禁煙を始めると当初はともかくタバコを吸いたいという誘惑にかられ、イライラとか唾液がやたらでるとか頭痛とかの離脱症状(禁断症状とほど同義です)が現れます。
この出方の強弱や症状は個人差があると思いますが、いつまで続くかといえば、およそ3週間ぐらいまでが峠で、それを乗り切れば楽になり、ストレートにタバコを吸いたいという気持ちは薄れます。
でも本当に怖い、というか危険なのは、そうしたわかりやすい離脱症状が表面上消えてからだと僕は思っています。
僕は2度、離脱症状が消えた後、禁煙に失敗しました。
話が飛びますが、ガラガラヘビに噛まれるのは捕獲中ではなく、家に戻ってヘビと遊ぼうとした時のほうがはるかに多いそうです。
禁煙もガラガラヘビと遊ぼうとしての事故と同じなので、油断が原因であり、その油断を執念深くねらっていたニコチン脳の餌食となるわけです。
くどいですが、離脱症状が消えてからの失敗は意外と多いと思うので、これは僕と同じような失敗をしないために書いています。
つまり、禁煙を始める前に、これを読んでいただければ、「あ、この事だったのか」とタバコを手にしたぎりぎりのところで、タバコを吸わないですむのではないかと思うのです。
話をしっかりと記憶に刻んでいただけるように、なるべく面白く書いたつもりなので読んでみてください。
離脱症状はニコチン脳との会話を楽しみながらスルーする
僕の場合、禁煙を初めるとすぐに、このイラストのような天使と悪魔の対話が始まります。
胸がいたむ、吐き気がする、頭痛、不眠、イライラなどの一般的な離脱症状は僕の場合はあまり現れません。
もっとも多いのは、唾液が多く出ることですが、これは脳が口のなかにわずかでも残っているニコチンを探しているのがよくわかりますので、お茶を飲んだりしてスルーしました。
ただ、禁煙を宣言しながら3週間ももたずに挫折するのは、禁煙についての見通しが甘いことが最大の原因なので、僕のこの記事を読んでください。
禁煙の失敗には必ず原因がある【原因をつきつめてバラ色の世界へ】
ニコチン脳は脳の深いところからきているので、言葉はもっていないのですが、言語中枢を動かして言葉を作ります。
パウロのように外から声が聞こえるということではなく、あくまでタバコを吸わせようとするニコチン脳と自分との戦いでもあります。
この戦いの当初の期間、つまり通常の離脱症状はいずれ消えるので必ず乗り越えられます。
また、これを乗り越えるために様々な禁煙グッズがあるので、離脱症状がひどい場合やグッズを使ったほうが楽であれば目的のみを重視して使うべきです。
タバコ代を考えれば決して高い買い物ではありません。
僕の場合は道具は使わず、ニコチン脳との会話を楽しみながら過ごします。
ニコチン脳には、自分の性格も投影しているのだと思いますが、結構かわいい面もあるのです。
おーい、がんばってるなぁ
ねえ、今なら向こう向いているから吸っていいよ。
誰も君がタバコを吸ってもなんとも思わないよ。吸っちゃいなよ。
これらはすべて予測できることだし、吸いたい時間もほんの2~3分の間なので、基本は気を紛らわせる別のことをすればOKです。
仕事をしている方なら、仕事に集中するとか、ゲームが好きならゲームをするなど工夫しながら乗り切りましょう。
離脱症状が消えてから、葬式で2度も同じ失敗をしました
僕は葬式で2度も同じ失敗をしました。
2回とも禁煙期間は3か月を超えており、離脱症状は完全になくなり、吸いたいとも思わなくなっていました。
それなのに、僕はいつまでもニコチンの味を覚えているニコチン脳の執念に負けたのです。
2回の僕の失敗を書きますので、禁煙される方は、こうした状況に陥っても、決してタバコを吸わないように禁煙に対する強い信念をもって臨んでください。
一度目は、荼毘に付している時の待ち時間の宴会のさなかにふらふらと喫煙所についていき、勧められるままにタバコを吸ってしまいました。
正直、ためらいはありましたが・・・
今日だけはいいじゃない。これは供養ですよ。
そうかなあ。そんなことでまた吸い始めたら元も子もないんじゃないかなあ。
いやいやタバコっていうのは、特別なものなんですよ。マヤの人たちはタバコの煙を通じて神様と交信していたんです。また太宰治の墓にお線香がわりにタバコを備えているでしょ。これにもちゃんと理由があって、タバコは場合によっては、お線香以上に霊界とのコミュニケーションの役割を果たすのです。
そんなうまいことを言って、僕をだまそうとしてるんでしょう?
いえいえ、君をだますなんてとんでもない。君の意志の強さには、ほとほと感心しているんです。脱帽です。僕は完全に負けましたし、勝負あったと思っているんです。ねえ、東大の医学部に合格して、「自分の頭の良さは証明できた」と言って入学しなかった人がいるでしょ。君はあの人と同じですよ。もう君の意志の強さは証明されたし、今日、というか今だけ吸って、あとは吸わなければいいだけですよ。
そうか!そうだよね、今2本ばかり吸って、それっきりにすればいいわけだし、これは供養なんだよね。
2度目は通夜の時でした。
手持ち無沙汰なのは前回と同じです。
ただ親しい人の死に接し、生きている意味だとか自分がこの先、何年生きて何か残すものがあるだろうかとか考えていました。
正直、無力感にさいなまれていて、自分が無価値に思えてならなかったのを覚えています。
なんか虚しいな。人間いつかは死ぬわけだけど、やりたいことをやって死にたいものだな。そう考えるとタバコだって吸いたいなら我慢なんかすることないんじゃないかな。
よくぞその事にお気づきになられましたね。会社の経営者や組織の上の方にいる人達の喫煙率はかなり高いんですよ。彼らは責任も重くストレスがかかる場合も多いですが、それ以上に、やりたいようにやっているという意識があるのです。小声でいいますけど、タバコには脳の神経細胞を生み出す力もあるので、喫煙者がアルツハイマーにかかる割合が低いのです。タバコをやめてボケるのとタバコを吸ってボケないのと、どちらを選びますかって話です。
ええっ!タバコにはそんな効果もあったんですか?僕もあまりにもタバコが一方的に攻撃されているので、おかしいと思っていたんです。
まあそのことは、まだ証明されていないし、君をだましたくないので正直に言うと、その研究をしている方も、ニコチンにアルツハイマーを予防する効果があるとしても、喫煙のその他の害と引き算すると、圧倒的に喫煙は良くないと言っているんです。
君は誠実な人だね。そんな不利な情報まで公開するなんて、いままで見損なっていたよ。じゃあ、やっぱりタバコは吸わない方がいいんだね!
まあ私が言うのもなんだけど、吸わない方がいいね。でもね、人生の虚しさを埋めるにはタバコはありだと思いますよ。目的に向かって邁進してそれを達成したときに、なにか形ある行為をすることで、その虚しさにくさびを打ち込むことができるからね。登頂記念の碑みたいなもんです。それがタバコなのさ。山の上で吸うタバコは格別ですよ。
確かに君の言うとおりだ。多数派がタバコをまるで、いじめっ子のように攻撃してるけど、そんな奴らに引きずられた自分がなさけない。君の言う通り、僕は山の上で、美味しいタバコを吸うために生きてきたし、それが生きがいなんだ。それがなければ、努力そのものが虚しい。考えてみると僕は最高のタバコを吸うときのために生きてきたんだ。
2回とも別にその場さえなんとかスルーすれば大丈夫だったかもしれません。
しかし、僕はそんなことよりも、絶対にニコチンの味を忘れない脳のことを思い、これに対抗するのは決して簡単ではないと思い知らされたのです。
禁煙が難しい理由もこのあたりにあるので、いかなる誘惑にも負けない呪文でもお守りでもなんでもいいので、タバコを吸いそうになったら必ずぎりぎりで止める手立てを用意しておいてください。
こうしたことが面倒であれば、禁煙外来を利用するのもいいと思います。
薬を使ってタバコの味を嫌いにさせるらしいので、成功率は70~80%とかなり高いので検討する価値はありそうです。
参考記事:
禁煙グッズ 市販されているものからおすすめを一点だけします【根拠あり】
20100102 by okkochaan