多重人格とはどのようなものか その片鱗がわかる本

多重人格と一般にいわれているものは、解離性同一性障害(かいりせいどういつせいしょうがい)のことです。

 

多重人格はその特異性のために、多くの小説や映画の題材になったりしているので、なんとなく理解している方も多いのではないでしょうか。

 

解離性障害は本人にとって堪えられない状況を、離人症のようにそれは自分のことではないと感じたり、あるいは解離性健忘などのようにその時期の感情や記憶を切り離して、それを思い出せなくすることで心のダメージを回避しようとすることから引き起こされる障害であるが、解離性同一性障害は、その中でもっとも重く、切り離した感情や記憶が成長して、別の人格となって表に現れるものである。
-Wikipediaより引用-

 

僕は多重人格と人間の意識、さらには霊的なものとどのように関係があるのかが気になっています。

 

そして僕のように多重人格とはどのようなものなのかを知りたい方に、ぜひ一読して欲しい本をご紹介させてください。

書名:告白 多重人格 -わかってください。私たちのことをー

編著者:町沢静夫

発行所:株式会社 海竜社

平成15年2月8日 第1販発行

 

どんな本なのか

この本は、精神科医である町沢静夫氏が編著者であり、その多くの部分が、交代人格との対話で占められています。

 

3人の症例は、

ルイと7人
12人のマリア
54人のヒロ

で構成されています。

 

その内容は実に驚くべきものですが、この本のなかで一貫しているのは、町沢氏の交代人格への敬意であり、同じ病気に苦しむ人たちのために、自分たちのことを公表して欲しいといった患者への敬意です。

 

そのため、町沢氏は著者ではなく編著者となっており、ここにも町沢氏の深い配慮を感じます。

 

多重人格については、いまだにそのような病気は存在しないという論調もあるようですが、なかでも裁判官に説明し理解してもらうことが、非常に難しいようです。

 

その理由は多重人格は、幼少期のDVや性的虐待に起因している場合が多く、小さな子供であるだけでも記憶や証拠をしっかり提出するのが困難なうえに、そこで別な人格が生まれ、主人格には記憶がないという状態だからです。

 

この本は、多重人格への興味本位だけで読み続けることは難しいかもしれません。

 

しかし、人間の宇宙のような広がりと深さをもった不可思議に魅せられてしまった人には、ものすごく面白い本です。

 

多重人格には様々な症例があり、別人格にしても、数人ぐらいから300人もいる人までいます。

 

また主人格が5歳から20過ぎまで生まれた交代人格によって眠らされているケースもあります。

 

この治療には気の遠くなるような時間と根気が必要だろうし、精神科医でも驚くようなことが起こります。

 

そして、面白いのは、交代人格同士の「人間関係」です。

 

そこにあるのは、普通の人間のグループがあれば起こるような、全く違った人格同士の関係やバトルもあれば、リーダー各の交代人格が中心になって、主人格を守っていくような動きもします。

 

つまり、交代人格は全く別の人間として、他の人間と変わらない感情をもっているのです。

 

 

今のこの世間の状況がね、多重の治療を安易な方向に持っていってしまっている。多重人格を安易な方法で生み出しちゃっているってことが、私は言えると思いますよ。(中略)
この病気に関しては許せない部分もあるんですよ、残酷だから。ものすごくこんなに都合が良くてこんなに残酷な病気、ないんじゃないかって思うんですよね。自分が生きてきた、それを手放してしまう、この状態の残酷さっていうのは多重人格でなければわからない。自分の体がない人間でしょ。とても残酷だと思った。母親とか、私とサヤカには体をあげたかったって泣いて言って、それ言われた時は嬉しかったけど、実際体が欲しかった、どうしても、自分の体が欲しかった。だからこそ生み出してはならないと思うんですよ。 -「告白 多重人格」より引用-

 

これは主人格が5歳から眠らされていた患者の交代人格のリーダー格であるルイさんの発言です。

 

本では、かなり長い発言の一節を引用しましたが、これだけでも、交代人格が独立した人格とすぐれた知性を持っていることはわかると思います。

 

交代人格でありながら、母親とも強い絆で結ばれていて、しかも体がないのです。

 

人格の統合は治療の目的のひとつであり、絶対必要なわけではないそうですが、「手放してしまう」というのは、統合により自分が消えることを意味しています。

 

町沢氏は、ルイの知性について、自分をはるかに超えて霊的な領域にまで達しているのではないかと書かれています。

 

多重人格の今後

 

多重人格は社会が複雑になることで生まれてきた病気とも言えるようです。

 

しかも、残念なことに、毎日のように幼児虐待やDVの問題は報道されているので、この病気の患者は今後、さらに増えるのではないかと言われています。

 

最近、性同一性障害や同姓婚についての理解は進んでいますが、多重人格については、いまだに偏見と無理解に満ちているのではないでしょうか。

 

多重人格の気持ちについては、ルイが言っているように、その病気にならなければ理解できないのかもしれません。

 

しかし、病気にならないまでも、どんな人間にだって、多重人格の素質はあるのではないかと、僕は思いました。

 

もし興味を持たれたら、下記に楽天のリンクを貼っておきますので、ぜひご一読ください。

 

ただし、なぜかこの本は高いので、図書館などで探されるといいかもしれません。

 

告白 多重人格—わかって下さい。私たちのことを

 

 

20190226 by okkochaan