ネット上にすい星のごとく出現したブラック企業マップは、
日本列島がドクロで占拠されている強烈なインパクトから
ネット上で話題になっています。
【全国網羅】日本列島がドクロだらけ「ブラック企業マップ」が話題https://t.co/2tPElmOjrk
厚労省発表のブラック企業を可視化したサイトが話題に。「労基が入った所だけなので氷山の一角」などの意見も上がっている。 pic.twitter.com/RPD2wddKcq
— ライブドアニュース (@livedoornews) 2018年12月11日
しかし、このサイトについては、氷山の一角だという意見も多いようです。
ブラック企業マップではわからないこと
1.掲載企業が少ない
このサイトの説明通り、
厚生労働省 労働基準関係法令違反に係る公表事案に
掲載されている企業を元に
ブラック企業と定義してマップを作成しています。
従って、こうした制裁を受けていない企業は掲載されていません。
2.中小企業がほとんどである
ざっと見たところ、地場の企業が多く、
電通など大きな事件を起こした企業は入っているものの、
ほとんどは一般の人が聞いたことがない企業です。
3.サービス残業や残業代未払いの企業は公表事案に入っていない。
4.過労死の認定があった企業名の公表は最高裁で否決されており、これも入っていない。
5.このマップで確認されている企業は、労基署が取り締まった企業のうち、悪質な企業に対して公表しているので、「悪質」とされない多くの企業はもれている。
以上から、やはりこのサイトに掲載されている企業は
氷山の一角という事ができると思います。
また、サイトは追加情報としての書き込みが出来るようになっており、
該当企業に就職した人から、
全く問題ないホワイト企業だったとの記録もあります。
これは公表に対して対応したと言えるので、
改善されたということだと思います。
逆に言えば、このリストにある企業は、
安心できる方向に向かっている可能性が高いともいえます。
最大の問題は手つかずの状態か
残念ながら、労基署の指導は、
中小企業にかたよっているような気がしてなりません。
その理由は、個人的には、
与しやすい相手だからではないかというのが、
僕の感想です。
たとえば、警察官にとっては、
反省などとは無縁な根っからの悪人よりも、
自分が人として間違ったことをしたことに気づいて
泣きだすような人の方が扱いやすいのではないでしょうか。
それと同じだと思います。
しかし、最近の大学の不祥事とか、
企業の不祥事を見ても、
巨悪は、権力が集中しているような大きな組織に
起こり得ることは誰しも知るところです。
残念ながら、労基署は、
そこに踏み込んでいっているとはいいがたい状況です。
また多くの外資系企業に対しても、
僕の経験からみても
治外法権的な立場を取る場合が多いように思っています。
その上、大きな組織であるほど、
隠蔽体質になりやすく、
その結果、ブラック企業かどうかは、
わかりずらくなっています。
結局、入社してみないとわからない状況であり、
求職者にとっては、闇夜を行くがごとき
状況であると言えます。
それは、社員が組織を守るように動くからです。
日本人の愛する赤穂浪士的美学も入っているかもしれません。
奇しくも、内閣府消費者委員会の公益通報者保護専門調査会は、
企業や団体の不正をただすため、
解雇や左遷などの報復を受けることなく内部告発ができる法律
を期待されていたのですが、「現段階では必要ない」と
消費者庁の出した原案に対しての反論もなく、
内部告発者が不利益を受ける可能性は変わらずあります。
実質収入は低下している
下記の表は、総務省が発表している実質家計消費指数です。
この表を作りながら、僕は、自分も含め、
日本人とはなんと忍耐強いのだろうと、
ため息が出てしまいました。
イザナギ景気の再来と政府はいっていますが、
一般庶民とは無縁で、お金は企業に留保されていくだけなのです。
そして、株式は海外の投資家が持っていたりします。
一般のサラリーマンは絶対に
豊かにはなれない構図であり、
多額に収めている年金も、
自分がもらえるかどうかもわかりません。
これは、まさに働きアリの社会の構図です。
そして節約の美徳が登場し、
なるべくお金をつかわなくなるのです。
しかも、ここまでされていて、
企業を守ろうとしています。
こうしたことを考えていると、
僕から批判したい気持ちは消え、
日本人とは、なんとすばらしいんだと
感動すら覚えています。
転職もリスクを考えると、なかなか踏み切れませんね。
その結果、人材の流動化はごく一部の職種を除いて、
実質的にはないのだと思います。
そして、会社に悪いことがあっても我慢し、
自己犠牲と自分にも勘違いをさせて、
自分を納得させているのです。
そして、ある日、あたかも初めて
幽霊に気づくように、
日本列島すべてがドクロでおおわれているではないか
と気づきます。
ブラック企業マップが最も言いたいことは、
そこなのではないかと思います。
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