貧困の連鎖

 

ヤフーニュース(朝日新聞)によれば、奨学金破産は過去5年で1万5千人いるそうです。

 

また今回あきらかになった特徴として、親子の連鎖が広がっていることが確認できました。

 

奨学金破産、過去5年で1万5千人 親子連鎖広がる

 

この問題は、2016年6月にNHKのクローズアップ現代でも取り上げられていて反響があったようです。

 

それによると、2人に1人が奨学金を借りていること、大学中退者8万人のうち、5人に1人はお金が払えないという理由での退学だそうです。

 

貧困の連鎖とは、生活保護を受けている人の子供がまた生活保護を受けやすくなることを指すらしいのですが、僕にはこの奨学金破産もまた貧困の連鎖の一種に見えます。

 

 

奨学金破産の親子連鎖とは

 

学生が奨学金を受け取るときは、ローンを組むのと一緒で、親と親族一人の連帯保証人を立てるか、保証機関に保証料を払う「機関保証」を選択します。

 

機関保証の場合、保証料が奨学金から差し引かれますが、連帯保証人がいない方や頼めない事情がある方も当然いると思います。

 

奨学金破産の親子連鎖とは、学生が大学を卒業してからも返済能力がなく、かつ保証人である親も破産している状態をさします。

 

以下は記事からの引用ですが、機構などによると、奨学金にからむ自己破産は16年度までの5年間で延べ1万5338人。内訳は本人が8108人(うち保証機関分が475人)で、連帯保証人と保証人が計7230人だったとのことです。

 

一方、国内の自己破産件数は緩やかに下降していて、奨学金関連は3千人前後が続いており、16年度は最多の3451人と5年前より13%増えているとのことです。

 

ここから次のようなことが見えてきます。

 

・ 奨学金破産のほとんどは連帯保証人を立てたケースであること。(ただ現在の運用は無審査)

・ 奨学金破産の割合は本人と保証人とがほぼ半々である。

・ 奨学金を借りている人が131万人で2.6人に1人という割合で、奨学金を借りるのは普通になっている。

・ 奨学金を借りている人が131万人であることを考えると、年間で約3000人の奨学金破産は、はたして問題とするような数字なのかという疑問。

 

 

今日の記事には関連記事が同じく朝日Digitalに日本学生支援機構の遠藤理事長の記事がでています。

 

奨学金、進む回収強化 「あきらめればモラルハザード」

「モラルハザード」とは、借り入れた学生や親の倫理の欠如をさしていて、当然はたすべき社会的な責任を果たさなくなることを指していると思われます。

 

これは、現在の日本学生支援機構が学生向けの低金利の金融業になったことを考えれば当然ですが、前身である日本育英会が返済不要の奨学金を運用していたことと、奨学金破産の状況を合わせて考えると、素直に100%支持はできないものを感じてしまいます。

ネットからの印象

僕がざくっと見た限りでは、この問題についてのネットでの反応は、奨学金破産に対して同情的なものは少なくみえました。

 

要は借金をする意識がないからだとか、破産宣告をしてもらった人の例として月収20万あり月々の返済が4万円というケースがありましたが、それは努力すればできる数字だろうとかいうものでした。

 

僕ももっともだと思うし、20年続くのを考えると楽な道をとったなという印象はあります。

 

結局、僕が問題にしたいのは、131万人のうち3000人ではあるけれども、現代社会の問題が特徴的に現れているケースとしてこの問題をとらえるべきではないかということです。

 

生活保護とか貧困の連鎖とか奨学金破産とかから自由な社会

 

この間も、生活保護を受給している人はパチンコをしてはいけないのかという記事を書いたところ、「血税を貰っているんだから当然だ」という意見をいただきました。

 

僕も、誠にもっておっしゃる通りで反論などとてもできませんが、自分がさほど偉い人間でないことを骨身にしみて感じているので、生活保護を受けとったその足でパチンコ屋に直行する人の気持ちがわかってしまうことがあるのです。

 

それは、母子家庭で母親が必要な生活費さえ切り詰めて切り詰めてやっと作ったお金を受け取ってパチンコ屋に行ってしますような、救いがなくて保護もすべきでない人間にもまた憲法の保証する幸福を追求する権利があるだろうということなのです。

 

頭のよい優秀な子供をほめるのは誰でもできますが、駄目な子供のいい所をなんとか見つけてあげたいという気持ちだったり、むしろ自分がその駄目な側なので、自分にもこんないいところがあったことを認めてもらいたいとか、そういったことなのです。

 

世の中には、不良とか非行に走った子供と根気よく付き合う方がいらっしゃいますが、その方々を動かしているモチベーションには、必ずこうしたことがあるだろうと僕は考えています。

 

だから、僕には名古屋あたりで起きた、生活保護者をいじめるような行為が許せません。

 

もちろん、生活保護も不正に受給していたり奨学金を貰って優雅な生活をしている人がいることも知っています。

 

それは正すべきだと考えますが、全体の割合がどの程度なのかを知ることからかなと思います。

今の日本に必要なパラダイムシフト

僕は、現在の日本の停滞感とかやりがいが生まれずらい社会を変えるには、従来の発想ではないパラダイムシフトが必要ではないかと考えています。

 

同列の発想ではいくら議論をしても何も進みません。ましてや、右とか左とかという問題でもアメリカ合衆国がどうだとかでもないです。

 

幸い世界にはいろんなヒントが転がっています。

 

例えば、最近全く議論されなくなりましたが、ベーシックインカムについては、もっと真剣に検討すべきではないかと思います。

 

ベーシックインカムの導入によって、もし「働かざる者食うべからず」という固定観念がなくなれば、より自由な発想のステージにあがることができます。

 

ベーシックインカムとは?日本で可能か?

 

人間の脳は考えられないことは決してイメージできませんが、考えられたことはすべて実現可能なのです。

 

いまこそ、より自由になり、「くそ真面目な国」から自由で活気があり平和と文化を尊ぶ国へと変わっていければと思います。

 

20180212 by okkochaan