人から「何も知らない何もしない人に会いたい」との依頼があり病院へ。付き添いがいれば外出でき、飛び降りた現場の確認等に同行した。途中「姿は見えるけど話はできない所にいてほしい」と言われ離れた後、3枚目の画像のDMが来た。「1人にさせてくれる他人」が必要だった模様 pic.twitter.com/BsX8IfpNVs
— レンタルなんもしない人 (@morimotoshoji) June 25, 2019
「尾行させてほしい」という依頼。開始30秒で見失われ、場所を再指定してリスタートするも、またすぐまいてしまった。
「モノマネの練習に付き合ってほしい」という依頼。1人で自分の声を録音するのはかなり恥ずかしくてむなしいとのこと。
「自分が映ってる動画を見るのを見守ってほしい」という依頼。追いかけてたミュージシャンのドキュメンタリーに自分の語りが使われたが恥ずかしすぎて1人では見れないとのこと。自分の恋愛語り(テロップ付き)を見るのはたしかに難行のようだった。ライブ見て泣いてる顔はさすがに直視できず手が出てた pic.twitter.com/Yk41vfOrqu
— レンタルなんもしない人 (@morimotoshoji) June 19, 2019
これらは、直近2週間ぐらいのツイートから拾ったものです。
あまりしつこくなるので、この辺でやめますが、傾向をつかんでいただければと思います。
頼みたいことの候補
1.昔つきあっていた人に会ってもらい眺めの良いテラスで紅茶を飲んで欲しい
2.自分の葬式の出棺の時に、普段着のまま霊柩車の脇に立っていて欲しい
3.自分の仕事部屋にいて欲しい(他人がいるだけでさぼらなくなる)
んー、単に僕の発想が貧弱だからか脳が退化しているからか、意外と思いつかないものです。
なんもしない感を出すのは難しい?
ところで、この「仕事」の難しさはどこにあるのでしょうか。
どうやら多くの方がレンタルなんもしない人にあこがれて、真似をなさっているようですが、成功した人はいません。
失敗の原因は決して二番煎じだからではないと思います。
最も難しいのは、明らかに、なんもしない感を出すことだと思います。
人間だれでも表情の変化とか態度とか存在そのもので、なんらかのメッセージを出します。
なんもしない人は、なんもしないというメッセージを出しているわけですが、これが非常に難しいと思います。
なんもしない人は、能面のように無表情なわけではありません。
むしろ普通の人間であって、時には笑いもするし、簡単な受け答えはしてくれます。
しかし、それでいて、相手が何かをしてくれるのではとは絶対に思わないわけなので、これには才能が必要なのです。
僕みたいな昭和のオヤジ世代、「あしたのジョー」とか「巨人の星」とかを見て育った人間は、努力は将来に向かってなされるし、生活苦だとかの困難なスパイスを利かせ、それを克服するというストーリーになじんでしまっています。
ですが、これらの感情にしても、人間に本来的に備わっているものでは決してありません。
むしろ、「なんもしない」状態のほうが自然であるとも言えます。(もちろん状況によりますが)
森本さんが「なんもしない人」の発想を得たとき、おそらく興奮して眠れないぐらいだったのではないかと思います。
森本さんはあきらかにSNS時代の申し子であるし、テレビや報道、出版によって知名度があがることを素直に喜んでいます。
「なんもしない人」の活動で変わった体験ができたら小躍りして早くツイートしたいと思うし、それが話題になれば嬉しいのです。
「あしたのジョー」とか「巨人の星」のような作られた感情はむしろ捨てて、またお笑いのヒロシさんのように強い自虐の感情を使って面白さをだすのでもなく、むしろ感情とか反応そのものを一旦凍結して、自分を異次元空間におくような形をつくったことは、まさにコペルニクス的展開の発想だと思います。
こうした逆転の発想というのはずっといわれていることですが、思いつくのは難しいです。
ずっと考えて考えて、いろいろやってみて、1000ぐらいトライして一つ成功すればラッキーというたぐいのことです。
自己ブランディングとしてもマーケティング手法としても非常に参考になりますね。
20190708 by okkochaan