サービス残業 実態

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在国会で与党が成立させようとしている働き方改革法案は、高度プロフェッショナル制度への危惧をかわすために、労働者が高プロ制度適用の拒否ができるという案で乗り切り、強行採決に向かうのではないかと思っています。

 

まあ、一生懸命検討されていることとは思うのですが、僕にはこれはかなり幼稚な対応に思えます。

 

議員の不適切発言も撤回することでなかったことに出来ることと同じ匂いを感じますし、いかにも付け焼刃の法案成立が目的とされての力技に見えます。

 

どうして、本当に重要な論議をせずに安倍首相が最重要法案だというだけで、忖度よろしくむきになるのかと思っています。

 

そこで、ここでは、日本人はなぜ残業をするのか、その理由と残業を減らすためにはどうすればよいのかという本質的な問題について書こうと思います。

 

外資企業を担当して感じた日本企業との違い

僕はサラリーマン時代に人材サービス会社の営業として外資系の金融機関を担当していました。

 

そこで先方の外国人との交渉とか契約、連絡も多くあり、また担当者が日本におらず、香港とかシンガポールにいる場合も多かったです。

 

しかも担当者が日本にいない状況はリーマンショック以来、ずっとその傾向が強くなり、日本が経済的な意味では非常に弱くなっていることを肌で感じていました。

 

ところで、その担当者たちは非常によく働く半面、休みも本当に頻繁にとることが普通にあり、そのオン、オフの切り替えのうまさにはいつも感心していました。

 

一方で僕が所属していた会社では、縦型の指示しかこなかったし、例えば営業でもクレイム処理については、すぐにクライアントに飛んでいくとかするような対応が評価されたり、お決まりの慢性的な残業(それは決して明示的に強制されるものではありませんでしたが、仕事を真面目にやろうと思えば思うほど残業せざるを得ないような状況でした)がありました。

 

また僕が休んだ時に代わりに担当してくれる人はおらず、事実上、すべてを自分で管理するしかなかったのです。

 

ただ、こうした状況であっても、僕には外資系企業はクライアントとして性に合っていました。

 

クレイムについても、手段がどうかということが問題なのではなく、重要なのは対応スピードと適切な対応、そしてあえて言えば、しっかりというべきことは、たとえ相手がかなり上位の方であっても、しっかりと明確に伝えるということが大事だったのです。

 

もっとも僕の場合、担当者に会ってお詫びをすることを実践するとすれば、頻繁に香港とかシンガポールに行かなければならないことになりますが、会社に半分冗談で言ったら相手にされなかったのですが。

 

こうした文化の違いは、外資系銀行での店舗での顧客対応でもはっきりと日本人との差は現れていました。

 

外国人の客は日本人以上に無理をいってくる場合も多いのですが、日本人のように「支店長を出せ」とかはまずいいません。

 

そうではなくて、実際に対応した人に対して言うので、窓口の受付であっても、その人の職分で可能な限りの対応をする必要があります。

 

これを文化の違いといってしまえばそれまでですが、僕はどちらが人間的かと言えば、少なくとも外国人のほうが自分の欲求に正直に生きているように見えたものです。

 

一方で、日本のように何かといえばお客が「上司を出せ」と言ってくれるので、極端に言えば、取次をすればよく、責任がない日本の体制の方が楽だと言えると思います。

 

長々と述べましたが、僕が言いたいのは、こうした文化的な違いが、残業の問題のみでなく、すべての領域に及んでいるのが日本社会なのだと思っています。

 

残業の問題は法律で厳しくしばるのに限界があるのではないか

前項のことは、少し固く表現すると、海外では仕事に対して人を当て込むのに対し、日本では、人に対して仕事を当て込んでいる違いだと言えます。

 

そして、日本の良いところは、それによって雇用を守ることが出来ている点です。

 

一方で仕事に対して人を当て込む海外方式だと、失業しても世の中にその職種のニーズがある限りサポートも受けられたりして、日本のような悲壮感に襲われることも少ないと聞いています。

 

現在、日本では段階的に残業時間を減らす努力をしているように見えますが、実質がどうなっているかについては、僕ははなはだ疑わしいと思っています。

 

その理由は、いくつかありますが、まず第一に言いたいのは、日本において労働基準法ほど無視されてきた法律も珍しいのではないかと思っているからです。

 

それは経営者側の意識の問題もありますが、それ以上に、労働者の残業に対する意識が低いことがあげられます。

 

これが、サービス残業という海外から見れば、全く意味不明な現象の原因になっているのです。

 

そして残業することが上司の評価につながり、つまり出世につながると考えている人も多いし、実際にその傾向はあるのです。

 

こうした状況を考えると、僕は、残業に関しては、その監督者なり経営者に対して、厳罰規定を設定しない限り、脱法的な残業はなくならないと考えています。

 

そこで出てきた高度プロフェッショナル制度

働き方改革法案が強行採決されそうなので、野党が強く反対している高度プロフェッショナル制度について、少し書こうと思います。

 

僕は野党が主張しているように、人材派遣法が当初は職種で厳しく縛るということで成立したにもかかわらず、現在は特別法がない限りほぼすべての職種で可能になっている歴史をみると、高度プロフェッショナル制度も当初の目的どおり年収400万以上になるのは時間の問題だろうと思います。

 

年収400万以上となれば、かなりの割合のサラリーマンが対象になると思われるので、結局、残業代はゼロでいくらでも働かせることが出来るということになることは火を見るよりも明らかで、その点では野党の主張に特に無党派層の方はより耳を傾けた方がよいと思います。

 

そして結果的に、実質残業代がでない社会が、国民が望んだことにでもなるのかと思うと、僕の友人とか子供とかが心配でなりません。

 

残業を減らすための提言

残業を減らす努力について、ちょっと調べてみるとわかりますが、ほぼすべて企業側の対応とか成功例とかしかありません。

 

実はこの時点で、僕はダメだと思っているのですが、どうして労働者側から残業を減らすための方法だとか出てこないのでしょうか。

 

法律によって残業のみならず有給休暇の完全消化とか、厳しくしばることも必要かもしれませんが、もっと現場とか内側から出てこないものでしょうか。

 

結局、サラリーマンとは会社に仕えるものであり、労働時間は会社が管理すべきものであるから、労働者側には何も出来ないということになるのでしょうか。

 

これが実際には難しいことは、僕も長くサラリーマンをやっていたのでよくわかります。

 

しかし、一つだけですが、ヒントとなるような動きはあります。

 

それは、副業について認める会社が増えてきているということです。

 

一般のサラリーマンでも高度プロフェッショナル制度の対象者であっても、僕は積極的に副業をすべきだと思っています。

 

もし副業を認めてくれない会社であれば、様子をみて、全く見込みがなさそうであれば、副業可能な会社への転職も考えた方がいいかもしれないし、もし明確に初めは副業でもいずれは独立したいぐらいの気概があれば、思い切って退職してパートをしながら頑張るという選択肢もありだと思っています。

 

僕が考える副業のメリットはいくつかあります。

 

 視野が広がる

・ 自分の会社への忠誠心を客観的に見直す機会を得られる

・ 金銭的に若干の余裕が生まれることが、相乗効果で本業にもプラスになることが多い

 

僕自身はサラリーマンの最後の年にはアフィリエイトを始めたのですが、正直に言うと、実は大きなデメリットがありました。

 

アフィリエイトは常に新しい情報に接しているし、パソコンとかSNSとかも多用するので、いろんな知識が自然と身についてきます。

 

そのため、会社の上司とかマーケティングとかが幼稚で同僚も馬鹿に見えてきてしまうことがありました。

 

例えば上司とかが言っていることの根拠が薄かったり、論理的におかしいと思えるようなことが透けて見えてしまうことがあり、「結局、上司とかは自分の頭で考えたことを話しているのではなく、慣習とか指示とかに基づいた発言をしているだけじゃん」と悲しくもわかってしまうことが多々ありました。

 

そのため、うっかりすると、上から目線の発言をしてしまうので、自らに強く戒めていたのです。

 

以上ですが、僕は残業を減らすための特効薬は副業をすることだと信じているのです。

 

そして、こう書きながらも、「そうはいっても」とか「めんどう」とかでほとんどの方が副業を始めないこともわかっています。

 

ですが、それでは、現状維持が出来ればよい方で、時代はより悪い方向に向かっていくのではないかと思っています。

 

まあ、とりあえず食べていけるからいいや、というのが、現状改革にブレーキをかける最大かつ最強の根拠なのだろうと僕自身の経験からも思っているのです。

 

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20180521 by okkochaan