外国人労働者 受け入れ

入管法が改正され、2019年4月には施行されます。

 

 

2019年4月から特定技能1号の試験を実施するのは介護、宿泊、外食の「3業種」になる見込みで、外国人労働者の単純労働が許可されます。

 

 

これだけだと、一見、事務職を中心とした人材派遣業界にはあまり影響がないと思われるかもしれませんが、果たしてそうでしょうか。

 

 

奇しくも、現時点での外国人労働者と派遣労働者の数は、それぞれ約130万人で一致しています。

 

 

しかし、外国人労働者が法改正がなくても増加傾向が顕著であるのに対し、派遣労働者の数や全労働者に占める派遣労働者の比率は横ばい状態が続いています。

 

 

つまり、ここがはっきりとした分岐点と観ることも可能だと思います。

 

派遣会社は外国人労働者を生かすノウハウを構築すべし

現状の見える範囲では、今回の改正は、在留資格の拡大であり、就労資格として単純労働を加えたことなので、事務派遣を中心とする派遣会社にとっては、対岸の火事のように見えるかもしれません。

 

 

しかし、実はこれは以下の2点で、非常に大きなチャンスだと思います。

 

 

1.単純労働者が一般事務派遣の領域に進出してくることによるスタッフ不足の解消

2.外国人労働者受け入れのノウハウやアドバイスの提供による企業との関係構築

 

 

1.については、これまでの特殊技能で就労ビザを取得した方とか、配偶者ビザを持っている方、在日の方とかで派遣が行われていました。

 

 

ただ、絶対数が少ないためにレアーケースとしてしか扱われなかったと思います。

 

 

しかし、今後、単純労働者から事務職へと転換を狙う外国人労働者は確実に、おそらく右肩上がりで増加します。

 

 

つまり、派遣会社としては、顧客企業に積極的に外国人スタッフを売り込むことができるわけです。

 

 

2.については、外国人ということで、特別視してしまい、扱いに困る場合とか、生活習慣や言葉の違いから思わぬトラブルが発生すると思われます。

 

 

その時、的確な対処法とか実際に対応してもらえたりするサービスがあると、企業にとっては、非常に心強いパートナーと思われるのではないでしょうか。

 

 

外国人労働者にとっても、不安な異国での生活をサポートして貰えることが心強い味方となります。

 

 

国会でも問題になったように、現状の外国人労働者の多くは、足元を見られて不当な待遇とか扱いを受けていることが多いです。

 

 

僕自身も、電気工事関連の仕事で、時給300円で働かされていた中国の方を知っています。

 

 

総じて、真面目な方が多い印象ですが、ある日、その中国の方が、家族がやっている学習塾に来て、「日本語を教えて欲しい」と言ってきたことがあります。

 

 

ちょっとかわいそうな状況だったので、無料で教えたのですが、そのうち中国人の友達もつれてきたので、二人に教えたようです。

 

 

その時、時給300円の話も聞いたし、日本語は会話に大きな支障がないレベルなので、不思議に思って聞いてみると、ここ茨城では、習った日本語が全く通じないということでした。

 

 

たとえば、「おい、タマとってくれ!」とか言われるのですが、全く意味がわからなかったとのことです。

 

 

この場合のタマは電球のことでした!

 

 

これは、比較的わかりやすい例ですが、そのほかに、日本人でもわからない方言が飛び交っているのです。

 

 

僕がどうして派遣会社に外国人労働者の構築をして欲しいと思うかと言うと、この外国人労働者を日本社会に受け入れることは、派遣というシステムを全く使ったことがない企業に、人材派遣の利用をしてもらうことと同じだと考えるからです。

 

 

人材派遣の場合も、その企業に派遣社員がいるかどうかは、気になるところだし、必ずチェックするポイントです。

 

 

それは、派遣会社と派遣スタッフの共通する懸念事項でもあります。

 

 

派遣の利用をしたことがない会社や部署は、外部の人間である派遣スタッフをどう扱ってよいかわかりません。

 

 

その結果、極度に丁寧に特別あつかいするか、アルバイトとして見下して扱うかのどちらかになりがちです。

 

 

これは、どちらもタテ型の発想だし、こうなると人間関係はぎくしゃくして、うまくいかないのです。

 

 

このため、通常、派遣会社も派遣スタッフも派遣の利用がない会社はなるべく避けています。

 

 

ずるい発想をすると、どこか他の派遣会社に始めに派遣してもらって、様子をみてから取引をしようとします。

 

 

なにしろ、スタッフはともかくとして、企業向けの「教育」が必要だからだし、その教育は固定観念やこれまでの価値観を壊さなければならない面があり、大変だからです。

 

 

ただ、こうした派遣スタッフを企業になじませるための努力は、外国人労働者を企業に受け入れてもらう努力と同じです。

 

 

つまり、派遣会社にとっては、すでに経験済みの、ノウハウの蓄積があることなのです。

 

入管法改正で野党が指摘した問題点について

入管法改正をめぐっては、3年間で69人もの方が亡くなった事実を出し、野党は強く反発しました。

 

 

また、拙速な法改正であるとか論議が足りな過ぎるとか、強行採決への批判とかで、この入管法改正を評価していない国民が過半数を占めていたかと思います。

 

 

僕も反対でしたが、強行採決により、2019年4月には施行されることが決定してしまいました。

 

 

こうなった以上は、日本に夢をもってやってくる外国人労働者の方々に、時給300円とか自殺者とかを絶対に出さないことが必要です。

 

 

それは、生まれてくる子供には罪はないのと一緒です。

 

 

そうでなくても、労働者の扱いがひどいと国際的に批判されている日本です。

 

 

その橋渡しに、僕は派遣会社が重要な役割を果たしてくれると考えています。

 

20181224 by okkochaan