サービス残業 実態

以前から書いていますが、日本にある労働基準法ほど無視され続けている法律を僕は知りません。

 

労働基準法には残業の限度のことや割増賃金、残業に関する労使協定(36協定)などが明確に規定されているのに、これらすべてをかいくぐることが出来る「サービス残業」というものがあるのです。

 

ここでは現在、ヤフーの意識調査で実施している「サービス残業」は増えた?減った?をみると、サービス残業の実態は増えていることがうかがえます。

 

この記事に寄せられた意見も参考にしつつ、そもそもサービス残業はなぜ存在するのか、サービス残業をなぜ受け入れているのか、サービス残業は企業にとって本当にプラスなのかについて考えてみたいと思います。

 

また残業時間を個人で管理するスマホアプリも見つけたのでご紹介します。

スポンサーリンク

サービス残業が存在する理由と受け入れる理由

僕は、労働法と付き合う必要がある人材供給関係の会社で長く仕事をしていました。

 

残業が多い業種としては運送業とか小売業とかが思い浮かびますが、この人材業界もまさにそうでした。

 

僕自身は残業を月に40時間ぐらいはしていましたので、多い方だったと思いますが、賃金を支給されないサービス残業をしたことは一部例外的なことを除いてほぼありませんでした。

 

しかし、社員のなかにはサービス残業をしている方も多かったと思います。

 

そもそも残業が多いのですが、その会社で一番多いケースは、残業時間をタイムシートに記録するのに一定の制限を付けるということです。

 

例えば60時間残業しているのに、20時間しかつけないというものです。

 

また仕事がら早朝とか深夜、休日出勤の労働が発生しますが、これは労基法によれば割増賃金の手当ての対象になります。

 

しかし、その時間帯は記録しないということも行なわれていました。

 

僕は不思議に思って、そうしたサービス残業をしている社員に何度か直接聞いてみました。

 

そして返ってきた答えは、「責任」「自己満足」「忖度」という言葉であらわされる内容でした。

 

家庭があり子供もいながら、プライベートをここまで犠牲にするのかという内容ですが、サービス残業をしている方は、ほぼ例外なく「いい人」でもありました。

 

「責任」は、自分の仕事の完遂についてのものだったり、客先の企業が本来やるべき仕事をサービスで行って評価されようとしているものでした。

 

「自己満足」は、自分がやらなければ他にやる人がいないという仕事に対しての間違った認識でした。

 

「忖度」は、自分の上司であったり会社の厳しい現状を勝手に考えて残業代を申告していないのでした。

 

総じて、こうしたことを犠牲となって行うことに自分自身の存在理由を見出そうとしていることがわかりました。

 

自己主張をしないことで上からの評価を貰い、安全でありたいという痛々しいまでの気持ちが伝わってきたのを覚えています。

 

この例を僕はサービス残業が存在する理由と考えていますが、僕自身は残業をせざるを得ない物理的理由(その時間でなければ対応できないとか、その時点で誰にも頼めないとか)での残業と仕事量がキャパオーバーになっているという認識だったので、仕事をした時間は正確につけていました。

 

ちなみに、会社としては、人事は正確に記録しろといいながら、現場ではそれがやりずらいというダブルスタンダードの構えだったと思います。

 

僕は、この「責任」「自己満足」「忖度」の考えのかたにこう言ったことがあります。

 

「もしあなたのクライアントがサービス残業を明示・暗示にかかわらず強要している環境があれば、あなたは間違いなくその点をクレイムするでしょう。それなのに、どうしてあなた自身のことは例外にするのですか?それを例外にすることは会社にとって本当にいいことでしょうか。ブラック企業となったり、退職社員の一人が労基署に申告すれば一発で是正されることだし、過去にも実際あったのに、それを目先の理由なのかいいずらいのかわからないけどサービス残業を受け入れているのはおかしいのではないでしょうか。これを放置することは会社にリスクを負わせることになると思いますよ。」

 

もちろん、こんなにまとまった形で話すことはできませんでしたが、このような意味のことを話したことがあります。

 

しかし、その場では僕の話に理解を示しながらも、それで彼が変わることはありませんでした。






サービス残業は企業にとってプラスか

これは、もはやマイナスという結論が出ているのですが、その最大の理由は、優秀な人材の確保が出来ない、あるいはせっかくの優秀な社員が辞めてしまうということです。

 

僕は人材の仕事をしていて、非常に多くの面従腹背(表面は従順に見えるけれども考えは逆)を見てきました。

 

本当にどうみても感じが良く、楽しそうに仕事をしているかに見えても、突然退職を申し出て、理由が会社への不満だったりするケースです。

 

これは、実は非常に多くあります。

 

実際、残業時間についてはサービス残業でなければ生活残業として20時間ぐらいは欲しいという人が一番多かった気がします。

 

ですがサービス残業を放置しているような会社であると、どこか人間関係についていけない部分が生じており、それがドメスティックでかつ自分のプライベートまで踏み込んでくるような恐怖になり辞めていくのです。

 

以上から僕からの企業へのアドバイスはまずはサービス残業を完全になくすことです。

 

そうすると当然一時的にコスト増になりますが、残業もなくすことで最終的には解消させます。

 

また就業時間内の仕事で評価することで、社員もダラダラと仕事をする習慣を捨てることができます。

 

この時のポイントは上司が率先して残業しないことでしょう。

 

こうしてサービス残業も残業もない職場が実現できれば、社員もハッピーになり定着率が高まります。

 

定着率が高まれば採用コストも圧縮できるし、そもそもコストをかけても良い人材を確保するのが厳しい現状から脱することができます。






中小企業の場合はどうか

日本では何をやるにしても大企業と中小企業をわけて行います。

 

例えば法律を変えても中小企業には時間的な余裕を与えたりします。

 

サービス残業の問題が深刻なのは、まさに中小企業かもしれません。

 

僕は、人材確保の観点からみて、サービス残業とか残業についての基本は変わらないのですが、経営者にも社員にもそれぞれ、残業云々に関係なく、強い仕事への思いがなければ難しいかなと思っています。

 

つまり社員である以上、文字通り経営者的な視点を初めから持たせるような育て方をするしかないと思っています。

 

社員としては、大企業と違っていろんな経験をすることが出来るわけだし、場合によっては独立だって出来るという環境的なプラス面が間違いなくあります。

 

経営者と近いぶんだけ安定感は欠きますがチャレンジングなやりがいのある仕事ができる可能性は高いと思います。

 

それでもサービス残業をしてしまう方へ「残業証拠レコーダー」

人間は容易に変わらないというのは僕の信念でもあります。

 

これまでお読みいただいたとしても、サービス残業をしているかたが決意して辞めることはまずないでしょう。

 

その場合、簡単にできることで、一つだけやっておいて欲しいことは、自分の本当の勤務記録を手帳でもいいので、毎日必ず記録しておくことです。

 

それにより、もしあなたが退職後に本来受け取るべき残業代が欲しいとなれば労基署に行って勤務記録を提出し、過去2年間分のサービス残業代を遡って支払って貰いましょう。

 

これは退職後に可能なので、最後の給与振り込みを確認してから行った方がいいと思います。

 

もしあなたが心に残った社員がまだその会社で働いているとすれば、そのことで、残った社員たちを救うことも出来ます。

 

これは、たまたまネットで見つけたスマホで使えるアプリです。

 

僕が使ってみたわけではないのですが、便利そうなので調べてみてください。

 

残業証拠レコーダー

最後に

これを書いていてはっきり気づきましたが、それはサービス残業の問題は、会社と社員と双方の問題だということです。

 

その昔の主君と家臣の関係よろしく、お互いが馴れ合いで共犯者のにおいすらします。

 

ただ時代はどんどんと変わり、AIが半数以上の現状の職業に変わると言われている現在、サービス残業の問題は早々とクリアーしなければならない問題だと思っています。

 

非常にウェットな日本的な風土に根ざしたサービス残業ですが、主君は家臣に寝首をかかれる危険があり、家臣はいつ放逐されるかもしれないというのが実態なのです。

 

そうしたハードな局面が来てからでは遅いと思います。

 

特にサービス残業は現状でも全く評価されないものであることも、肝に銘じておくべきだと思います。

 

20180403 by okkochaan