派遣会社ピンハネ

僕は立場・主張の違いに関係なく、
人材派遣業および派遣会社に対する
無理解がかなりあると思っています。

 

 

その最たるものは、
派遣会社はピンハネ屋だということですが、
これについて反論しておきたいと思います。

 

 

原因は無知と偏見に起因していると僕は考えています。

 

 

また派遣会社側もピンハネ屋ではないことを、
しっかりと主張すべきです。

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派遣会社をピンハネ屋という主張の根拠は弱い

この主張は、人材派遣という制度そのものが、
人に働かせて中間マージンを搾取しているので、
ピンハネ屋じゃないかという単純な理屈です。

 

 

派遣法の成立時にも、労働基準法の、
「何人も、法律に基いて許される場合の外、
業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。」
という壁がありました。

 

 

この労働基準法上の規定は、
簡単に言えばピンハネを禁止するということです。

 

 

現在は、派遣会社は、
派遣法という法律に基づいて
許されているわけですが、
それでも派遣会社の存在価値を
認めない意見は根強くあります。

 

 

 

ピンハネが悪いことには異論はありませんが、
それは、本来、働いた人が正当に受け取るべき賃金に対して
マージンを課すことが悪いという事です。

 

 

 

となると、派遣会社がやっていることは、
ピンハネかどうかを検証すればよいかと思います。

 

人材派遣業がピンハネ屋ならばすべての商売はぼったくりである

そもそも、この問題は、賃金に対してマージンを取っているからです。

 

 

ただ、考えてみると、どのようなビジネスも、
売ったり買ったりで商売が成り立っているわけです。

 

 

 

たとえば、魚屋さんは市場で仕入れた魚に利益をプラスして売っています。

 

 

 

これをピンハネ的に、つまり不当な利益だと言う人はいません。

 

 

 

魚屋さんが得る利益は当然の手間賃として
受け入れられています。

 

 

 

人材派遣業も、ビジネス的にみれば、
全く同じことをしているわけですが、
人の労働に対しての嫌悪感と誤解とが
ピンハネと言わしめているわけです。

 

 

 

こうした派遣業をピンハネ屋だとか、
ダーティービジネスとする考え方は、
日本だけではありません。

 

 

 

政治形態によっても違うし、
また、面白いことに、
南の熱い国ほど、
派遣業をビジネスとして認めないという傾向があります。

 

派遣会社はマージン率を積極的に公開すべきだ

人材派遣業をピンハネビジネスとする考え方は、
恐ろしいことに、派遣会社すらしていると思われる節があります。

 

 

僕がそう考える根拠は、ある独自調査によれば、
大手の派遣会社も含めて、
マージン率をホームページ上で公開していない会社は
7割もあることを知ったからです。

 

 

 

厚生労働省への報告ベースでは、かなりの割合で
提出しています。

 

 

 

もちろん、ホームページ上で公開する必要はないという
考えもありかもしれません。

 

 

 

しかしながら、なにかマージン率の公開について、
ためらいがあるのを感じてしまいます。

 

 

 

つまり、ピンハネという考え方が、
派遣会社にも派遣スタッフにも、
そして企業側にもあり、
なにか後ろめたい思いでもあるのかと
勘ぐってしまうようなところがあります。

 

 

 

ちなみに、日本人材派遣業協会は、
派遣スタッフ向けにわかりやすく説明していますが、
企業への請求単価の7割が時給になると例示しています。

 

 

 

派遣会社の利益を圧迫している社会保険料の上昇と
有給休暇の費用などで、派遣会社はマージン率を
上げている傾向があり、現状は限りなく実態に
近い数字かもしれません。

 

 

 

僕は、派遣会社の経営状況を、
マージン率の公開に付帯させて、
戦略的に公開し、
派遣スタッフや企業の理解と支持を
得ていくべきだと考えています。

 

 

 

こうした派遣会社のマージンについての
正当性の積極的主張がないばかりに、
派遣会社の営業は全く根拠がなくスタッフの信頼を失ったりしているのです。

 

 

 

僕自身の経験ですが、ある派遣スタッフが何かのはずみで、
自分の仕事についての請求単価を知ってしまい、誤解をされたことがあります。

 

 

 

通常、派遣スタッフもある程度の知識はあるので問題にならないのですが、
そのスタッフは、真面目で頭もいいし、
たぶん学校でも優等生だったと思うのですが、
派遣の仕組みについては完全に無知でした。

 

 

「これまで〇〇さん(僕のことです)を信頼していたのに、
裏切られた気持ちになった。」

と僕は言われ、愕然としたことがあります。

 

 

 

真面目な方が、まるで僕が痴漢でもしたかのような
決然とした態度でそう言われ、
誤解を解く機会すら与えられずに
いきなり不本意にふられたような状態でした。

 

 

 

残念なことに、それまでの良好な関係は、
この一時で粉砕され、
コミュニケーションは一方的に閉じられてしまったのです。

 

 

 

彼女は派遣会社の社員が霞を食って生きているとでも思っていたのでしょうか。

 

 

 

もしくは、職安のように国からお金がでているとでも思っていたのでしょうか。

 

 

 

僕は、こうした誤解をさけるためにも、
マージン率はホームページのようなもので、
しっかり公開すべきだし、
派遣スタッフの登録の時にも、
誤解のないように口頭で説明すべきだと思います。

 

堀江貴文さんの「ミスリード?」

堀江貴文さんは、興味深い発言が多いし学ぶ点も多い方です。

 

 

 

しかし、こと人材派遣業については、あまりご存知ないのか、
ミスリードなのかわかりませんが、
明らかに間違った発言をされていたことがあります。

 

 

 

影響力が強い方なので、派遣会社がピンハネ屋だという誤解に
結果的にダメ押しをした感じです。

 

 

 

それは、竹中平蔵氏に向けての文脈のなかで、
「アメリカでは派遣と言えば弁護士とか医者とか専門職のあっせんだけ」
とか言っていますが、これは間違っています。

 

 

 

 

事実は、アメリカの派遣社員の6割はブルーカラーの派遣です。

 

 

 

 

それと、
「昔はヤクザがやっていたピンハネ屋稼業を
大手を振ってやっている」は、明らかに言い過ぎです。

 

 

確かに、派遣業界には生意気な会社とか
嫌な性格の社員とかいると思います。

 

 

それは、どの業界でも同じではないかと思います。

 

 

 

まあ、堀江さんは、このぐらい強く言えるので
人気も魅力もあるわけですが、
間違いは間違いです。

 

派遣社員の時給は100%支払われるべきという勘違い

そろそろ派遣というシステムが
日本社会にもたらした功罪を、
しっかりレビューすべき時期ではないでしょうか。

 

 

この記事は派遣会社がピンハネ屋ではないということについて
書いているので、
時給のことについてだけ書きます。

 

 

僕は、派遣と言うシステムのために、
むしろ非正規雇用者の時給は上がったと考えています。

 

 

 

それまでは、アルバイトとパートタイマー、
そして嘱託社員しかいませんでした。

 

 

 

こうした雇用形態が
いまだに派遣社員をはるかに凌駕しているのが実態です。

 

 

 

そして事務系の派遣についてどうかと言えば、
今でも圧倒的に数が多い、
アルバイト・パートの時給と派遣社員の時給を比較してみれば
明らかに派遣社員の方が高いと思います。

 

 

 

これは、結果としての時給が高いということです。

 

 

 

つまり、もし派遣という制度がなく、
個人でアルバイトやパートで契約していたら、
より安い時給になる可能性は高いと思います。

 

 

 

派遣会社を通じているからこそ、
そもそも仕事を見つける手間が省けているわけだし、
時給も高いので、
ピンハネされていると考えるのはおかしなことです。

 

 

 

誤解があるといけませんが、
派遣スタッフがピンハネされていると言ったり、
思ったりするのは、それほど多くはありません。

 

 

 

世間一般の多くの方が、
派遣会社をピンハネ会社と言っていることに
反論しているだけです。

 

本当に重要なのは労働者保護の強化であり正規雇用化ではない

結局、労働者保護を強化することが
本当に重要ではないでしょうか。

 

 

論点は、正規雇用、非正規雇用の割合にあるのではありません。

 

 

 

どちらも不安定で先が見えないのが現在の日本です。

 

 

 

非正規雇用者が部署にいて助かる場合も多いと思いますが、
逆に、社員が少なくてブラック化している
会社も多いはずです。

 

 

 

雇用形態にかかわりなく、
誰でもいつでも病気や事故に遭ったりします。

 

 

 

そうなっても、大丈夫なように、
安心して働ける制度を、
しっかりと構築することが、
最も重要かつ緊急なことでは
ないでしょうか。

 

 

 

それには、雇用形態による違いを一度白紙にもどして、
社会保障の観点から考え直さなければならないと思います。

 

 

 

実質所得が下がり、
生活が苦しくなっているのは、
正社員も派遣社員も区別はありません。

 

 

 

貧困の問題の原因は、
非正規雇用者の割合が増えていることとか、
派遣制度がどうこうということでは
ありません。

 

 

 

それは、枝葉の問題なので、
それを原因と考えると、
結果を原因と誤認することになると思います。

 

 

 

本質をしっかりとらえての対策が大事ではないでしょうか。

 

 

 

マージン率の公開に対しての派遣業界の不満も
強いと思いますが、魚の例でも、卸売り市場の
値段は公開されているわけだし、
ピンハネ屋と呼ばれないためにも、
しっかりと公開したほうがいいと思います。

 

参考記事:

賃金・社会保障 | 一般社団法人日本人材派遣協会

マージン率30%として、派遣会社の利益構造について
解説してあります。

派遣業というものが、薄利な商売であることが
わかると思います。

 

関連記事:

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20181122 by okkochaan