ホテル三日月、小高芳宗社長の英断に感じる危機感
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コロナウィルスにより武漢から帰国した日本人を受け入れたホテル三日月、小高芳宗さんの英断について、ネット上では称賛する声が強いです。

 

代表的な記事はヤフーニュースのこの記事で、これを読めば概要は把握できます。

 

ここでは、称賛する意見と批判的な意見をまとめた上で、今回の事件から危惧される危機感について述べたいと思います。

称賛する意見

僕自身も今回のホテル三日月の対応について、困難な決断をなさった小高社長に頭が下がる思いです。

 

政府から懇願されたという背景はあるものの、なかなかできないことだからです。

 

また、行為の純粋さは、その無償性、つまり見返りを求めない自然な気持ちの発露として担保されます。

 

ホテル三日月は勝浦にあり、台風15号の被害のときも、大浴場を無料開放するなど、無償の行為をなさっています。

 

ちなみに、他のホテルは手をあげなかったのかという批判もあるし、ニューオータニに頼めばいいのではという意見もあります。

 

しかし、東日本大震災の時に、都内で無償で開放したホテル(今は帝国ホテルしか思い出せませんが)が多数あることを僕は知っています。

 

震災と違い、お客をかかえたホテルで、コロナウィルスに感染の疑いがある人達を即刻受け入れることがいかに難しいかは想像できますので、他のホテルを批判すべきではないと思っています。

 

批判的な意見

批判的な意見は、称賛するものに比べると少ないですが、批判内容は以下の通りです。

 

・近隣の住民の気持ちを考えなかったのか(実際に風評被害もでているし、子供がいじめにあったりしているようです)

・売名行為ではないのか

 

もし、僕の家の近くのホテルが同じ決断をしたとしたら、やはり不安はあるし、全市が武漢市のように出入り禁止になり親戚にすら来るなと言われたりする事態にならないという保証はありません。

 

ただ、風評被害は必ずでますが、どうしてこうした心ない行為をするのかと思います。

 

おそらく、気が弱い方々がなさるのだといつも思っていますが、それが暴力行為にまで及ぶことすらあるのは恐ろしいことです。

 

 

危惧される危機感

とても真似できない頭がさがるホテル三日月の無償の行為ですが、無制限に感心してばかりもいられません。

 

それだけでは、単にいい人がいてラッキーというだけの話になります。

 

むしろ、今回のことで、僕は漠然と持っていた危機感をさらに感じるようになりました。

 

政府の危機管理能力

今回、特に対応の遅さが指摘されています。

 

いち民間人であるホテル三日月の小高社長の義侠心に国がすがるというのは、なんとも頼りない話ではないでしょうか。

 

危機には予想できることと予想できないことがあると思いますが、今回はウィルスの話であり、これまでも違うウィルスで同様の危機は何度もあるわけで、準備不足の一言です。

 

ましてオリンピックを控えているわけで、カジノを作ることなどより最優先すべきことではないでしょうか。

 

また予想できない危機については、憲法改正をして挙国一致で取り組む体制をつくれという声がありますが、憲法改正を持ち出すまでもなく、危機管理のなかで当然含まれる事態です。

 

僕には、憲法を改正したい方の便乗したあおりとしか思えません。

 

それでも日本人かといった価値観

上記と同様のことですが、戦時中の挙国一致体制へと思想統制に利用されることが恐ろしいです。

 

「国の存亡をかけた時期に、ゲームなどの享楽に高じているのは非国民である」というような声が聞こえてくる気がします。

 

コロナウィルスの危機は世界的なものであり、日本人かどうかなどは関係ありません。

 

無用な危機感をあおることは、無用な緊張を強いることでもあり、結果、全体の風潮は委縮したものとなり、挙国一致体制に向かうのではないでしょうか。

 

現政権の傾向への危機感

 

今回のホテル三日月の対応は、神対応と言えます。

 

けれども、若干の不安としては、現在の安倍政権が身内や支持者に見返りを与える傾向があることです。

 

くり返しますが、無償の行為は、決して見返りを求めないことで、始めて担保されるのです。

 

老婆心ながら、その点はくれぐれもお気をつけになり、小高社長がご自愛なさることを祈っております。

 

 

20200204 by okkochaan