先日KDDIが残業未払いについて公表し、6億7千万円を支払ったというニュースがありました。
金額が億を超えているので、大変なことのように思えるかもしれませんが、1人あたりの支払は1万5千円ぐらいであり、仮に時給2000として計算してみると、1か月の一人当たりが6千円程度、145241/24=6051(1month)、月3時間の残業代なので、1日あたり10分程度の残業ということになります。
この計算には誤差があるでしょうが、大手企業のKDDIが新卒入社の社員の自殺で残業代未払いが発覚してのパフォーマンスのような気がしてなりません。
つまり、優等生の回答に近いものを感じてしまいます。
改正労働基準法で、残業については経営側に始めて罰則つきの規定が盛り込まれましたが、これで問題は抜本的に解決するでしょうか。
僕は日本人のサービス残業の問題の根っこは深いと考えているので、かなり疑いをもってみています。
サービス残業をする理由
サービス残業の原因には、経営者側と労働者側の共通の認識として根深いものがあるので、なぜサービス残業がいけないのかを深堀して考える必要があると思っています。
あなたは、サービス残業をしたことがありますか?
もしある場合、それはなぜでしょうか。
僕は世の中に、浅はかな判断で、よかれと思ってしているのに逆効果であることがたくさんあると思います。
そして、そのひとつがサービス残業と考えています。
また、残業について考える時に、いつも僕の脳裏に浮かぶのは、日本の特に首都圏近郊の住宅事情です。
少し都心を離れれば、住み心地の良さそうなマンションだとか一戸建てだとかで土地は埋め尽くされています。
地方は過疎化、空洞化が進んでいるのに首都圏への集中はさらに拍車がかかってきています。
そして、人々は、快適な生活環境を求めての結果ではなく、首都圏にへばりつくかのように放射状に土地が埋め尽くされているのです。
もちろん、ちょっと気の利いたところでは、散歩するにも快適な公園があったりもします。
しかし、実態は、みな似たり寄ったりでありどんぐりの背比べであり、ラットレースのようなサラリーマン生活が背景にあります。
犯罪もありますが、全体的には人々は穏やかであり、平穏な暮らしを思い、家族を思い、幸せになりたいと思っています。
でも、僕は、これが日本人が本当に望んでいる生活であり社会であるのかといつも思うのです。
なぜなら、内心は、他人への優越感(実はごくわずかな違い)と反対にコンプレックス(これも大したことではない)を常にかかえており、いつも不安な気持ちをもち、社会の規則を守り、階段を踏み外さないように細心の注意を払っています。
つまり多くの人は、実は自分に自信がない状態で生きているのです。
僕は、1日のうちに、本当におかしくて腹の底から大笑いできる人はどのくらいいるだろうかと思っています。
あるいは、親しい人が亡くなった時でも、本当に悲しめるだろうかと。
画一化された生活は、本来、その人にしかわからない喜怒哀楽すらうすめ、ごまかして生きるように強いるかもしれません。
次の予定があったり、仕事があったりの合い間での出来事なので、その喜怒哀楽にどっぷりひたる「ぜいたく」は許されないのです。
これは本当に不幸なことではないでしょうか。
サービス残業がいけない理由について、しっかりと認識をもった方も多いと思いますが、多数を占めていないのが現状です。
僕がサービス残業がいけない理由として最も大きなものと考えるのは、それが人間の幸せを奪うからなのです。
残業の常態化は、業務効率を悪化させ、8時間を集中して仕事したほうが結果的には良い仕事ができることはデータ的にも出ていたかと思います。
サービス残業をしてしまう理由と解決案
会社もしくは部署全体がサービス残業体質である
そもそも残業をつけていいとか悪いとか、その時点でおかしな話なのですが、会社がサービス残業が当然と考えているケースもたくさんあると思います。
この状況で一人だけ毅然として提示に退社しずらいのは非常によくわかります。
そして残業をしていることが、仕事を熱心にやっていると評価され、定時に帰って同じかそれ以上の仕事をしている人は評価で不利になることもあるかもしれません。
これは経営者の自覚で解決できるはずですが、それだけでなく、社員も問題をあいまいなまま残業を受け入れている責任があると思います。
もしそれがサービス残業であれば論外ですし、法的にも罰則規定が盛り込まれているので、いいことは全くありません。
それでも、KDDIの例のように、10分程度のサービス残業はしかたがないという意識はなかなか消えない気がしてなりません。
その理由は、ちょっとした妥協をしたほうが楽だからです。
サービス残業は企業の存続にかかる問題
アリの穴ひとつぐらいの小さなほころびが、土手を破壊し、都市を洪水に導いてしまう話のように、サービス残業は企業の存続そのものを脅かします。
これは、部門の責任者がコストカットで会社に評価されたいために、残業をつけさせない場合も同じです。
社員は不本意な気持ちで仕事をするか、もしくは、会社のため、上司からの評価を得るためと間違った錯覚をしてサービス残業をします。
これは悪いことばかりではないのではないかと感じるのであれば、その考えは浅いと思います。
なぜなら、仮にサービス残業を実質上含めて業務が成り立っている場合、経営者や管理者はそれでよしとしてしまうからです。
その結果どうなるかというと、効率化とか業務の標準化という経営側が本気で努力すべきことを怠ってしまうからです。
すると中期的にみるとライバル企業に負けてしまいます。
また社員の士気があがらず、退職者も続出し、気づくと古い方法に固執するだけの管理者や社員しか残らないことになります。
フレッシュな気持ちで入社してきた新入社員も辞めていってしまいます。
これが企業にとっていかに深刻な問題を引き起こすかは、経営者でなくてもちょっと考えればわかることです。
仕事で「いい人」になってはいけない
サービス残業がいけない理由をまとめると以下のようになります。
1.罰則規定が適用される
2.業務の効率化ができず市場での競争に負けてしまう
他にもあると思いますが、僕はこの2点が一番大きいと思います。
特に「いい人」でありたいと思ってサービス残業をしている方は、その認識は間違っていることをよくよく考えてみてください。
10分のサービス残業で人間関係がスムーズにいくなら、自分がちょっと我慢すればよいだけだなどと絶対に考えないでください。
それよりも時間内に集中して仕事をし、効率化についての工夫をすべきです。
自分がいなければ仕事が回らないというものを出来る限り少なくする努力も重要だと思います。
しかし、僕もそうでしたが、自分がいなければ仕事が回らないことはかなり多かったと思います。
その場合は、個人事業主になったつもりで、時間も自分でコントロールし、やりたいようにやるだけのことです。
会社には、自分以外にはわからない仕事があること、引継ぎには何が必要かなどをレポートしておくといいでしょう。
それでも会社が動かなければ、それは会社があなたの仕事の価値を評価していないか、それ以上に重要なことがあるということなのです。
その事実を冷静に受け止めて、仕事をすればよいだけのことです。
20190402 by okkochaan