カスハラ うつ病

カスハラ(カスタマーハラスメント)が3年ぐらい前から問題になっていると思いますが、実態を推測するにカスハラによる被害はコロナの影響もあり、むしろ増加しているという傾向もあります。

 

この記事は、カスハラを受け、ちょっとした客の言動で傷ついたり落ち込んだり、ひどい場合はうつ病になり退職を考えたりしてしまう方に向けて書きました。

 

カスハラの対処法を調べてみると、ネット上でもしっかりした対応方法が段階を踏んで書いてある記事も多いので、それらも目的に応じて参考にしてみてください。

 

ただ、これらの記事は実践的ではありますが、典型的なカスハラを想定している場合が多いです。

 

僕があえてこの記事を書く目的は、実態として多いのは、もっとちょっとしたことで、一人で悩んでしまったり、こんなことを会社や同僚に相談していいのかと考えてしまったりすることではないかと思うからです。

 

客が土下座を強要するようなある意味、カスハラの花形的?なことは意外と少ないですが、客の不用意な言葉で傷ついたり、自分もちょっと悪かったけれども、そこまで言われることが腑に落ちないし、心が折れるというようなことが普通に起こっているのが実態ではないでしょうか。

 

つまり犯罪には遠いけれども、傷つく、そうした小さなことが度重なり、うつ病の発症にいたったりするようなことです。

 

でも、こうした心の傷というのは、なかなか消えるものではありません。

 

他の人は平気で明るくしているように見えるのに、こんなことで悩むのは自分が悪いとか打たれ弱いからだとかと考えて悩み、生きていくことに自信がなくなったりしてしまうものだと思っています。

 

仕事を失うのではないかという不安もあることでしょう。

 

でも安心してください。こうしたことは、程度の差はあれ、誰でもあることであり、決してあなただけの問題ではありません。

 

あなたが弱いわけでも絶対にないです。

 

でも、少しでもそれらに備えたり、知識をあらかじめ持っておくことで、事態の悪化は防げるし、無駄な悩みをかかえることもありません。

 

僕自身、営業の仕事をながくしてきたので、当然、心が折れるような出来事はたくさんありました。

 

それらを乗り越えてこれたのは、決して僕が強かったわけでもないし、容貌や風体から耐性が高いと思われがちな僕ですが、小さなことで悩んだりくよくよと堂々巡りしたり、ありていに言えば非常に気が弱いことは誰よりも僕がわかっています。

 

この記事を読んだ心弱い(と思っている)善良な方々に少しでも参考になればと思っています。

カスハラとは

「カスハラ」とは、「カスタマーハラスメント」の略で、従業員・販売員がカスタマー(顧客・取引先)から受ける嫌がらせや、過度なクレームのことを指します。

引用:insource 人事・労務キーワード集

この記事では嫌がらせやクレームの度合いは弱いものの、その分だけ数も多く存在し、従業員・販売員が精神的に徐々に疲弊する状態を想定しています。

 

過度なクレームには、脅す目的で名前を確認したりされることも含みます。

 

カスハラにあいにくくする4つの方法

カスハラだけではなく、ハラスメント全般に共通しているのは、どの時点からハラスメントと言えるかというラインを引くことが難しい点にあります。

 

ハラスメントで古いものはセクハラですが、ここでも相手が望んでいない場合(逆に言えば相手が嫌がらなければハラスメントにならない)という難しさが付きまといます。

 

また、最近では、ハラスメントをする側も巧妙になってきているので、いつでも逃げられる形を意識して行動したりするので、要注意です。

 

ここで、僕が声を大にしていいたいのは、まずはハラスメントとかカスハラとかにあいにくい体質改善的なことを目標に置いておくとよいということです。

 

わかりやすくするいうと、カスハラにあっても、自分がカスハラにあっていると思わないぐらいの意識の変革をとげておくことがベストです。

 

これらは、やることを習慣化することにより驚くほど簡単にできます。

 

具体的に対策をあげます。

 

1.自分一人で問題をかかえたりせず、周囲を巻き込む。

2.相手の気持ちを忖度したりしない。

3.名前を聞かれたら答えると同時に、相手にも名前を聞くようにする。

4.自分の何が間違いであり、相手の何が問題かを明確にし、自分とと相手のやったことを文章にまとめておく。

 

以上の4つでほとんどの場合はOKかと思います。

 

では各項目の詳細をみていきます。

 

自分一人で問題をかかえたりせず、周囲を巻き込む

カスハラの場合、客との対応において、あなたになんらかの落ち度とか不注意がある場合も多いはずです。

落ち度や不注意は誰にでもあることなので、悪いには違いありませんが、過度に自分を責める必要はありません。

自分を責める気持ちは相手から見ると弱みであり、つけ入るすきをつくることになります。感情的になっている場合は、自分が絶対に正しいと信じて、正義を実行していると考えているのです。

あなたは弱みがあると思うから、強くでることができず、嵐がすぎるのをひたすら待ちながら、お詫びを繰り返します。

ですが、これは最良の対応ではなく、事態を悪化させる場合が多いと考えてください。

ここで、意識的に第三者(それは会社の同僚や上司でもいいし、場合によっては他のお客様でもよい)を早い段階で巻き込むのは良い方法です。

そのためには、あなたはお詫びはオーバーアクション気味にしたり、相手の言っていることを明瞭に聞き取りやすい声で反復したりすることを意識的に行ってください。

例えば、「お客様がおっしゃっているのは、私の〇〇についての処置方法が不適切であるということですね。まったくおっしゃる通り、私もそう思います。誠に申し訳ございませんでした。」とはっきりと謝ることです。

そのうえで、間違いに対して不当と思われる対応(例えば土下座してあやまれとか)を求められたら、この時点で明確な、つまり犯罪的なカスハラが成立するので、むしろあなたの勝利となります。

あなたは相手の度をこした態度について、記録をとり、動画でも録音でも可能なことを冷静に行なうのです。

「おっしゃる通り、私には至らぬ点があり、かつ忘れっぽいので、ここからの会話を録音させていただいてよろしいですか?」と聞いてみましょう。

まあ、相手を故意に刺激してエスカレートさせるという手法もアリかと思いますが、その手法は上級者向きですので、ここでは触れません。

あなたが相手を憎らしく思い、どなりつけたりしても、あなたには何も得るものがないし、あなたを相手と同レベルに落とすことにもなりかねないので僕はお勧めしません。

僕は少し誇張的な表現で書いていますが、要は、自分一人で問題をかかえてウジウジと悩んだりしないように、明るく事務的に的確に対応し、悪い点はあなたの言葉で何が悪かったかを明確に言うことが大事だといいたいのです。

初期の段階でこれを行ない、問題がこじれそうであれば、「すみません、他のものを連れてきますので、少しお待ちください」と変化球を投げたり、録音の許可を取ったりすることで、井の中の蛙よろしく、威張り散らしている相手の気勢をそぐことができれば成功したといってよいでしょう。

相手の気持ちを忖度したりしない

カスハラでうつ病になりがちな傾向がある人が犯してしまう大きな間違いは、相手の気持ちを忖度することだと思います。

あなたにその傾向があるかどうかですが、あなたは、「相手の立場になって考えてみる」ということを美化して考えていないでしょうか。

つまり、「コロナ下でストレスがたまっているのかな」とか、「この人は、興奮して理不尽なことを言っているけれども、本当はかわいそうな人なのかもしれない」とか考えたりしていないかということです。

あなたは、こんな客でもきちんと話あえばわかってくれるだろうし、本当は優しくていい人に違いないと考え、雨降って地固まる式に、最終的には調和のとれた世界があると考えたいのです。

そのことにより、あなたのミスも小さなことになるからです。

これに対し、僕ははっきり言いますが、それは、戦争で打ち合いをしている最中に、平和を守ろうと、ふらふらと歩いて敵前に出るのと同じです。

あるいは、森で熊にあって、熊だって親子の情愛があるのだから、自分を襲ったりしないと考えるのと同じです。

カスハラの場合、相手の頭の状態は異常な興奮と自己肯定に満たされています。あなたを攻撃することで、自己肯定となんらかの外部とのつながりが同時に満たされると脳がとらえている状態なのです。

この危険な状態であるにもかかわらず、相手の気持ちを考えてあげられるとしたら、あなたは天才か、さもなければ馬鹿です。

あなたは、絶対に相手の気持ちを忖度したりしてはなりません。

冷静に相手の眼をみることができれば、そこには情愛などかけらもないことに気づくはずなのですが、あなたが動転していると、普段みえるものも見えなくなってしまうので、「相手の気持ち」という幻想にさえすがろうとしてしまうのです。

くりかえしますが、絶対に相手の気持ちなど考えないことです。

あなたがすべきことは、相手を危険な猛獣と考え、相手から目をそらさないことです。

名前を聞かれたら答えると同時に、相手にも名前を聞くようにする

よく相手が「お名前は?」とか言ってあなたを脅そうとする場合があります。

これには、まずは素直に対応しましょう。

そのうえで、あなたは相手の名前も聞いてください。

相手があなたもしくは会社から何らかのリアクション(お詫びとか誠意を示せとか)を求めるのであれば聞きやすいですね。

氏名、住所、電話番号、メールアドレスまで確認できればベストです。

相手が具体的なリアクションを求めていない場合でも、あなたが名前を聞かれた以上、あなたも必ず聞いてください。

理由は、「ご迷惑をおかけしたことを会社に報告し、お客様にもあらためてご連絡を差し上げたいので」とでも言えばいいでしょう。

この単純なやりとりは、意外と効果が高いようです。

つまり、このことで、相手がひるんで、「いや、もういい」とか言って終わる場合も多いということです。

まあ、捨てぜりふぐらい言うかもしれませんが、愛嬌だと思ってください。

 

自分の何が間違いであり、相手の何が問題かを明確にし、文章にまとめておく

最後に事の次第を簡単にまとめておきましょう。箇条書きでもいいです。内容は事実と思われることだけを書き、自分がどう思ったとかの主観は極力排除し、簡潔・正確に書くようにします。

書くことで、この事件を距離をもって客観的にみることができるし、心も落ち着くはずです。あとあと何か起こった時にも役に立ちます。

特に相手の言動とか態度については、細かな点まで記録しておきます。

心が折れそうになった時に唱える呪文

前項の4つの対応で、悪質な犯罪的なカスハラはともかくとして、あなたが不当に傷つけられたリすることはほぼ防げるはずです。

4つの対応に共通しているものは、問題から逃げずに堂々と向き合うことです。

こうした形ができれば、カスハラをする相手は基本的には弱い人(あるいは立場上、自分は客だからいばれると思って)しか相手にしませんから、向こうから去っていくようになります。

でも、それが出来ずにくよくよと悩む人が多いのではないかと思います。

名前を知らせてしまったので、きっと相手は会社の上司とか苦情センターとかに電話やメールをしてくるに違いないとおびえたりして、食欲すらなくなり、悩んでしまうのです。

僕は、それを決して駄目だとは思わないし、まして笑ったりしません。

そうして悩むのも人間だと思うからです。

でも、この記事の目的は、その状態に陥らないようにすることにあります。

なってしまったものは、ある程度しかたがないので、現状をよくするには、そのことを考えないことだけです。

もし何か夢中になってできることがあり、その間は忘れられるのであれば、それをやり続けるのもOKです。

しかし、それだと、必ず宿題をやり残したという気持ちを持ち続けるので、一時しのぎにしかなりません。

そのため、僕が多様してきたとっておきの方法を伝授します。

それは、あなたがそのことを無意識でも考えていることに気づいた瞬間にその行為を即やめることができる、あなただけの呪文を用意しておくことです。

僕の場合は、「キャンセル、キャンセル」とつぶやく単純な方法ですが、これは繰り返し訓練することにより、かなり効果をあげることができるようになります。

人間は忘れることができるわけですが、それは、忘れることが自己保存のために必要なことだからです。

こうして、あなたが、その事件を思うたびに呪文をとなえ、すぐに考えなくなることを繰り返して傷をいやしていきましょう。

そして、その事件に続編があれば、その時こそ、上記の4つの方法を思い出し、堂々と対応してみてください。

その時、あなたがやりやすいのであれば、怒りを相手にぶつけるのもアリだと思います。

ぜひ、やってみてください。

 

会社との付き合い方

僕が考えるカスハラでうつ病になんかならない方法は、以上でだいたい尽きていますが、意外と多い悩みとして、会社を気にするということがあります。

 

つまり、このことが原因で、ひどい場合は退職に追い込まれたり、出世に影響したりとかが気になるのですね。

 

僕のこれについての結論は決まっていて、そんなことで、不利な扱いを受けるような会社なら辞めてしまえということです。

 

この事件でそれがはっきりしたわけですから、むしろカスハラした人に感謝してもいいくらいです。

 

もちろん、生活があるし家族がいるしとかあるので、やめられない場合も多くでしょうが、その会社で我慢しても将来は見えているでしょう。

 

すぐに辞める必要はなく、なるべく有利な状況でやめましょう。

 

また、6カ月程度の「会社脱出プロジェクト」を作り、計画的にやめるとよいでしょう。

 

ゴールがはっきりすれば、より明るい未来が待っているはずです。

 

反対に、あなたの決然とした潔い態度が評価され、あなたは出世してしまうかもしれません。それはそれでよしとし、この事件で、同じように苦しむワーカーのために何をすればよいかに取り組みましょう。

顧客最優先の風土を見直せ

それにしても、日本の顧客最優先の風土はどうにかならないものでしょうか。

 

つい最近も、マスクをしていないからと新幹線で注意され、あばれた人がいましたが、「俺は客だぞ」と叫んでいた気がします。

 

迷惑行為をする人は、客でもなんでもありません。

 

企業も犯罪に対しては、決然とした態度を取りますが、こうした微妙な嫌がらせである、カスハラについては、お客様最優先の考え方をしている場合が多いと思います。

 

これは、「客層を良くしていく」という発想の欠如でもあります。

 

良いお客様とは、決して金持ちとイコールではありません。

 

会社が提供するサービスを正当に評価してくれ、会社のファンになってくれるお客様であるはずです。

 

カスハラは、当事者だけではなく、周囲のお客様も不愉快な思いをしているはずです。

 

カスハラ客が頻度高く出現するようなお店に、あなたは決して行かないのではないでしょうか。

 

従って、カスハラを行なうような客は客ではないという考えを徹底してもつ企業が、これからは伸びるだろうと僕は確信しています。

 

カスハラが多ければ、社員はやめていくし、そうなると結果的に人件費のコストもあがり、人も来てくれなくなります。

 

社員に選ばれない会社が顧客に選ばれるはずもありません。

 

一方で、「お客様は神様です」というのは、本当だと思いますが、来てくれれば誰でも神様という意味ではないのです。

 

来客のなかには、一定数、はじいていかなければならない客が必ずまじっています。

 

それをこまめに排除し、客層を良くすることが強く求められていると思います。

 

客層が良くなれば、カスハラ客は居心地が悪くなって逆切れしてこなくなるか、おとなしくなる(この方が多い気がする)でしょう。

【次回予告】僕の心の傷

実は、この記事を書きながら、何度も思い出した過去の出来事があります。

 

そのことがあってから、すでに数十年がたっているのに、いまだにその時の傷がうずくのです。

 

当時、中学生でどうしていいかもわからず、ただ驚いてしまい、その時は、当然ながら、ここまで長く、あの気持ちが尾を引くとは想像もできませんでした。

 

カスハラが他人事ではないのは、この事件があるからだと僕は気づきました。

 

あの4原則に従い、次回、僕は、数十年後にその記録をまとめようと思いました。

 

準備ができ次第、この記事でもご案内します。

 

PS 記事ができました

https://okkochaan.com/ptsd-mujikaku/

 

お読みいただき、誠にありがとうございました。

 

20210510 by okkochaan