鶏の放し飼いはストレスフリーで良いというのは本当でしょうか。
ここでは、それについて考察しました。
ふだん当たり前と思って食べている卵ですが、これを読むことで、より適切な選択ができるようになると思います。
まずは現状からの結論
養鶏をするのには大きく二通りの方法があります。
ひとつは、おなじみの身動きもとれないようなケージに雌鶏を入れて飼う方法。
もう一つは、放し飼いですが、これも文字通りの放し飼いと「平飼い」といって、鶏が自由に動き回れる小屋のようなものに多数の鶏を入れて飼う方法です。
そして、僕が得た情報からの結論としては、この平飼いがベストではないかと考えています。
しかし、これを書きながら思ったのですが、そもそも養鶏所を見たことがない方も多いのではないでしょうか。
今の養鶏所は病原菌を防ぐために外部の方に積極的に見学させてくれる体制ではありませんしね。
また、僕は田舎に住んでいるのですが、最近では、田舎の子供たちでさえ都会の子供と変わらず、普通に虫を怖がったりします。
ここで昔はどうだったかとかいうのがナンセンスだと思いますが。。
つまり、田舎の子供でさえ養鶏所を見たことがない子も多いです。
狭いケージに閉じ込められている鶏の悲哀も感じたこともないだろうし、人間が生きるためにどれほど動物を利用しているかに思いをいたすこともありません。
でも卵というのは、鶏が種を保存するために母鳥が苦しんで生むものであることを忘れてはならないと思っています。
鶏は、今ではやっているかどうかわかりませんが、卵を一日に2回生んでもらうために、夜中に電気で明るくして朝と錯覚させるような方法も取られていました。
鶏の放し飼いがストレスフリーで良いかどうかと考える際に、こうした事実はぜひ踏まえていただければと思うのです。
ともあれ物価の優等生である卵は、こうした鶏たちの犠牲のもとに成り立っています。
もし鶏インフルエンザが発生すれば、何万羽という鶏が焼き殺されるのです。
鶏の放し飼いはストレスフリーで良いという根拠
ニワトリも鳥であるので、当然飛びます。
他の鳥のように長い時間空を飛んだりはしませんが、電信柱の上ぐらいまでは飛ぶのです。
そんな鳥を狭いケージに閉じ込めることが、ストレスを与えることは間違いないし、ストレスを抱えた鶏が生んだ卵に影響があるだろうことは容易に想像できますね。
もし、あなたがかろうじて寝返りができる程度のスペースに閉じ込められたと考えると恐ろしい思いがするでしょう。
事実、ストレスのために羽をむしってしまったりする鶏もいるそうです。
これが、鶏の放し飼いがストレスに対して効果があるという最大の理由です。
しかし、これを文字通り放し飼いにすることがストレスフリーになるかどうかという点では、疑問があります。
それは放し飼いにする環境に大きく左右されると思いますが、ストレスについて言えば、外敵からの攻撃があげられます。
野山で放し飼いにするとしても、改良種である現在の養鶏は自然にあるものではありません。
野鳥とくらべても身を守る能力は決して高くはありません。
それに対して、外敵としては、ヘビやイタチ、犬猫、ハクビシン、カラスなどがいます。
放し飼いにすることで、こうした外敵を完全に防ぐことは難しく、鶏も当然、強いストレスを感じるはずです。
鶏が自由に歩き回り、楽しそうに見えるので、卵も自然で栄養価の高いものに違いないというのは、人間の勝手な思い込みです。
身近な昆虫や動物をちょっと観察してみればわかりますが、セミやトンボ、チョウなども楽しく遊んでいるわけではなく、命をかけて必死で生きており、命のやり取りをしているのですから。
だからといって、僕は放し飼いを否定しているのではありません。
ただ、ネットを見ると、放し飼いによるイメージアップによる養鶏所(会社)の宣伝に見えてしかたがないのです。
鶏の放し飼いの懸念
鶏の放し飼いのもうひとつの懸念は、鶏が何を食べるかわからないという点です。
鶏は口に入るものであれば、なんでも食べます。
ハトの糞のように寄生虫がいるものもあれば、プラスチックの破片だとかもあるかもしれません。
つまり、いってみれば、放し飼いの環境によっては、原料が不明の状態を作りやすいということです。
特に自然界に普通にあるサルモネラ菌などは簡単に体内に入るとみるべきです。
もちろん、飼育用のエサを主体に食べるのでしっかり管理すれば大部分は防げることですが、「放し飼い=すばらしい」とはならないということです。
まあ、そこまで神経質になることはないんじゃないかと考える方も多いと思うし、僕もそれには賛成です。
ケージがストレスを生むのは間違いないですし、EUでは、そもそもそうした飼育法を禁止しているようです。
日本もそうした方向があるようですが、日本の場合、自然がすばらしいようでいて牧畜とか養鶏とかに関しては、日常生活から切り離されていると思います。
ひとつ、わかりやすい例として、思い出した話があります。
それは、フランスから日本にやってきた青年の話です。
彼は牛乳を出されたのですが、一口飲んでやめてしまいました。
驚くのはその理由なのです。
あまりおいしくなかったということもあると思いますが、それはフランスで普段飲んでいる味と違うからかもしれません。
理由はそうではなく、新幹線で移動する間、牛を一頭もみなかったというのがその理由でした。
こうしたことは、日本人にとっては、ばかげたことに思えるかもしれないのですが、欧米人にはよくあることです。
僕は、アメリカ人のジャーナリストとちょっとかかわったことがありますが、その方は、母国に電話する場合も絶対にウェスタンユニオン経由でなければかけませんでした。
それ以外の電話会社を情報保護の観点からも信用していなかったのです。
日本からは無頓着にアメリカの電話会社にランダムに経由することになっていたのですが、ウェスタンユニオン経由になるまで、何度でもトライしていました。
僕は今では、こうしたこだわりは大事だと考えるようになっています。
EUのケージによる飼育禁止には動物愛護の観点も強いように思うのですが、物価の優等生であり続けるためには、効率的な大量生産をせざるを得ないのもまた事実です。
こうしたことからも、僕は、平飼いがベストだと考えています。
まとめ
卵は平飼いで生産されたものを選ぶのがお勧め。
必ずしも高い卵が栄養価が高いわけでもないし、赤玉のほうが栄養価が高いわけでもないです。
理想的には、鶏が育っている環境を実際に見ることが出来る生産農家から買う事ですが、なかなか難しいでしょうから、自分が食べている卵の生産プロセスについて可能な限り調べてみましょう。
ちなみに、有精卵・無精卵について付記すると、栄養価については違いはないそうです。
雌鶏ばかり巨大な小屋にひしめいている状況と、50羽に1羽ぐらい雄鶏がいる状況を比べたとき、雄鶏がいるほうが良いのかどうかという問題です。
これについては、僕は現時点ではよくわかりません。
それと、これを書きながら僕が子供のころにやってしまった、いまだに時々思い出して後悔している出来事があり、この記事の続編として書きました。
自分で思い出しても悔いが残る思い出です。気が向いたらお読みください。
20190928 by okkochaan