Originally posted 2019-01-12 13:59:21.

【転職の成功は運である】転職に成功した赤いバラの話

これは寓話です。

 

転職の成功とか失敗とかはどの程度の割合なのかと考えていたら、全く違う話が生まれてしまいました。

 

転職だけではないですが、僕は、転職の成否に運が大きくかかわっていると考えています。

 

運を引き寄せる力があるかどうかということです。

 

「運命」とは命を運ぶと書きます。

 

命を運ぶ力があれば転職は成功します。

 

ところで、環境が変わって生きていけるかという点では、動物や植物も全く同じです。

 

変化にはストレス耐性が必要なので、悲しいことにその力がなくて死んでしまうものもいるのです。

 

これは、創作したものですが、転職で成功するポイントを意識して作りました。

 

息抜きに読んでいただけると幸いです。

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転職に成功した赤いバラの話

ブラックな環境にいた赤いバラ

ある庭の片すみに、P子という赤いバラがいました。

 

その家の主人は、勝手に生えてくる野花も大切に思っているらしく、雑草もちらほら生えていました。

 

P子は特に大きな不満はないのですが、枝にからみついてくる、つる性の植物とか周囲をウロウロするスズメとかをうっとおしいと思うことはありました。

 

雑草と一緒にされるのも嫌で、自分はこんな場所で生きるべきではないのではないかと考えたりします。

 

P子がもっとも不満なのは、太陽の暖かい光があたるのが、朝の2~3時間だけだということでした。

 

これでは、病気になってしまいます。今はやりのブラックなんとかというやつです。

 

家にはミーちゃんという猫がいて、近くの場所をトイレにしていて、定期的にやってきます。

 

ミーちゃんの話では、ご主人がこのごろ花壇を作っているので、P子もそこに移るんじゃないかにゃとのこと。

 

P子:たしかにこのごろご主人は何やら熱心に土をたがやしているけど、私がそこに移るのはハードルが高いんじゃないかな?

 

ミーちゃん:そんなことにゃいよ。ご主人はバラ園を作ろうとしているんだよ。こないだもツイッターで、「バラはもっとも人間に近い植物だと思う。性格も一本一本ちがっていて、感情に近いものを感じる時がある。」とかツイートしてたしニャ。

 

ミーちゃん:でも、キミは目立たないから損しているよ。

 

P子:どうしたらご主人に気づいてもらえるのかしら。

 

ミーちゃん:かんたんだよ。キミはとにかく美しい花を咲かせるんだよ。あと、枝をできるだけたくさん伸ばして、もっと大きくなるといい。

 

P子:そういえば、私、咲いたことがない。これじゃ気づくはずがないよね。

 

ミーちゃん:花が咲かないバラなんてバラじゃないニャン。がんばるニャン。

 

 

P子は一生懸命、花を咲かせようとしました。

 

そしてやっとの思いで花を一輪咲かせたら、ご主人が、The Last Rose of Summer をぶつぶつとつぶやくように歌いながらやってきました。

 

 

ここで、「バラが咲いた」を歌わないのが、ご主人のすごいところです。

 

P子は、トゲで傷をつけないように気遣いながら、ご主人の腕にそっと触れてみました。

 

「やあ、これはまるで人間みたいに僕に触れてくる」

 

とご主人は言って、ますますバラが人間に似ていることを確信なさったようでした。

 

転職してはみたが困難が発生

そんなこともあって、P子は念願の花壇へ移植してもらうことが出来ました。

 

花壇は一日中、太陽の光があたり、冬でも暖かく、また支えのバラ垣もつくって貰って、理想的な環境でした。

 

しかし、実は初めからちょっと嫌な予感があったのですが、花壇には見かけないバラが二本ありました。

 

黄色いバラのK子とちょっと繊細な感じがするピンクの花を咲かせるS子です。

 

3人の配置は、向かって左に私P子、中央にK子、右にS子です。

 

たぶんK子とS子はホームセンターからきたのだと思います。

 

しかしK子は自分が中央にいるからか、実際いちばん体が大きくて、花壇でメインの存在だと思っていて、何かと言うと先輩風を吹かせてきます。

 

一番小さなS子に対しては、やさしく接して話しかけたりしていますが、P子に対しては完全に無視です。

 

別に気にしなければいいのでしょうが、K子がどうしてそのような態度をとるのか、P子には全くわかりませんでした。

 

ひとり話し相手がいないP子は、だんだんと委縮してしまい、うつ病ではないかと思える状態にまでなってしまいました。

 

ミーちゃんは、それでもちょくちょく話しかけてくれるのですが、ミーちゃんは、K子やS子には話しかけないので、それもK子のプライドを大きく傷つけていたのかもしれません。

 

ご主人も最近は、長くなり過ぎた枝を切ったりして、花芽をたくさんつけられるようにしてくるので、P子もそれに応えようとするのですが、K子との関係が悪いことまではさすがに気づきません。

 

一生懸命に頑張ろうと焦ればあせるほど、逆効果なので、P子は今はとにかく力をつけようと、枝を太く高く伸ばすことに集中することにしました。

 

それでも、やはりつらかったので、

「こんなはずではなかった。移植などしてもらわなければよかった。」

 

とP子は思うようになりました。

 

突然の転機

しかし突然、転機がやってきました。

 

まず、K子が可愛がっていたS子が枯れてしまいました。

 

S子とはほとんど話したこともなかったのですが、とにかく線が細い子で、枝には細かいとげが無数に生えていました。

 

美しい花を咲かせるのですが、残念なことに花はすぐに汚れていってしまいます。

 

頼られていたK子はS子が枯れてしまい、かなり落胆している様子でした。

 

その後、K子のP子への態度にも変化があり、これまで無視していたのを忘れたかのように急に友達になったつもりで話しかけてきます。

 

これまで毛虫を飛ばしてきたりもされていたのですが、この変化には驚きました。

 

P子は内心は唖然としていたのですが、気づかないふりをして、ごく普通に話をするようになりました。

 

ただ、これまで気づかなかったのですが、K子には潔癖症のようなところがあり、虫とかカエルなどの動物にたかられるのをひどく嫌がっていました。

 

またご主人が他の家のように枝の消毒をしてくれないことに不満を持っていました。

 

P子のほうは虫もカエルも全く気にしないので、いつも適度な数の虫やカエルがいます。

 

それにミーちゃんも遊びにきますが、K子はミーちゃんも毛玉がつくので嫌がっているのでした。

 

おそらく、K子は、草ひとつない庭で、しっかりした鉢植えがバラの品評会のように並んでいる環境であれば、美しさを発揮できるバラなのだと思います。

 

しかし、残念なことにご主人の庭はその真逆といってもよい自然な状態を重視するものでした。

 

その問題が根底にあったと思うのですが、K子はだんだんと目に見えて弱っていきました。

 

初めに会った時の自信に満ち溢れた生意気な様子は、いまでは全く想像できない状態となってしまいました。

 

そして、ついに枯れてしまう最後の意識の状態でK子はP子に言いました。

 

「これまで、いじわるしてごめんなさいね。

悪気がなかったといえば嘘だけど、私、本当はあなたが怖かったのよ。

あなたは大型でつる性の黒バラという最強のバラじゃない。

いずれあなたに抜かれていくのは間違いなかったから、ひがんでもいた。

いじわるすることで、あなたが、うつ病にでもなってくれると丁度いいと思ってた。

でも、それは間違いだった。

私こそあなたから生き方をもっと学ぶべきだったし、仲良くすればもっと良い友達になれたと思う。

いまごろ言ってもしかたがないけどね。

さようなら。」

 

P子は、K子との別れを悲しみました。

 

またK子の話には、P子が初めて聞く話が多く、驚きました。

 

P子は自分が大型のつる性の黒バラという最強のバラであることも、初めて知ったのです。

 

最後の移植

K子が枯れてしまい、一人になったあと、矢継ぎ早にいろんなことが加速したかのように起きました。

 

初めに、あれほどP子に優しかったご主人が亡くなりました。

 

P子が本当に嬉しかったのは、毎朝P子に声をかけてくれることでした。

 

「おはようP子、今日はいい天気だね。」

「P子、この枝、ちょっと伸びすぎてるけど、つぼみがあるからこのままにしとくよ。」

「P子は不器用だから、花を一気に咲かせようとして失敗する。一つずつでいいんだよ。」

「P子のバラの花は最高だよ。でも花を咲かせるのが下手だからこのつぼみの状態が一番いいかな。」

 

こうして声をかけて貰えることが、どれほど生きる力になっていたかと思うと、本当に悲しいとP子は思いました。

 

そしてご主人が亡くなるのと同時になぜかミーちゃんも消えました。

 

P子はたった一人になりました。

 

もう花をさかせても、だれも見てくれる人もいません。

 

ところがある日、品の良い優しい感じの女性がやってきました。

 

驚いたことに、その腕にはミーちゃんが抱かれていました。

 

ミーちゃんは、その女性(Yさん)の腕から飛び降りると、P子にすり寄ってきて、P子の太いトゲで頭をかき始めました。

 

「まあ、これがあの人が大事にしていたバラなのね。」

 

Yさんはそう言って、P子に触れました。

 

P子は、Yさんにご主人と同じ匂いを感じました。

 

そして、P子はミーちゃんと一緒に、Yさんの家に住むことになりました。

 

Yさんの家は小さな日本家屋で、庭もそれほど広くありませんが、P子は玄関前をバラの花でおおうように植えられました。

 

Yさんの手入れは非常に適切で無駄がなく、P子はこれまで経験しなかったぐらい自由奔放に花を数多く咲かせることができました。

 

それにYさんの家は通りに面していて、多くの人が通ります。

 

そして、ほとんどの人は立ち止まって、P子の花を眺めていきます。

 

なかには、写真を撮らせてくれといってくる方もいて、ちょっとしたスポットになりました。

 

またYさんは、刈り取った枝も無駄にせず、挿し木にして根づいたものを他の方に差し上げたりもしています。

 

これはまさに、P子がグローバルにデビューした瞬間でした。

 

Yさんは一人で住んでいますが、部屋のなかにはなぜかご主人の写真が飾られています。

 

それにYさんは、The Last Rose of Summer を美しい声で歌います。

 

P子は、庭の片すみから2度の移植をへて、自分が本当に幸せになれたと心から思いました。

 

もちろん、これからもいろんな不幸が起こるだろうと思います。

 

でも、今の喜びを思い出せば、どんなつらいことも、乗り越えていけると思っています。

 

 

20190112 by okkochaan